第644回 ラグビー、秋の陣(3) 強豪となったアルゼンチンを迎える

■フランスが4連敗中のアルゼンチン

 フランス代表とニュージーランド代表のオールブラックスの試合はリヨンでもパリでもオールブラックスが勝利を収め、ウェールズと対戦するためにフランスを離れた。一方のフランスはニュージーランドとの試合で連敗した次の週末の11月25日にはアルゼンチンと戦うことになっている。
 これまでのワールドカップで優勝したことがあるニュージーランドに比べると、アルゼンチンは旧インターナショナルボードにも所属しないことから日本のラグビーファンの皆様は格下の相手であると思われていることであろう。実際にアルゼンチンは今年4月には日本を破っているが、1998年の対戦では日本が勝利しており、日本のファンの皆様にとっては簡単な相手であるという認識が強いであろう。
 ところが、フランスはこのアルゼンチンを大の苦手としている。アルゼンチンと最後に戦ったのは2004年11月20日のことであるが、この時の対戦は本連載第399回で紹介したとおり、マルセイユで14-24と敗れ、2002年6月に敗れて以来、4連敗となってしまっている。読者の皆様もよくご存知の通り、フランス代表の調子は悪くなく、北半球の雄として相応しい対戦成績を他の強豪国とは残している。逆にアルゼンチンもフランス相手には非常に相性がよく、フランスと4連勝している間に南半球3か国(豪州、ニュージーランド、南アフリカ)との対戦成績は8戦全敗、北半球勢とも戦っているが、ウェールズに3勝1敗、イタリアに4勝1敗と勝ち越してはいるものの敗戦も記録しており、アイルランドには3戦全敗、イングランドとは1勝1敗、スコットランドには1勝という成績であり、いかにフランス相手に相性がいいかがお分かりであろう。

■イングランド、イタリアを敵地で撃破したアルゼンチン

 今年になってアルゼンチンは好調そのものである。6月にウェールズをブエノスアイレスに迎えて連勝、ニュージーランドには19-25と惜敗する。7月には南米大陸のチリ、ウルグアイとワールドカップ予選で対戦し、難なく連勝して6大会連続6回目の出場を果たしている。ワールドカップの歴史の中でコンスタントに予選を勝ち抜いて全大会に出場しているのはこのアルゼンチンと日本くらいであろう。
 そして欧州のファンを驚かせたのがこの秋の欧州ツアーである。フランスがニュージーランドと戦ったのと同じ日にアルゼンチンはイングランド、イタリアと戦っている。フランスがニュージーランド相手に記録的な大敗を喫した11月11日、ロンドンではアルゼンチンが前回のワールドカップ王者であるイングランドに対し25-18と歴史的な勝利を挙げた。イングランドが旧インターナショナルボード以外の国と本拠地トゥイッケナムで敗れたことはおそらく歴史上初めてのことではないだろうか。そしてこのアルゼンチンは18日には近年力をつけつつあるイタリアとローマで対戦、23-16と勝利している。

■今年になって唯一の敗戦はニュージーランド相手の接戦

 2006年になってからのフランスの成績は6勝3敗であるが、北半球相手の成績はスコットランドに敗れたい外は全勝して5勝1敗、南半球相手の成績は1勝2敗である。この南半球相手の2敗はニュージーランド戦であり、いずれも大敗(3-47、11-23)している。一方のアルゼンチンは6勝1敗、唯一の敗戦はニュージーランド相手の19-25という惜敗である。
 ニュージーランド戦がいずれも両国にとってホームゲームであることを考慮すれば、フランスとアルゼンチンは単純に相性の良し悪しではなく、地力においてもアルゼンチンが相当のレベルにあると考えることができる。

■連敗中のフランス、連勝中のアルゼンチン

 そして秋になってからの試合成績を見てみれば、フランスはニュージーランド相手に連敗、アルゼンチンはイングランドとイタリアを撃破ということで、両チームの成績は対照的であり、調子がいいのは明らかにアルゼンチンである。フランスはこの試合で敗れるとアルゼンチン戦で5連敗となってしまう。悲壮感漂う中で11月25日を迎えたのである。(続く)

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