第2151回 ルクセンブルクに快勝(1) 24人中7人が代表未出場

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月下旬のインターナショナルマッチデー

 今年もフランスのサッカーシーンはフランスカップから始まった。リーグ戦、リーグカップン後半戦、そしてチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントという国内外での戦いを本連載では紹介してきたが、いよいよ3月の末に代表の試合が行われた。この時期にはインターナショナルマッチデーが2日間予定されているが、25日にワールドカップ予選を行い、28日には親善試合が行われる。
 フランスはワールドカップ予選でルクセンブルクとアウエーで対戦し、親善試合ではスペインとスタッド・ド・フランスで対戦する。ワールドカップ予選は全部で10試合消化するが、このルクセンブルク戦が5試合目、ちょうど前半戦の最後の試合となる。

■新戦力を試す条件が整い、若手を大量に招集したディディエ・デシャン監督

 現在フランスはグループAで首位であるが、上位陣との戦いとしては6月のスウェーデン戦(アウエー)、8月のオランダ戦(ホーム)、10月のブルガリア戦(アウエー)が残っている。ここまで1分3敗という成績のルクセンブルクとは実力的に差があり、スペイン戦は親善試合であることから、選手のテストをしやすい環境にある。さらに次の国際試合はスウェーデン戦の予定されている6月初めであるが、この時期はちょうど20歳以下のワールドカップが韓国で開催され、この年代の選手を招集することが難しくなる。したがってこの3月の連戦は選手のテストには絶好の機会となった。ディディエ・デシャン監督にとっては新戦力をその1人でも掘り起し、6月以降の後半戦に備えたいところである。
 この2試合に臨むメンバーが3月16日に発表された。通常は23人がメンバー選出されるが、デシャン監督は24人のリストを発表した。通常より1人多い理由はメンバーのうちのポール・ポグバが、ルクセンブルク戦は出場停止であるという理由もあるが、やはり選手のテストという意味が大きいであろう。

■フィールドプレーヤー4人が代表初招集

 この24人のうちでこれまでの代表で出場経験がないのはGKのアルフォンス・アレオラ、ブノワ・コスティル、DFのプレスネル・キンペンベ、バンジャマン・マンディ、MFのコランタン・トリッソ、FWのキリアン・ムバッペ、フローラン・トーバンと実に7人に上る。その中で、GKの2人はこれまでに代表チームに招集されたことはあるが、ポジション的に試合途中の交代出場のケースがなかったが、フィールドプレーヤーはキンペンベ以外の4人は代表初招集である。

■最大の注目は18歳のキリアン・ムバッペ

 その中での注目はモナコに所属するムバッペであろう。前々回の本連載で紹介した通り、代表メンバー発表の前日にはチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でイングランドのマンチェスター・シティを3-1で下した立役者である。弱冠18歳のムバッペは、この連戦に出場するとすれば18歳3か月での代表デビューとなり、これは100年以上の歴史のあるフランス代表では1955年に18歳2か月でスウェーデン戦に出場したマリアン・ウィニエスキーに次いで史上2番目に若い代表デビューとなる。そして、1998年のワールドカップ優勝の時にはまだ生まれておらず、フランスワールドカップ優勝以降に生まれた選手としては初の代表戦出場となる。
 モナコからはもう1人、代表初招集の選手がいる。22歳のマンディである。マンディもまたマンチェスター・シティ戦での活躍の余韻が続く中での代表入りとなった。サイドDFのマンディは今季はコンスタントに試合に出場し、得点こそ1点であるがアシストは実に10を数える。サイドからの攻撃の演出に期待したいところである。
 モナコからは昨年11月の連戦時にキングスレー・コマンの負傷によって追加招集され、コートジボワールとの親善試合で代表デビューした21歳のトマ・ルマールも名を連ねた。
 そしてトリッソはヨーロッパリーグで活躍しているリヨンの選手であり、トーバンは24歳で初めての代表招集である。
 今回紹介した選手のうち何人がピッチに立つことができるだろうか。(続く)

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