第1406回 欧州選手権に挑むフランス代表(3) 23人の代表決定、ストッパー3人で本大会入り

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■精彩を欠いたヨアン・グルクフが落選

 フランスにとってアイスランドとの初めての親善試合、2点を先行されたものの、後半に3点を奪って逆転、勝利したものの、その内容、さらに23人の本大会出場枠を巡る線上にあるカムバック組は心もとない内容であった。
 そのアイスランド戦の2日後、欧州選手権に向けて23人のメンバーを発表した。5月半ばから25人で活動してきたフランス代表であるが、2人が代表チームから離脱することになる。
 5月29日14時、ローラン・ブラン監督の発表したリストから外れたのはヨアン・グルクフとマプー・ヤンガ・エムビワの2人であった。
 グルクフは長いブランクを経て久しぶりに代表チームに招集されたものの、最後のテストとなるアイスランド戦では先発出場の機会を得たものの、精彩を欠く動きで、フランク・リベリーと交代させられた。

■意外だったストッパーのマプー・ヤンガ・エムビワの落選

 一方、ヤンガ・エムビワはストッパーの選手であるが、フィリップ・メクセス、アディル・ラミ、ローラン・コシエルニーの3人との力量に差があり、2つのポジションを3人で本大会を乗り切ることをブラン監督は表明した。
 グルクフの落選は予想された通りであったが、ヤンガ・エムビワがリストから漏れたことは意外な結果であった。もともと、ストッパーは戦術的交代の少ないポジションではあるが、負傷や警告、退場により出場できなくなるリスクはむしろ他のポジションよりも大きいと言えよう。

■ストッパーのアクシデントを乗り越えた1998年ワールドカップ決勝

 思い出すのは1998年のワールドカップである。この地元開催のワールドカップ、当時は選手登録は今より1人少ない22人であったが、エメ・ジャッケ監督はストッパーにブラン、フランク・ルブッフ、マルセル・デサイーの3人だけをストッパーとして登録していた。しかし、ブラジルとの決勝ではストッパーのブランが出場停止となり、ルブッフとコンビを組んだデサイーが2回の警告を受け退場し、20分以上もフランスはブラジルよりも少ないメンバーで戦うという事態が起こった。そのピンチを救ったのが当時はMFとして出場していたエマニュエル・プチであった。またこのときのメンバーにはサイドバックのリリアン・テュラムもストッパーを務めることができた。
 ところが今回のメンバーにはストッパーも務めることができる選手は辛うじてパトリス・エブラがいるが、所属チームのマンチェスター・ユナイテッドでは今季はサイドバックとしてしか出場していない。
 1998年のワールドカップ決勝で出場停止となったブラン監督はストッパーの重要性は認識していたであろうが、5月27日のアイスランド戦でヤンガ・エムビワを出場させなかった段階で腹は固まっていたのであろう。

■本大会に臨む23人のメンバー

 この結果、あらためて23人のメンバーを紹介すると、GKはウーゴ・ロリス(リヨン)、スティーブ・マンダンダ(マルセイユ)、セドリック・カラッソ(ボルドー)の3人、DFはアントニー・レベイエール(リヨン)、マチュー・ドビュッシー(リール)、フィリップ・メクセス(イタリア:ACミラン)、アディル・ラミ(スペイン:バレンシア)、パトリス・エブラ(イングランド:マンチェスター・ユナイテッド)、ガエル・クリシー(イングランド:マンチェスター・シティ)、ローラン・コシエルニー(イングランド:アーセナル)の7人、MFはヨアン・カバイエ(イングランド:ニューカッスル)、フローラン・マルーダ(イングランド:チェルシー)、サミール・ナスリ(イングランド:マンチェスター・シティ)、アルー・ディアラ、ヤン・エムビラ(レンヌ)、ブレーズ・マツイディ(パリサンジェルマン)、マルバン・マルタン(ソショー)の6人、FWはフランク・リベリー(ドイツ:バイエルン・ミュンヘン)、カリム・ベンゼマ(スペイン:レアル・マドリッド)、ハテム・ベンアルファ(イングランド:ニューカッスル)、オリビエ・ジルー(モンペリエ)、ジェレミー・メネス(パリサンジェルマン)、ロイック・レミー(マルセイユ)、マチュー・バルブエナ(マルセイユ)の7人という陣容である。(続く)

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