第3122回 歴史に残る決勝、PK戦で敗れる (3) アルゼンチンと初めてワールドカップの終盤で対戦

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■最新の両チームの対戦は4年前のワールドカップの決勝トーナメント1回戦

 大会前から優勝候補と目されてきたアルゼンチン、グループリーグの初戦で敗れながら、その後、次第に調子を上げ、準決勝では前回準優勝国のクロアチアに3-0と勝利した。エースのリオネル・メッシはここまで5得点、そしてメッシよりも1周り以上若い選手が活躍している。
 さて、フランスとアルゼンチンの過去の対戦を振り返ってみよう。最新の対戦は4年前のワールドカップ・ロシア大会の決勝トーナメント1回戦である。この試合については本連載の第2354回から第2356回で紹介した通りであるが、フランスはアントワン・グリエズマンのPKで先制、バンジャマン・パバールが1点、キリアン・ムバッペが2点と今回のメンバーに入っている選手が得点をあげ、アルゼンチンの反撃を押さえて、4-3と競り勝っている。これがフランスにとってはワールドカップでのアルゼンチン戦の初勝利である。

■最初の対戦はワールドカップの第1回大会、2回目は1978年アルゼンチン大会

 最初の対戦は第1回大会となる1930年ウルグアイ大会である。グループリーグの初戦でメキシコに勝利したフランスは第2戦でアルゼンチンと対戦するが、0-1で敗れてしまう。この試合はフランスにとってはワールドカップの初黒星であり、アルゼンチンにとってはワールドカップで最初の試合であり、最初の勝利という記念すべき試合となった。アルゼンチンはグループリーグで首位(第1回大会ではグループリーグの首位チームが準決勝に進出した)となり、決勝まで進み、開催国のウルグアイに敗れ準優勝となっている。
 2回目の対戦は1978年、自国開催となったアルゼンチン大会の一次リーグである。1966年イングランド大会以来3大会ぶりに本大会出場となったフランスは、初戦でイタリアと対戦し、1-2と敗れ、第2戦でアルゼンチンと対戦する。PKで先制されたフランスは、ミッシェル・プラティニのゴールでいったんは追いつくが、最後はレオポルド・ルーケに決勝点を奪われ、一次リーグ敗退が決定する。 このように過去3回のワールドカップでの対戦を振り返ってみると、大会の序盤に対戦し、勝利したチームは優勝2回、準優勝1回と決勝まで進出している。その両チームがようやく決勝で顔を合わせることになったのである。

■親善試合での戦績はフランスの2勝3分4敗

 また、親善試合では9回対戦、今世紀に入ってからは2回フランス国内で対戦し、2回ともアルゼンチンが勝利している。通算の成績はフランスの2勝3分4敗となっている。この親善試合の中で唯一中立地で行われた試合が1972年の対戦である。ブラジル建国150周年を記念して行われたインデペンデントカップのグループリーグの最終戦で両国が対戦した。最終戦を迎えるまで両チームとも全勝で、グループリーグの最終戦で全勝対決となった。試合はスコアレスドローとなったが、得失点差で上回ったアルゼンチンが決勝に進出している。

■病気が蔓延する中で、ベストメンバーが名を連ねたフランスの決勝メンバー

 上り調子のアルゼンチンに対し、フランスはチーム内で病気に感染する選手が続出し、準決勝のモロッコ戦ではストッパーのダヨ・ウパメカノとアドリアン・ラビオが欠場したことは本連載第3119回で紹介したが、準決勝の後もラファエル・バラン、イブラヒム・コナテが感染したことが報じられた。さらにメンバー登録を抹消していないカリム・ベンゼマが決勝に復帰するという噂も流れた。様々な憶測が漂う中、ディディエ・デシャン監督は、ベンゼマとルカ・エルナンデスを除く24人の体調には問題ないとアピール、公開練習には24人が揃って登場した。
 そして12月18日の決勝、フランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニ、高い位置には右にアントワン・グリエズマン、左にアドリアン・ラビオ、FWは中央にオリビエ・ジルー、右にウスマン・デンベレ、左にキリアン・ムバッペ、今大会のベストメンバーが名を連ねたのである。(続く)

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