第858回 コロンビアとの最終調整試合で勝利

■欧州選手権、ワールドカップ前の親善試合

 30人が集結したティーニュでの合宿、2つの親善試合を経て、23人に絞られたメンバーは6月1日にクレールフォンテーヌに戻ってきた。
 今回の欧州選手権に向けた調整のための親善試合は5月27日のエクアドル戦(グルノーブル、2-0で勝利)、5月31日のパラグアイ戦(トゥールーズ、0-0の引き分け)に続き、6月3日にスタッド・ド・フランスでコロンビアと戦う。欧州選手権、ワールドカップの前の準備期間は3週間、この間に合宿、親善試合を行って現地入りするが、親善試合は最近の場合、3試合行うのが通例となっている。例えば2006年ワールドカップの際はメキシコ、デンマーク、中国と対戦し、3連勝、本大会では準優勝している。2004年の欧州選手権の際はブラジルと引き分け、アンドラ、ウクライナに連勝し、本大会ではベスト8にとどまった。2002年のワールドカップの前には2試合しか行わず、パリでベルギーに敗れ、韓国入りして韓国と戦って勝利しているが、本大会ではグループリーグ敗退である。優勝した2000年の欧州選手権ではクロアチアにアウエーで勝利し、モロッコのハッサン二世杯に出場し、日本にPK勝ち、モロッコに勝利している。また初優勝した1998年のワールドカップでもハッサン二世杯に出場し、ベルギーに勝利、モロッコにPK勝ち、そして直前にフィンランドに遠征し勝利している。

■3試合とも直前の親善試合の相手は南米勢

 このように過去10年間の直前の親善試合を振り返ってみても、以前は遠征を行ったり、アウエーでの試合を行ったりすることがあったが、2004年以降は国内で3試合行ってから開催国に向かうという流れが定着している。これは大会のために十分な日程が取れないこと、ボスマン判決以降、多くの代表選手が国外のクラブに所属しており、少しでも時間を捻出したいと言うことの現れである。
 2006年のワールドカップの際はメキシコが仮想トーゴ、デンマークが仮想スイス、中国が仮想韓国であったが、今回は3チームとも南米勢となった。イタリア、オランダ、ルーマニアと言う強豪相手であり、それぞれの仮想となるチームを見つけることよりもワールドカップ予選で厳しい戦いにさらされている南米勢とのマッチメイクをしたと言えるであろう。
 南米予選はまだ4試合しか消化していない段階であるが、コロンビアはアルゼンチン、パラグアイ、ブラジルに次いで4位である。アルゼンチン、ブラジルとはすでにホームでの対戦を終了しており、ブラジルと引き分け、アルゼンチンに勝利しており、本大会出場へは十分な戦績であり、6月に予定されているアウエーのペルー戦とエクアドル戦に向けて準備に余念のないところである。
 これまでのフランスとコロンビアの対戦は、1972年にブラジルで行われたインディペンデントカップ、そして2003年にフランスで行われたコンフェデレーションズカップの2回で、いずれもフランスが勝利しているが、これが初めての純粋な親善試合での対戦となる。

■心配なパトリック・ビエイラの負傷

 このコロンビア戦の前日にはニコラ・サルコジ大統領がヘリコプターでクレールフォンテーヌに駆けつけ、イレブンを激励し、昼食会を行う。フランスは最後の調整試合ということでレギュラーメンバーでコロンビアを迎え撃つ。この試合の先発メンバーはGKグレゴリー・クーペ、DFは右からビリー・サニョル、リリアン・テュラム、ウィリアム・ギャラス、エリック・アビダル、守備的MFはクロード・マケレレ、ジェレミー・トゥーラランの4人、攻撃的MFの右にフランク・リベリ、左にフローラン・マルーダ、FWはティエリー・アンリ、カリム・ベンゼマとなった。この試合で復帰が望まれたパトリック・ビエイラであるが、この試合ばかりか6月9日のルーマニア戦にも間に合わず、レイモン・ドメネク監督はいったん代表から外したマテュー・フラミニをクレールフォンテームに呼び戻す。

■ティエリー・アンリの代表100試合目を飾る勝利

 テュラムが主将を務めた試合はフランスがやや優勢に進め、24分にこの試合が代表100試合目となるアンリがペナルティエリアの中で倒される。これで得たPKをリベリが決めて先制点をあげる。レギュラーの守備陣が無失点に抑えてフランスはこの1点を守りきる。
 3試合で2勝1分と言う成績は前回の欧州選手権と同じである。そしてPK勝ちを引き分けとみなせば、ワールドカップで優勝した1998年や、欧州選手権で優勝した2000年とも同じである。さて、本大会ではどのような成績になるのであろうか。(この項、終わり)

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