第1407回 欧州選手権に挑むフランス代表(4) 両サイドの活躍でセルビアに快勝

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2010年ワールドカップに出場したセルビア

 23人の本大会出場メンバーが決定したその翌々日、フランス代表はセルビアと親善試合を行う。セルビアは今回の欧州選手権では欧州予選で敗退しているが、その前の2010年のワールドカップ予選ではフランスと同じグループ7に入り、フランスを抑えて首位となり本大会に出場している。しかしセルビアは、南アフリカの本大会ではグループDで1勝2敗で最下位となり、早々に南アフリカを去っている。このワールドカップのグループリーグで最下位となった欧州勢はセルビア、フランス、イタリアの3か国であり、セルビアはその無念を晴らそうと今回の欧州選手権予選に挑んだものの、イタリアのいるグループCで2位のエストニアに勝ち点で1及ばず、予選で敗退している。

■フランスの先発メンバー

 フランスはイングランド戦の先発選手を確認するメンバーで臨む。GKは主将のウーゴ・ロリス、DFは右にアントニー・レベイエール、中央はフィリップ・メクセスとローラン・コシエルニー、左はガエル・クリシーである。守備的MFは中央にヤン・エムビラ1人、攻撃的MFは右にヨアン・カバイエ、左にフローラン・マルーダ、そして攻撃陣は右ウイングにサミール・ナスリ、左ウイングはフランク・リベリー、中央の1トップはカリム・ベンゼマである。

■33年ぶりに1部復帰した名門スタッド・ド・ランス

 さて試合会場のランス(Reims)のオーギュスト・ドローヌ競技場は名門スタッド・ド・ランスの本拠地である。長年低迷したスタッド・ド・ランスであるが、今年は実に33年ぶりに1部に復帰、来季のスケジュールがこのセルビア戦の前日に発表になったが、8月12日の開幕戦ではマルセイユを迎えるという夢のカードが組まれている。
 スタッド・ド・ランスの1部復帰を祝福したかのような今回の代表チームのセルビア戦であるが、1938年のワールドカップでも使用されており、代表の試合は1970年4月28日のルーマニア戦以来、実に42年ぶりのことであり、キックオフのセレモニーではかつてスタッド・ド・ランスの黄金時代を築き、フランス代表として1958年のワールドカップで大活躍したジュスト・フォンテーヌが姿を見せる。

■相性の良い旧ユーゴスラビアのセルビア相手に序盤で試合を決める

 フランスは旧ユーゴスラビア相手には苦戦したが、ユーゴスラビアの解体後の各国との相性はよい。ユーゴスラビア解体後の各国との対戦成績であるが、セルビアとは1勝1分、クロアチアとは3勝2分、ボスニア・ヘルツェゴビナとは2勝2分、スロベニアとは3勝という具合に負けたことがない。
 また、予選敗退したセルビアは、今年2月からチームを始動しているが、選手を大幅に入れ替え、若手中心の編成である。
 ところが、開始早々の5分、守備的MFのエムビラが相手選手と接触し右ひざを痛めて早々に退場してしまい、アルー・ディアラがピッチに入る。
 アイスランド戦は前半に2点を奪われる展開であったがこの日のフランスは違った。それはリベリーがピッチの上にいたからである。リベリーは左サイドでクリシーとともにチャンスを作り出し、そして先制弾を放ち、所属チームのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)での悔しい思い出を払拭するかのようなアイスランド戦に次ぐゴールで、フランスはリードする。また左サイドバックの定位置をパトリス・エブラと競り合うクリシーにとってもこの日は左サイドを縦横無尽に走り、レギュラー争いは激しくなった。
 そして15分には右サイドの選手たちが活躍する。レベイエールが相手選手にプレッシャーをかけ、マルーダがボールを奪い、25メートルのシュート、このシュートが決まり、フランスは開始15分で2点をリードした。
 アイスランド戦とは全く逆の展開となり、その後もフランスは安定した戦いぶりで、若いセルビアを2-0と下す。
 フランスはアイスランド戦での乱調から立ち直り、最後の調整試合へと向かったのである。(続く)

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