第726回 欧州選手権予選、首位攻防戦(1) 勝ち点12で並ぶウクライナと対戦

■シーズン直後に行われる国際試合

 9か月にわたるリーグ戦が終了し、シーズンオフを迎え、選手は休養、フロントは移籍など来シーズンの準備に余念がないが、その中でグラウンドを離れることができないのが代表選手である。来年の欧州選手権の予選が6月2日と6月6日に予定されているのである。長丁場のシーズンから開放される間もなく、代表のユニフォームを着て新たなメンバーとプレーし続けなくてはならないが、現在の欧州の過密スケジュールを考えると、この6月初めに国際試合を行い、それからシーズンオフと言う日程もやむを得ないであろう。
 このフランスが所属する欧州選手権予選グループBの6月の日程を確認すると、6月2日にはリトアニア-グルジア戦、フランス-ウクライナ戦、フェロー諸島-イタリア戦があり、スコットランドは試合がなく、6月6日はフェロー諸島-スコットランド戦、リトアニア-イタリア戦、フランス-グルジア戦が行われ、ウクライナは試合がない。

■唯一の4強同士の戦いとなるフランス-ウクライナ戦

 また、現段階での順位については勝ち点12でフランス、ウクライナ(以上4勝1敗)、スコットランド(4勝2敗)が並び、イタリアが勝ち点10(3勝1分1敗)で追い、以下グルジアが勝ち点6(2勝4敗)、リトアニアが勝ち点4(1勝1分3敗)、フェロー諸島が勝ち点0(6敗)となっている。イタリアまでの上位4チームの争いであり、上位4チーム間の争いに注目が集まるが、6月に行われるグループBの上位4チーム間の唯一の戦いがフランス-ウクライナ戦という首位の直接対決である。この一戦に勝利した方が首位の座に大きく前進する。首位と2位では本大会出場に向けて大きな差があることから、両チームとも落とせない一戦である。

■リーグチャンピオンのリヨンから大量9人を選出

 ホームゲームとはいえ相手はウクライナ、シーズンが終了してから準備をしたのでは間に合わない。レイモン・ドメネク監督はシーズン終盤に行われる国内のリーグ戦だけではなくロンドンで行われたFAカップの決勝のマンチェスター・ユナイテッド-チェルシー戦も視察している。
 この2試合のために選ばれたメンバーは23人、そのうち最多の選手となったのがリーグチャンピオンのリヨンであり、グレゴリー・クーペ、エリック・アビダル、フランソワ・クレルク、セバスチャン・スキラッチ、アルー・ディアラ、フローラン・マルーダ、ジェレミー・トゥーララン、カリム・ベンゼマ、シドニー・ゴブーと大量9人が選出された。これに次ぐのがマルセイユの3人であり、サミール・ナスリ、フランク・リベリー、ジブリル・シセがメンバー入りした。国外から招集されたのはチェルシーのラッサナ・ディアラ、クロード・マケレレ、バルセロナのリリアン・テュラムなど8人であった。残る3人はフランスのクラブの選手であり、パリサンジェルマンのミカエル・ランドロー以外の2人は新人となった。

■初めて代表に招集されたバカリ・サーニャとジミー・ブリアン

 まず1人目はオセールの右サイドバックのバカリ・サーニャ、1983年生まれの24歳であり、オセールの育成機関で育ち、今年がプロでの3年目のシーズンとなる。今季は全38試合に先発出場し、右サイドからの攻撃の起点ともなり、先ごろ選手協会の選出によるリーグ最優秀DFに選ばれたばかりである。内外のビッグクラブからも触手が延びている。
 もう1人はレンヌのFWジミー・ブリアンであり、1985年生まれの21歳の選手である。ブリアンは若い頃から注目を集め、4年前にはフランスの若手サッカー選手にとって最大の夢であるガンバルデラカップで優勝をしている。また17歳以下のフランス代表のころから国際舞台で活躍してきた。17歳以下の欧州選手権ではポルトガルのクリスチャーノ・ロナウド、イングランドのルーニーらとともに大会優秀選手に選ばれている。この2人に加え、ベンゼマ、ナスリのような若手選手も連続して選出され、ドメネク監督の若返り方針は継続している。
 一方、注目すべきは3人目のGKとしてフィオレンチーナのセバスチャン・フレイを招集したことである。これまでフランス代表には2004年のポーランド戦と2006年のフェロー諸島戦の際に招集されたことはあるが、試合に出場したことはない。ドメネク監督はシーズン終了直後で、選手の疲労に敏感であった。激しいリーグ戦で疲労のたまっているティエリー・アンリやルイ・サアを外すとともに、負傷者が出るかもしれないGKを3人選出したのである。(続く)

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