第698回 リトアニア、オーストリアと連戦(4) 負傷者の穴を埋めた5人の新人

■フランス国内でマリに完敗したリトアニア

 ワールドカップ優勝国であるイタリアとアウエーで引き分けたリトアニアとのアウエーゲーム、フランスには期待と不安が混在している。
 まず、期待できる部分はフランスの自信であろう。アルゼンチンに敗れたとはいえ、底力のあることは事実である。さらに、フランスがアルゼンチンとスタッド・ド・フランスで戦った前日にリトアニアはスタッド・ド・フランスのあるサンドニの隣町のラ・クールヌーブでマリと親善試合を行っている。マリ代表の選手の多くはフランスリーグに所属していること、2月はまだリトアニアでは試合を行うコンディションではないことからこのような中立地での対戦となったのであろう。マリが先制点をあげ、いったんはリトアニアは追いつくものの、マリに勝ち越し点、追加点を許し、マリが3-1で勝利している。アルゼンチン戦の前日とはいえ、パリ近郊での試合であることから、多くの分析スタッフが駆けつけている。リトアニアの完敗を見て、油断はできないが、自信を持ったのは事実であろう。

■多数の負傷者を抱えるフランス

 一方、不安については初対戦となるアウエーゲーム、しかもクラブレベルでもほとんど遠征したことのないカウナスでの試合であるということがあげられる。
 そしてフランスは多くの負傷者を抱え、メンバーの選出に苦労した。リトアニア、オーストリアと連戦することから23人のメンバーを選出したが、攻撃陣の中心であるティエリー・アンリとダビッド・トレゼゲの2人が選出されず、ルイ・サアもメンバーから外れている。またリリアン・テュラム、フランク・リベリーも負傷中でありメンバー入りしていない。

■FWにカリム・ベンゼマとフレデリック・ピキオンヌ

 このように主力メンバーを欠く一方、新たなメンバーもいる。FWには昨年11月のギリシャ戦で招集されながらも負傷のためメンバーから外れたリヨンのカリム・ベンゼマ、そしてモナコのフレデリック・ピキオンヌの2人がニコラ・アネルカ、ジブリル・シセとともに選出された。代表で試合に出場したことのないベンゼマとピキオンヌは対照的である。代表承継件のあるベンゼマが19歳であるのに対し、初めて代表に招集されるピキオンヌは28歳、サンテエチエンヌで活躍し、今年の初めにモナコに移籍したばかりである。28歳という年齢での代表初招集はそれだけ今回の人選に苦労したことを物語っている。

■初めて招集された3人の若いMF

 そしてMFには若い3人の新人が名を連ねた。マルセイユのサミール・ナスリ(19歳)、チェルシーのラッサナ・ディアラ(22歳)、アーセナルのバシリキ・アブー・ディアビ(20歳)の3人である。
 ナスリはマルセイユ生まれである。マルセイユ生まれでマルセイユに所属する選手は少なくないが、そのほとんどは他クラブの下部組織でプロになるための経験を積み、プロになってからマルセイユに戻ってきた選手である。古くはエリック・カントナ、現在であればリベリーがこのパターンである。しかしナシリはマルセイユの下部組織に所属した生粋のマルセイユ育ちであり、若いがコンスタントに試合に出場し、人気選手である。
 プレミアリーグに所属する2人は意外な選出であった。2人とも少年時代からその才能を見込まれ、若くしてドーバー海峡を渡りイングランドのビッグクラブに所属している。しかしながらプレミアリーグではほとんど出場の機会がない。ディアラは2部リーグに所属していたルアーブルで控えの選手であった。2005年夏に20歳のディアラはチェルシーに移籍し、マケレレ2世と言われたが、移籍初年の出場はわずか3試合、今季もようやく年が明けて1月以降に起用され始め、2シーズンでリーグ戦出場は6試合にとどまっている。またディアビはオセールから昨年1月にアーセナルへ移籍する。19歳以下代表の主将を務め、ビエイラ2世と言われたが、これまでのリーグ戦出場経験はオセールで10試合、アーセナルで12試合だけである。しかも昨年5月に骨折し、この1月末に復帰したばかりであり、体調は必ずしも十分ではなく、所属チームのアルセーヌ・ベンゲル監督からも疑問の声が上がっている。
 このように期待と不安の混じる中でフランス代表は初のバルト三国への遠征を行ったのである。(続く)

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