第2448回 ジャイアントキリングの続くリーグカップ (4) 決勝はギャンガン-ストラスブール

 8年前の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンの国内カップ戦の連勝記録を44でストップしたギャンガン

 リーグカップ準々決勝ではカップ戦のスペシャリストのパリサンジェルマンが敗れるという歴史的な結果となった。パリサンジェルマンがフランスカップ、リーグカップと言う国内カップ戦で最後に敗れたのは2014年1月のフランスカップのベスト16決定戦でモンペリエに敗れたのが最後である。パリサンジェルマンはフランスカップは4連覇中、リーグカップは5連覇を果たしており、これらのタイトルで44連勝と言うとてつもない記録を作ってきたが、それがストップした。
 そのパリサンジェルマンの連勝を止めたのが、まったくノーマークのリーグ最下位のギャンガンと言うのも不思議である。

■リーグ最下位のギャンガンと19位のモナコの争う準決勝

 リーグカップの準決勝は1月29日と30日に行われたが、29日にはギャンガン-モナコ戦、30日にはストラスブール-ボルドー戦が行われた。
 注目はギャンガン-モナコ戦である。パリサンジェルマンを破ったギャンガンも驚きであるが、国内外でまったく不振のモナコの準決勝進出も驚きである。準決勝の行われる時点になってもリーグ戦での状況は変わらず、ギャンガンが最下位、モナコは19位である。降格圏内同士のチームの戦い、ギャンガンのルードルー競技場には1万1000人を超えるファンが集まった。モナコは昨年10月にレオナルド・ジャルディム監督が退任、かつての英雄ティエリー・アンリが監督に就任したものの、チームを立て直すことはできず、1月下旬に再びジャルディム監督を呼び戻した。アンリにとっては記録の上では引き分けであるが、リーグカップ準々決勝のレンヌ戦のPK戦勝利が最後の勝利となった。

■レオナルド・ジャルディム監督、2点のリードを守れず、復帰初戦を飾れず

 一方、ジャルディム監督にとっては復帰初戦となるのがこのリーグカップのギャンガン戦である。モナコは今年初めにトルコのアンタリアスポルから獲得したウィリアン・バンクールを移籍後初めて先発で起用する。バンクールは30歳でフランスとハイチの二重国籍である。大坂なおみで話題となったハイチをルーツとするが、フランス生まれのフランス育ち、18歳の時にナントとプロ契約、その後スタンダール・リエージュ(ベルギー)、ディナモ・モスクワ(ロシア)、ASローマ(イタリア)など国外のクラブで活躍し、30歳となった。しかし14分にマルクス・テュラムへの危険なタックルでビデオ判定の末にレッドカードを受け、モナコは数的不利となる。立ち上がりからボール支配率は圧倒的にギャンガン、そこに数的不利が重なったが、意外なことに18分にロニー・ロペスのゴールによってモナコが先制点を奪った。さらに24分、モナコはアレクサンドル・ゴロビンが追加点を奪い、リードを2点に広げてハーフタイムを迎える。
 しかし、後半の立ち上がりにギャンガンは1点を返し、55分にはテュラムが父リリアン・テュラムの所属していたチームに対し同点ゴールを決めた。
 試合は90分経ったところで2-2となり、PK戦となる。モナコのGKはクロアチア代表のダニエル・スバシッチであったが、PK戦を制したのはギャンガンだったのである。

■波に乗るストラスブール、1部勢相手に4連勝し、決勝進出

 その翌日、ストラスブールがボルドーを迎える。リーグ5位と好調なストラスブールとあって2万5000人のファンが集まる。ストラスブールはパスがつながらず前半は苦戦する。ボルドーに先制を許し、0-1と1点のビハインドで後半を迎えたが、後半になってストラスブールの攻撃陣が爆発する。49分にルドビック・アジョルクがゴール前のこぼれ球を押し込んで同点、55分と60分にはレボ・モティバが連続ゴールをあげて逆転し突き放す。試合終盤にボルドーも1点を返すが、ストラスブールが3-2と1点差で勝利した。3季前はナショナルリーグに所属し、アマチュアチームだったアルザスの名門チームはこれでリーグカップでは1部勢相手に4連勝、14季ぶりの優勝をかけて決勝を戦うのである。(この項、終わり)

 
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