第3560回 2024-25フランスサッカー、フィナーレ (8) パリサンジェルマン、16回目のフランスカップ優勝
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■最新と最古のファイナリストの顔合わせ
今季のフランスカップ決勝はパリサンジェルマンとスタッド・ド・ランスの間で争われることになった。パリサンジェルマンは2年連続20回目、スタッド・ド・ランスは48年ぶり4回目の決勝進出となる。ただ、パリサンジェルマンが最初にフランスカップの決勝に進出したのは1982年のことであり、その時にはすでにスタッド・ド・ランスは下部のリーグに陥落、長いトンネルに入ったところであった。
また、今回の決勝はパリサンジェルマンがチャンピオンズリーグ決勝を控えていることが話題となったが、スタッド・ド・ランスはチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの第1回の決勝を戦ったチームであり、新旧のフランスサッカーを代表するチームの対決となった。スタッド・ド・ランスの48年ぶりの決勝進出は1990年の59年ぶり、モンペリエの2011年のリールの56年ぶりに続く記録となった。
■両チームに在籍したレジェンドのカルロス・ビアンキ
現在のフランスサッカーを象徴するチームとかつてのフランスサッカーを代表するチームの対決とあって、試合開始前は恒例となっているエマニュエル・マクロン大統領による両チームの激励、ラ・マルセイエーズの演奏だけではなく、カルロス・ビアンキがキックオフ前にピッチでフランスカップを掲げた。アルゼンチン代表として活躍したビアンキであるが、ファイナリストとなった両チームに在籍経験があり、スタッド・ド・ランスでは5シーズン、パリサンジェルマンでは2シーズン活躍した。
■ポストシーズンにフランスカップ決勝以外も試合がある両チーム
パリサンジェルマンの先発メンバーはGKはマトベイ・サフォノフ、DFは右からアクラフ・ハキミ、マルキーニョス、ウィリアン・パチョ、ヌーノ・メンデス、MFはジョアン・ネベス、ビティーニャ、ファビアン・ルイスと並び、FWは中央にウスマン・デンベレ、右にデジレ・ドゥエ、左にブラッドリー・バルコラである。ドゥエはキックオフ直前にクビチャ・クバラツヘリアに代わってメンバー入りした。1週間後のもう1つの決勝を見据えた陣容である。
対するスタッド・ド・ランスはGKは主将でセネガル代表のエフバン・ディウフ、DFは右から関根大輝、ジョセフ・オクム、セドリック・キプレ、セルヒオ・アキエメ、MFは右からバランタン・アタンガナ、モリ・グバン、アマドゥ・コネ、FWは中央にジョルダン・シエバチュ、右に伊東純也、左に中村敬斗と日本人選手が3人名を連ねたが、コートジボワール人も3人先発している。
1週間前にリーグ戦が終わったフランス1部リーグ、1部勢でリーグ戦終了後も公式戦があるのは両チームだけ、さらにパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグ決勝、スタッド・ド・ランスはメッスとの入替戦2試合を行う。
■一方的に攻めたパリサンジェルマンが圧勝
リーグ戦では前半戦のランスでの試合も、後半戦のパリでの試合も1-1のドローであった。今季のリーグ戦でパリサンジェルマンが勝利できなかったのはスタッド・ド・ランスの他にはニースとナントがあり、相性から言って互角の戦いかと思われていた。しかし、ポストシーズンの試合数とモチベーションの差が出たのか、試合は一方的な内容になった。
ボール保持率はパリサンジェルマンが80%前後の数字を記録し、終始スタッド・ド・ランスのゴール前で試合を進めた。8分にはデンベレのシュートが枠内に飛び、先制点は時間の問題であった。16分に先制点を決めたのはバルコラであった。ビティーニャ、ドゥエとつないだパスを最後はバルコラが決めた。そしてバルコラは19分にはマルキーニョスが起点となったパスをドゥエがつなぎ、右足で無人のゴールに2点目を流し込んだ。
前半終了間際の43分にはFKのチャンスからボールをつないでバルコラからのパスをハキミが相手GKの両足の間を抜くシュートを決める。
後半は両チーム得点をあげることがなかったが、バルコラは2得点、1アシストと全得点にからむ活躍、フランスカップ決勝で得点に3回からんだのは2016年のズラタン・イブラヒモビッチ以来である。
パリサンジェルマンが2年連続で16回目の優勝を果たしたのである。(続く)