第859回 ルーマニアとスコアレスドロー(1) 24人が初戦の舞台のチューリヒへ

■コロンビア戦の翌日にスイス入りしたフランス代表

 6月3日にコロンビアに勝利した翌日の4日にフランスは欧州選手権のためにスイス入りする。9日のルーマニアとの初戦を控え、フランスのイレブンはレマン湖の東端にあるベベイのホテルを居城とする。このベベイ入りしたフランス代表の選手は24人、規定の23人よりも1人多い。その理由はパトリック・ビエイラの負傷である。レイモン・ドメネク監督はコロンビア戦の前日に急遽マテュー・フラミニを再合流させ、スイスにも帯同させる。メンバーの変更は、グループリーグの第1戦の直前まで可能であり、ビエイラの状況次第でフラミニにメンバーを入れ替える心積もりである。

■強豪ぞろいのグループC、移動の多い第4シードのフランス

 フランスの所属するグループCはイタリア、オランダ、ルーマニア、そしてフランスという強豪ぞろいである。欧州選手権、ワールドカップの予選の成績を累積したポイント化した結果、フランスの評価は低く、第4シード扱いとなったことは本連載の第787回で紹介したとおりであるが、まさか第1シードから第3シードまでがこのような強敵ばかりになるとはよほどの悲観論者ですら思わなかったであろう。
 グループCの日程を確認すると、チューリヒとベルンで開催され、まず6月9日は第1試合がルーマニア-フランス(18時、チューリヒ)、第2試合がオランダ-イタリア(20時45分、ベルン)、6月13日は第1試合がイタリア-ルーマニア(18時、チューリヒ)、第2試合がオランダ-フランス(20時45分、ベルン)、そして6月17日はイタリア-フランス(チューリヒ)、オランダ-ルーマニア(ベルン)の2試合が同時の20時45分にキックオフされる。
 注目していただきたいのは、第1シードのオランダは3試合ともベルンでの試合、しかも20時45分キックオフとなっている。第2シードのイタリアはベルンで第1戦を戦い、その後チューリヒで連戦する。そして第3シードのルーマニアはチューリヒで連戦し、最終戦をベルンで行う。そして第4シードのフランスは第1戦をチューリヒ、第2戦をベルン、第3戦をチューリヒと、その都度、場所を変えなくてはならないのである。

■ルーマニア戦の経験者、リリアン・テュラム、パトリック・ビエイラ、ティエリー・アンリ

 そのフランスの第1戦の相手は第3シードのルーマニアであり、チューリヒのミラドール・ケンピンスキー競技場が舞台となる。これまでフランスのルーマニアとの対戦成績は7勝1分3敗である。ワールドカップでは予選、本大会とも対戦したことがないが、欧州選手権では1996年大会の予選、グループリーグで対戦している。1994年に行われたホームでの試合はドローであったが、1995年に行われたアウエーの試合で勝利し、本大会出場を決めている。そして1996年の本大会では、勝利し、グループリーグを突破している。この一連の試合に出場した選手で今回もメンバーに入っているのはリリアン・テュラムだけである。
 そしてそれ以来の唯一の対戦が2002年2月13日にスタッド・ド・フランスで行われた親善試合である。韓国と日本で開催されるワールドカップイヤーで最初の試合となり、この試合ではビエイラが開始早々に先制点、そしてエマニュエル・プチが追加点を上げて、フランスが勝利した。この試合に出場した選手で今回のメンバーに入っている選手はテュラム、ビエイラ、そしてティエリー・アンリの3人である。フランスはワールドカップに向けて好発進したかに見えたが、ルーマニアは予選敗退後の新チームであり、韓国では無残な結果に終わっている。

■試合の前日に24人が鉄路でチューリヒ入り

 試合の前日にフランスのイレブンは合宿地のベベイから鉄道に2時間揺られてチューリヒ入りした。このチューリヒ入りしたメンバーは24人である。本来なら主将を務めるべきビエイラは、この24人の中で唯一ルーマニア相手に唯一得点を記録したことがあるが、試合に出る状態ではない。しかしグループリーグ終盤あるいは決勝トーナメントを見据えてドメネク監督はビエイラをチューリヒに帯同させたのである。(続く)

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