第3559回 2024-25フランスサッカー、フィナーレ (7) スタッド・ド・ランス、48年ぶりの決勝進出

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■93年ぶりの決勝進出を目指すナショナル2部のカンヌ

 フランスカップの準決勝、4月1日に行われた第1試合ではパリサンジェルマンが2部のダンケルクに2点先制されながらも、4点を返して逆転勝利を収めた。
 第2試合は翌日の4月2日にカンヌのピエール・クーベルタン競技場で4部に相当するナショナル2部のカンヌが1部のスタッド・ド・ランスを迎えた。カンヌはここまでグルノーブル、ロリアン、ギャンガンと3つの2部のチームを破ってきたが、1部勢とは初めての対戦となる。一方のスタッド・ド・ランスはモナコ、アンジェという1部勢をここまで下している。両チームはこれまで主に下部のリーグ戦で20試合以上対戦しているが、フランスカップでは初めての対戦となる。
 カンヌは1931-32シーズンにフランスカップで優勝している。フランスカップの決勝進出はこの時だけで、勝利すれば、実に93年ぶりの決勝進出、さらに4部のチームで決勝に進出すれば、1999-2000シーズンのカレー以来26年ぶりのこととなる。

■3人の日本人選手が先発して勝利したスタッド・ド・ランス

 一方のスタッド・ド・ランスは1976-77シーズン以来、実に48年ぶりの決勝進出となる。また準決勝を戦うのも1987-88シーズン以来37年ぶりのことである。この当時は準決勝まではホームアンドアウエー方式で行われており、1988-89シーズンに準決勝以下が1回戦制になってから初めて準決勝を戦うことになる。長らく低迷したスタッド・ド・ランスも2010年に1部に復帰、その後は中位以下をキープしてきたが、この時点でリーグ戦では15位、降格の危険性もあるが、まずはフランスカップを獲得することが目の前の目標である。スタッド・ド・ランスは伊東純也、中村敬斗、関根大輝と3人の日本人選手が先発する。
 ほぼ半世紀ぶりの決勝を目指すスタッド・ド・ランスとほぼ1世紀ぶりの決勝を目指すカンヌの戦い、先制点を奪ったのはスタッド・ド・ランスであった。14分にハフィズ・イブラヒムがロングフィードのボールに合わせて、先制ゴールを奪う。
 前半はスタッド・ド・ランスが1点リードして折り返す。カンヌは後半の序盤の52分、CKから同点に追いつく。しかし、スタッド・ド・ランスはすぐさま58分にテディ・タウマが勝ち越し点を決める。試合はこのままスタッド・ド・ランスがリードを守り切り、48年ぶりの決勝に進出したのである。

■国内リーグで優勝、2つの決勝を目指すパリサンジェルマン

 フランスカップの決勝は5月24日、準決勝から50日以上後に行われる。この50日間にファイナリストとなった両チームには多くの出来事が起こった。
 パリサンジェルマンは準決勝の4日後の4月5日にはリーグ戦でアンジェを下し、リーグ優勝を早々に決める。この時点でパリサンジェルマンの主たる目的はチャンピオンズリーグとなる。4月9日と15日にはチャンピオンズリーグの準々決勝でイングランドのアストン・ビラと連戦、本連載の第3536回から第3538回でパリで行われた第1戦、第3539回と第3540回でバーミンガムで行われた第2戦の模様を紹介し、1勝1敗であったが、2試合通算スコアでパリサンジェルマンは準決勝に進出する。また、本来であれば、アストン・ビラとの連戦の間に行われる予定だったリーグ戦のナント戦は4月下旬にスライドされる。チャンピオンズリーグ準決勝進出を決めたパリサンジェルマンにとっては国内リーグでは無敗の優勝が唯一のモチベーションであったが、終盤に黒星が重なり、記録は達成できなかった。そして4月29日と5月7日のアーセナル(イングランド)との準決勝は2試合とも勝利する。
 5月17日にリーグ戦を終了、24日のフランスカップ、31日のチャンピオンズリーグと2つの決勝が残っているのである。

■5月に入ってリーグ戦で3連敗して入替戦に臨むスタッド・ド・ランス

 一方のスタッド・ド・ランスは準決勝直後のリーグ戦のストラスブール戦では敗れたが、その後、RCランスとトゥールーズに連勝、13位まで順位を上げる。ところが、最下位のモンペリエに引き分け、5月に入ってからは第32節でニースに敗れ、第33節ではサンテチエンヌに敗れる。順位を14位に落として最終節のリール戦を迎え、敗れてしまうとともに、ライバルのルアーブルとナントが勝利し、16位に順位を落とし、入替戦に向かうことになったのである。(続く)

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