第3786回 ディディエ・デシャン監督のラストゲーム(2) 選手としても監督としてもラストゲームはイングランド戦

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■不本意な戦いの中で得点王を目指すキリアン・ムバッペ

 準決勝で敗れて不本意な戦いとなる3位決定戦であるが、モチベーションという点ではフランスの方が多くのものを持っていた。まず、個人タイトルとしては得点王ランキング、ジュ決勝を終えた時点でキリアン・ムバッペがアルゼンチンのメッシと並んで8点でトップである。他方、イングランドはハリー・ケインとジュード・ベリンガムが6点である。チームの勝利が優先とはいえ、前人未到の2大会連続の得点王にむけたムバッペとムバッペを支えるメンバーは優勝が消えたとはいえ。ゴールへの意欲は高いであろう。

■2000年9月2日のイングランド戦で代表を引退したディディエ・デシャン

 そして今大会限りでフランス代表監督の座を去るディディエ・デシャン監督にとってはラストゲームである。14年間というフランス歴代最長の監督歴を誇るデシャン監督の最後の試合を白星で送り届けたいと思うのは選手だけではなくファン、国民も同じ思いであろう。実はデシャン監督は選手としてもラストゲームはイングランド戦であった。
 デシャンは主将として2000年の欧州選手権で主将としてチームを優勝に導き、1998年のワールドカップとの二冠を達成する。この欧州選手権優勝メンバーのうち、1980年代にフランス代表にデビューし、10年以上チームを支えてきたのがデシャンとローラン・ブランであった。当時35歳だったブランは欧州選手権後速やかに代表からの引退を表明したが、31歳のデシャンが現役引退を表明したのはイングランド戦の3日前であった。2000年9月2日にスタッド・ド・フランスで行われたイングランドとの親善試合にはデシャンもブランも先発で出場、2人とも57分に退いている。なお、試合はフランスはエマニュエル・プチ、イングランドはマイケル・オーウェンがゴールをあげ、ドローとなっている。

■選手としては1勝2分2敗、監督としては2勝1敗

 デシャンの現役時代のイングランド戦の成績は1勝2分2敗、そのうちタイトルマッチはドローに終わった1992年の欧州選手権のグループリーグでの対戦である。
 監督としてイングランドとは3回対戦してきた。最初の対戦は2015年11月17日のウェンブリーでの親善試合である。フランスは直前のドイツ戦はパリ同時多発テロの標的になり、試合の実施も危ぶまれたが、関係者の努力により厳重な警備の下に試合は行われ、0-2で敗れている。2回目の対戦は2017年6月のスタッド・ド・フランス、イングランドはハリー・ケインが2点を上げたが、フランスはウスマン・デンベレが決勝点を上げて3-2と勝利している。そして直近の対戦が2022年ワールドカップでの対戦、フランスが2-1と勝利、監督としてのデシャンのイングランド戦の成績は2勝1敗と勝ち越している。
  デシャンは選手としては1989年4月29日のパルク・デ・プランスでのユーゴスラビア戦でデビューし、スコアレスドローであった。監督としてのデビュー戦も2012年8月15日のルアーブルでのウルグアイ戦であり、この時はスコアレスドローであった。選手としても監督としてもデビュー戦はドロー、選手としてのラストゲームもドロー、監督としてのラストゲームは勝利で飾りたいであろう。

■国際大会で上位に進出するが、惜敗が続くイングランド

 一方のイングランドのモチベーションは準決勝のアルゼンチン戦での逆転負けの汚名を返上したいところである。近年、イングランドは国際大会で上位に進出しているが、今回の準決勝のアルゼンチン戦は逆転負け、2020年欧州選手権の決勝ではイタリアにPK戦で敗れ、2024年欧州選手権決勝のスペイン戦は終盤に決勝点をミケル・オヤルサバルに奪われている。そして2022年のワールドカップ準々決勝でもフランスを押し込みながら敗れるという惜敗が続いている。
 ワールドカップと欧州選手権の最終戦にイングランドが勝利したのは1980年の欧州選手権のスペイン戦までさかのぼらなくてはならないが、この時はグループリーグで敗退しているのである。(続く)

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