第1721回 エクアドルとドロー(3) 20本のシュートも実らず、スコアレスドローで首位突破

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4人中3人を代えた第3戦のDFライン

 第1戦のホンジュラス戦を3-0、第2戦のスイス戦を5-2といずれも3点差で連勝したフランスは、第3戦のエクアドル戦は余裕の選手起用となるが、決勝トーナメントでの戦いに向けて戦略的な選手起用となる。
 これまでの試合と比べるとDFラインが大きく変わり、左ストッパーのママドゥ・サコー以外の3人はすべて入れ替わっている。右サイドに入ったベテランのバカリ・サーニャはマチュー・ドビュッシーとは甲乙つけがたいが、サコーとストッパーのコンビを組むローラン・コシエルニーは昨年秋のプレーオフのウクライナ戦でフランス代表のDFとしては5年ぶりのレッドカード、またしばしばPKを献上するなど、不安定感はぬぐえない。スイス戦も66分から交代出場したが、スイスに2点を奪われたのはコシエルニーの出場していた時間帯である。また左サイドのパトリス・エブラはホンジュラス戦で警告を受けており、次に警告を受けると次の試合が出場停止となる。そのような理由もあり、ルカ・ディーニュを起用したのであろうが、所属チームのパリサンジェルマンではブラジル代表のマクスウェルの陰に隠れ、出場機会に恵まれない。

■累積警告のヨアン・カバイエに代わってモルガン・シュナイデルランを起用

 またMFに関しては中央のヨアン・カバイエがスイス戦の88分に警告を受ける。カバイエはホンジュラス戦でも警告を受けており、このエクアドル戦は出場停止となる。ディディエ・デシャン監督は中央のMFにこれまで代表戦に1試合しか出場していないモルガン・シュナイデルランを起用する。シュナイデルランは本連載第1714回で紹介した通り、予備登録メンバーであったが、クレマン・グルニエの主将離脱によって大会直前に代表メンバーになり、フランス代表デビューはブラジル出発直前のジャマイカ戦の後半の87分、すなわちこれまで代表の試合は3分間しかプレーしていないが、大抜擢となった。

■マチュー・バルブエナが外れたFW陣

 3人のFW陣も入れ替わる。第1戦、第2戦に続いて3試合連続の先発となるのはカリム・ベンゼマだけであり、右サイドはこれまでディディエ・デシャン体制ではほぼ皆勤のマチュー・バルブエナを外し、ムーサ・シッソコを起用する。MFとして登録されているシッソコはポール・ポグバにポジションを奪われた形になっていただけにポジションを変えての期待に応えたい。そして左サイドは若いアントワン・グリエズマンを起用する。この結果、聖地マラカナンのピッチに先発メンバーとなった11人のうち半数以上の6人は代表経験が20試合以下という若いメンバーになった。

■守備を固めたエクアドル相手に苦戦

 勝たなくてはならないエクアドルであったが、前に出てくる気配は感じられない。フランスはボール支配率で上回るだけではなく、サーニャ、ディーニュという初出場のサイドのプレーヤーが積極的に攻め上がり、チャンスを作り、ベンゼマまでボールはつながるが、フランスはなかなかゴールネットを揺らすことができない。
 前半は両チーム無得点で折り返す。なお、この時点でスイスが2-0とホンジュラスをリードしており、このままいけば、首位フランス、2位スイスとなる。そして後半立ち上がりの50分、エクアドルはアントニオ・バレンシアがレッドカード、フランスは1人多くなり、フランスのゲーム支配はさらに強まったが、スコアは動かない。順位はともかく、3戦全勝でグループリーグを終えたいフランスは67分にブレーズ・マツイディをベンチに下げ、第2戦で大活躍したオリビエ・ジルーを投入する。ジルーの投入により、フランスの攻撃のリズムは明らかに変わり、さらに79分にはグリエズマンに代えてロイック・レミーを投入する。しかし、エクアドルのGKの好守もあり、フランスは20本のシュートを放ったが、得点を奪うことができない。一方、多くの選手を入れ替えたDF陣もエクアドルの攻撃を受ける機会も少なく、0-0のドローとなる。フランスはまた南米勢に勝つことができなかった。
 しかし、フランスはグループEの首位をキープし、2位のスイスとともに決勝トーナメントに進出することになったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ