第3616回 ワールドカップ2026年大会の予選開幕(7) アイスランドに辛勝し、連勝スタート
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■2016年欧州選手権準々決勝でフランスが勝利
主要国際大会初出場となった2016年欧州選手権のアイスランド、大方の予想を覆し、グループリーグを突破、決勝トーナメントに入って1回戦でサッカーの母国イングランドをニースで撃破し、準々決勝に進む。準々決勝の相手は開催国フランス、舞台はスタッド・ド・フランスである。この戦いについては本連載第2037回から2039回で紹介したが、フランスが5-2と勝利したが、人口わずか33万人の小国の活躍はこの大会の大きな記憶となったのである。それ以降、フランスとアイスランドの対戦は3試合、2018年には親善試合でギャンガンで対戦し、2-2のドロー、そして2019年には2020年の欧州選手権予選で対戦し、ホームで4-0、アウエーで1-0とフランスが連勝している。これまでの対戦成績はフランスの11勝4分と負けたことがない。
■第1戦で負傷したデジレ・ドゥエとウスマン・デンベレのパリサンジェルマン勢
現在のインターナショナルマッチデーは中3日前後で2試合を行う仕組みになっているが、第2戦のメンバーの起用については2つの考え方がある。まず、中2日か中3日であるならば、第1戦と同じメンバーで臨むというオーソドックスな考え方。もう1つは第2戦のメンバーは大きく変えてメンバーの負荷を平準化するという考え方であり、これは来年のワールドカップ本大会を考えた場合、想定しておかなくてはならない戦術である。4か前にこのグループDでは最下位にあたる第4シードのアゼルバイジャンを5-0と下しているアイスランドに対し、フランスは前者に近い布陣で臨んだ。
GKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、イブラヒマ・コナテ、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニとマヌ・コネ、高い位置に右からブラッドリー・バルコラ、ミカエル・オリーズ、マルクス・テュラム、FWは1トップでキリアン・ムバッペである。
ウクライナ戦と比較すると左サイドの選手を入れ替え、DFはルカ・ディーニュに代えてテオ・エルナンデスを起用、攻撃的MFはバルコラを右サイドに回し、テュラムを使う。ディーニュとデジレ・ドゥエが外れ、テオ・エルナンデスとテュラムが入ったわけであるが、ドゥエとウスマン・デンベレはウクライナ戦で全治1か月以上の負傷、メンバーから外れ、追加でキングスレー・コマンが招集された。
試合開始前、監督のディディエ・デシャンの名前がアナウンスされた際、パルク・デ・プランスではブーイングが起こる。それはドゥエもデンベレもパルク・デ・プランスを本拠地とするパリサンジェルマン所属の選手だからである。
■不用意なパスから先取点を許したフランス
試合は立ち上がりにアイスランドが積極的に攻めるが、次第にフランスが主導権を持つようになる。この試合最初の得点機は15分のテュラムであったがアイスランドのGKが阻む。
21分、フランスに決定的なミスが起こる。オリーズが自陣ゴール前で受けたパスを中のウパメカノにパスしたが、不注意で、ゴール前に詰めていたアイスランドのアンドリ・グジョンセンに難なくゴールに押し込まれて、アイスランドが先制する。ボール支配率7割を超えるフランスにとっては思わぬ失点となった。
■逆転したが、退場処分で1人少なくなり、終盤は防戦一方となったフランス
前半終了間際の43分にテュラムがペナルティエリア内にボールを持って入ったところで、かかとにタックルされる。VARの末、フランスにPKが与えられ、キッカーは主将のムバッペ。ムバッペはPKを成功させ、代表通算52ゴールで単独2位となる。
後半に入って62分、チュアメニがムバッペに縦パスを送り、右サイドを駆け上がる。完全にアイスランドのDFラインを抜き去り、最後は中央にパスを出し、バルコラが勝ち越し点を奪った。
逆転をしたところまではよかったが、68分にはチュアメニのタックルがVARの結果、危険なタックルということで退場処分となる。1人少なくなったフランスは守備に追われることになったが、何とか逃げ切る。辛勝で9月の戦いを連勝で乗り切ったのである。(この項、終わり)