第3633回 ワールドカップ出場決定にあと一歩(1) 28歳で代表初選出となったジャン・フィリップ・マテタ

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■好調なスタートを切ったフランス

 前回までの本連載では10月初めに行われたチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのリーグフェーズ第2節でフランス勢が好成績を残したことを紹介した。この勢いを10月中旬に行われる代表チームのワールドカップ予選に持ち込みたいところである。今回から中盤戦を迎えたワールドカップ予選について紹介したい。
 かつては2年近くの期間で行われていたワールドカップ予選であるが、今回のフランスは9月から11月までの2か月間に6試合戦うという短期決戦となった。
 9月に行われた2試合については本連載の第3610回から第3616回で紹介したが、フランスはウクライナ、アイスランドに連勝するという好調なスタートを切った。
 9月の2試合を終えた時点で、フランスの所属するグループDの順位は首位が連勝のフランス(勝ち点6、得失点差+3)、2位は1勝1敗のアイスランド(3、+4)、3位は1分1敗のウクライナ(1、-2)、4位は1分1敗のアゼルバイジャン(1、-5)となっている。フランスは10月10日にホームでアゼルバイジャン、13日にアウエーでアイスランドと対戦する。他国の結果次第ではあるが、10月のうちに首位を確定、すなわちワールドカップ出場を決定することができる。UEFAネーションズリーグの発足以来、親善試合の機会が少なくなっており、フランスとしては早期にワールドカップ出場を決めて、11月の連戦は来年の本大会に向けた準備の機会としたいところである。

■10月2日に発表された23人のメンバー

 この連戦に向けてディディエ・デシャン監督は10月2日に23人のメンバーを発表した。GKはマイク・メニャン、ブリス・サンバ、ルカ・シュバリエの3人、DFはルカ・ディーニュ、マロ・グスト、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノの9人、MFはマヌ・コネ、アドリアン・ラビオ、エドゥアルド・カマビンガ、ミカエル・オリーズ、ケフラン・テュラムの5人、FWはマグネス・アクリウシュ、ブラッドリー・バルコラ、キングスレー・コマン、ウーゴ・エキティケ、ジャン・フィリップ・マテタ、キリアン・ムバッペ、クリストファー・ヌクンクの7人となった。

■負傷で離脱したデジレ・ドゥエとウスマン・デンベレ

 9月の連戦時と守備陣は全く同じメンバーとなったが、中盤以降の攻撃陣には多数の選手が入れ替わった。ウスマン・デンベレとデジレ・ドゥエが負傷によりメンバーから外れ、5人が入れ替わった。

■パリオリンピックにオーバーエイジ枠で出場したジャン・フィリップ・マテタ

 その中で唯一の代表初招集となったのがマテタである。イングランドのクリスタル・パレスに所属する28歳のFWである。28歳で代表初招集という遅咲きの選手である。リヨンの下部組織にいた時にアレクサンドル・ラカゼット、ナビル・フェキルの負傷によってトップチームに引き上げられた。リヨンでの活躍は少なかったが、その後、ドイツのマインツにはクラブ史上最高の移籍金で移籍し、クリスタル・パレスではオリバー・グラスナー監督に重用され、クラブ史上初のFAカップでの初優勝に貢献した。ロンドンの名門クラブは今季はヨーロッパリーグにも出場している。
 フル代表は今回が初招集であるが、年代別の代表の経験はある。最初にそのマテタの名が知られるようになったのは2019年にイタリアで行われた21歳以下の欧州選手権である。フランスにとって13年ぶりの出場となったが、この大会でマテタが活躍、フランスは上位4チームに入り、東京オリンピックの出場権を獲得する。2021年に行われた東京オリンピックでは所属チームがリリースせず、出場はかなわなかった。しかし、その3年後に行われたパリオリンピックでマテタはオーバーエイジ枠で選出される。奇しくも自らのリヨンでのトップチーム入りのきっかけとなったラカゼットと共に若いチームを引っ張ったのである。(続く)

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