第1717回 スイス相手にゴールラッシュ(1) 初戦に勝利した欧州勢同士の対戦

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州勢が苦戦した第1戦

 ワールドカップ初戦でこれまでに対戦経験のないホンジュラス相手に3-0と快勝したフランス、前回の南アフリカ大会は3試合でわずか1得点であり、ホンジュラス戦だけでその3倍のゴールをあげた。
 各チームとも最初のゲームを終えた段階で、欧州勢の苦戦が見受けられる。前々回の本連載で紹介した通り、他大陸勢と対戦した欧州勢の戦績は3勝1分3敗である。3勝の内訳はスイス(エクアドルに勝利)、フランス(ホンジュラスに勝利)、ベルギー(アルジェリアに勝利)、1分はロシア(韓国と引き分け)、3敗はクロアチア(ブラジルに敗戦)、ギリシャ(コロンビアに敗戦)、ボスニアヘルツェゴビナ(アルゼンチンに敗戦)となっており、フランスの所属するグループEだけが欧州勢2チームが他大陸勢と対戦し、欧州勢が2試合とも勝利している。

■欧州勢が2チーム入る5グループ

 今大会のグループリーグで欧州勢が4チーム中2チーム入っているのはグループB(スペインとオランダ)、グループD(イタリアとイングランド)、グループE(スイスとフランス)、グループG(ドイツとポルトガル)、グループH(ベルギーとロシア)の5グループにのぼる。南米でのワールドカップは1978年のアルゼンチン大会以来実に36年ぶりである。36年前はフランスの入ったグループ1はアルゼンチン、イタリア、フランス、ハンガリーと4チーム中3チームが欧州勢であったことを考えれば隔世の感がある。そして、当時は数的優位を保っていた欧州勢が南米勢に次々に倒された。今大会も欧州勢は苦戦しているが、当時は欧州対南米という構図であり、アジアやアフリカからの本大会出場が少なかったことを考えれば、今大会の欧州勢はさらに苦戦していると言えるであろう。

■注目を集める欧州勢同士、勝ち点3同士の戦い

 そういう中でグループEは欧州勢が他大陸勢に2試合とも勝利しており、欧州勢が面目を保っていると言えよう。しかし、当然欧州勢同士の対戦もあり、第1戦で勝ち点3をあげたスイスとフランスは第2戦で対決する。今大会のグループリーグでの欧州勢対決は上記のとおり5試合あるが、いずれも第1戦あるいは第2戦で対戦することになっている。
 そしてこのフランス-スイス戦は第1戦で勝ち点3をあげた同士の対戦である。8グループある中で、第2戦で勝ち点3同士が対戦するケースは多く、グループAのブラジル-メキシコ戦、グループCのコロンビア-コートジボワール戦、グループDのイタリア-コスタリカ戦、そしてこのグループEのフランス-スイス戦とちょうど半数になる。そしてこれらのグループでは第1戦で勝ち点をあげることができなかった黒星発進したチーム同士の戦いも繰り広げられるのである。
 このグループでは第2戦の結果いかんでは決勝トーナメント進出が決定する。フランスの場合、フランスがスイスに勝利して勝ち点を6に伸ばし、もう一方の試合でホンジュラスが引き分け以上になれば、決勝トーナメント進出が決まる。

■予期せぬ大差がついたサルバドールの欧州勢対決

 フランスとスイスが対戦するのはサルバドールである。サルバドールはフランスが第1戦を戦ったポルトアレグレ同様港町だがかなり北部になり赤道に近くなる。試合会場のフォンチ・ノバ競技場は1951年に完成したが、7年前に死亡事故が起こり、今回のワールドカップに向けて改修がなされた。
 フランス-スイス戦は6月20日、大会が始まって9日目となる。このサルバドールのフォンチ・ノバ競技場ではこれが3試合目となる。フランス-スイス戦に先立って行われた2試合はいずれも欧州勢同士の試合であり、6月13日にはグループBのスペイン-オランダ戦、16日にはグループGのドイツ-ポルトガル戦と奇しくもいずれも欧州勢同士の戦いである。そしてこれら2試合はスペイン-オランダ戦はオランダが5-1、ドイツ-ポルトガル戦もドイツが4-0といずれも予期せぬ大差がついた。
 この競技場には3試合連続で欧州勢の対決となったフランス-スイス戦も同様に予期せぬ大差がつくことになったのである。(続く)

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