第1394回 欧州選手権に向けて代表候補を発表(2) フランスリーグ勢の15人を発表

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■15人のフランスリーグ勢を選出

 6月に開幕する欧州選手権の代表23人の選出に向けて、国外のクラブに所属している12人の選手を候補として5月9日に発表したが、それに引き続き、国内のクラブの選手15人のリストをローラン・ブラン監督は5月16日に発表した。
 GKはウーゴ・ロリス(リヨン)、スティーブ・マンダンダ(マルセイユ)、セドリック・カラッソ(ボルドー)の3人、DFはアントニー・レベイエール(リヨン)、マチュー・ドビュッシー(リール)、マプー・ヤンガ・エムビワ(モンペリエ)の3人、MFはアルー・ディアラ、ヤン・エムビラ(レンヌ)、ブレーズ・マツイディ(パリサンジェルマン)、ヨアン・グルクフ(リヨン)、マルバン・マルタン(ソショー)の5人、FWはオリビエ・ジルー(モンペリエ)、ジェレミー・メネス(パリサンジェルマン)、ロイック・レミー(マルセイユ)、マチュー・バルブエナ(マルセイユ)の4人である。

■リーグ首位のモンペリエから久しぶりに2人が選出

 マルセイユから4人、リヨンから3人、パリサンジェルマン、モンペリエから2人ずつ、ボルドー、リール、レンヌ、ソショーから1人ずつ選出されている。
 フランスリーグで首位を走るモンペリエからはジルーに加え、ヤンガ・エムビワが選ばれた。ヤンガ・エムビワは国外組を含めても唯一の初招集となった選手である。モンペリエからは1996年にブルーノ・マルティニが選出されて以来、代表チームに招集される選手がいなかったが、昨年ジルーが15年ぶりの代表入りを果たす。そして今回ヤンガ・エムビワとジルーが選出されたが、このまま2人が代表入りすると、モンペリエからはエリック・カントナと現在代表監督のブランが名を連ねた1990年以来20年ぶり以上にモンペリエから複数の選手が代表入りすることになる。
 ブラン監督はモンペリエでプロとしてのスタートを切り、モンペリエを1991年に去るまで、モンペリエで選手生活のキャリアの中で最も長く過ごした。実はブランはモンペリエで84得点をあげており。モンペリエの歴代最多得点王である。

■唯一の初招集となるマプー・ヤンガ・エムビワ

 ヤンガ・エムビワは中央アフリカ共和国の首都バンギの出身の23歳である。中央アフリカは1960年にフランスから独立し、パリではペルシャン通りにある大使館が有名であるが、サッカーの世界では人材を輩出しておらず、近年のワールドカップやアフリカ選手権では棄権が多く、フランスのサッカーファンにとってもなじみのない国である。
 バンギ出身のヤンガ・エムビワは8歳で南仏に家族とともに移住した。モンペリエの下部組織で育ち、クラブの生え抜きという点ではブラン監督と同じである。23歳にしてクラブの主将を任され、守備位置はストッパー、実は9日に選出した選手のうち、ストッパーのユーネス・カブール(イングランド:トットナム)が負傷のため代表から外れている。そのような要因もあり、ヤンガ・エムビワが代表入りしているが、リーグ戦ではライバルのパリサンジェルマンのママドゥ・サコをおさえて代表入りした。現在はストッパーであるが両サイドのDFも可能であるため、欧州選手権のような大会には非常に重宝されるポリバレントな選手である。
 近年のフランス代表のウィークポイントがこのストッパーであるが、偉大なるストッパーであったブラン監督の期待に応えることができるであろうか。

■選ばれなかったベテラン選手たち

 今回のメンバー選出の特徴的な点は、ブラン監督がこの1年ほど代表にカムバックさせたベテラン選手が選から漏れたことである。例えばルイ・サア(33歳)、ジブリル・シセ(30歳)などは候補リストの段階で外れており、ベテランの力よりは若手選手の勢いにかけようというブラン監督の意図が見える。
 さて、フランス代表の26人の候補選手たちは18日にクレールフォンテーヌに集結、27日にバランシエンヌでアイスランドと親善試合を行い、29日に23人メンバーを最終的に決定するのである。(この項、終わり)

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