第1404回 欧州選手権に挑むフランス代表(1) 真価を問われるヨアン・グルクフとハテム・ベンアルファ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■バランシエンヌの新スタジアムで初の代表戦

 4年に1度、オリンピックイヤーのシーズンオフに行われるのが欧州選手権である。本連載では昨年12月に第1328回から第1331回にかけて本大会の組み合わせについて紹介したほか、5月には第1393回と第1394回で代表候補選手について紹介した。
 国外のクラブから12人、国内のクラブから15人の代表候補を選出したが、その中からトットナムのユーネス・カブールとマルセイユのロイック・レミーが離脱し、25人体制で5月18日からの合宿を行った。5月29日に最終メンバー23人を発表するが、スケジュールについて確認すると、5月27日にバランシエンヌでアイスランドと親善試合を行い、31日にはランス(Reims)でセルビアと親善試合、そして最後の親善試合は6月5日にルマンでのエストニア戦、それからウクライナ入りし、6月11日にイングランドとの初戦を迎える。
 すなわち、5月27日のアイスランド戦は選手選考の最後で唯一の機会である。バランシエンヌにはナンジェッセール競技場があり、数度の改装を経て規模を大きくしてきたが、2011年に近代的なスタジアムのエイノー競技場がバランシエンヌの1部復帰に合わせて建設された。フランス代表がこのスタジアムで試合を行うのは初めてのことであり、フランス代表が国内で試合をする41番目の競技場となった。

■1987年生まれの4人が先発に名を連ねる

 さて、この試合の先発メンバーであるが、GKはスティーブ・マンダンダ、DFは左にパトリス・エブラ、右にマチュー・ドビュッシー、中央はフィリップ・メクセスとアディル・ラミ、MFは守備的な位置に2人、右にヨアン・グルクフ、左にヨアン・カバイエ、攻撃的な位置には3人、中央にサミール・ナスリ、左にジェレミー・メネス、右にハテム・ベンアルファ、そしてFWは1人、カリム・ベンゼマである。
 ベンゼマ、ナスリ、ベンアルファ、メネスという1987年生まれの黄金世代が先発メンバーに並んだ。

■久しぶりに出場するヨアン・グルクフとハテム・ベンアルファ

 本連載の読者の皆様ならばよくお気づきのことかと思われるが、このところ代表チームの先発メンバーから遠ざかっている選手が多く、その代表が2010年8月のノルウェー戦以来となるベンアルファであり、2011年3月のクロアチア戦以来となるグルクフである。ベンアルファの場合は長い間、代表チームから選出されなかった。グルクフは2008年の欧州選手権以降に代表チームから招集され続けてきたが、けがなどもあり、この1年間は所属のリヨンでも活躍できず、代表チームからも遠ざかっていた。今回の候補選手に入った際はかつて所属していたボルドー時代の監督であるブラン監督の愛弟子であるから選ばれたのではないか、という噂話が流れた。そしてこの2人に共通するのは性格的な面でチームメイトあるいはチームの首脳陣との関係が良好ではなく、問題を起こしたこともある。この2人にとって真価を問われるバランシエンヌでの戦いとなった。

■アイスランドと初めての親善試合

 アイスランドの女性サポーターを写した宇都宮徹壱氏の作品が日本初の学部横断型マネジメントスクールのホームページに使用されていることから日本の皆様にとってはよくご存じのことであろう。
 また、アイスランドは欧州選手権予選はデンマーク、ポルトガル、ノルウェー、キプロスと同じグループHに入ったが、最下位のキプロスに1勝1分した以外の上位3チーム相手には6戦全敗で4位にとどまり、予選敗退している。予選敗退後初めての試合が2月24日に行われた日本との親善試合である。
 ここまでフランスとアイスランドは10回対戦しているが、いずれもワールドカップあるいは欧州選手権の予選であり、これが初めての親善試合での対戦となる。
 世界ランキングはフランスが16位、アイスランドは131位、フランスにとっては力量の差があるチームとのホームゲームであったが、思わぬ展開になったのである。(続く)

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