第1411回 初戦はライバル・イングランド戦(3) フランス-イングランド戦は1-1のドロー

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■舞台はドネツクのドンバスアリーナ

 フランス、イングランドにとって国際大会で久しぶりの上位進出を狙いたい今回の欧州選手権はポーランドとウクライナの共同開催である。ポーランドとウクライナそれぞれ4都市、合計8都市8会場で行われ、いずれの会場もグループリーグを3試合ずつ行うようになっている。また決勝トーナメントは7試合行われるが、3会場で2試合ずつ行い、残り1試合を1会場で行う。フランス-イングランド戦の行われるウクライナのドネツクのドンバスアリーナは決勝トーナメントを2試合行う会場であり、主要スタジアムであると言えよう。この舞台で、まず、ゴッド・セーブ・ザ・クィーン、そしてラ・マルセイエーズとドンバスアリーナに両国の国歌が鳴り響き、試合はキックオフされたのである。

■直前のエストニア戦と同一メンバーのフランス、苦悩のイングランド

 フランスの先発メンバーは直前のエストニア戦と同じであり、GKはウーゴ・ロリス、DFは右にマチュー・ドビュッシー、中央にアディル・ラミとフィリップ・メクセス、左にパトリス・エブラ、守備的MFはアルー・ディアラ、攻撃的MFは右がヨアン・カバイエ、左がフローラン・マルーダ、そしてFW人は右にサミール・ナスリ、左にフランク・リベリー、中央はカリム・ベンゼマである。エストニア戦でのイメージをそのままこのイングランド戦にも継続させたいところである。
 一方、イングランドは前回の本連載で紹介したとおり、負傷者続出に加え、ウェイン・ルーニーが出場停止、5月に就任したばかりのロイ・ホジソン監督は苦悩の末に先発11人を選ぶ。ルーニーに代わるFW陣にアシュリー・ヤングとダニー・ウェルバックというルーニーのマンチェスターユナイテッドでのチームメートを起用。弱冠18歳のアレックス・オクスレイド・チェンバレンが先発メンバーとなる。

■劣勢のイングランドが先制点

 試合の序盤はイングランドも果敢に攻撃を仕掛ける。この試合最初の得点チャンスは14分、ヤングからジェームズ・ミルナーへの縦パスが通り、ミルナーがシュートするが、フランスのGKロリスが勇敢に飛び出て、シュートは枠から外れる。徐々にフランスが試合を支配し始める。力量の差を認識したイングランドはサッカーの母国の誇りを捨て、守備に力を入れる。試合当初は4バックの4人が守っていたが、セントラルMFのスティーブン・ジェラードとスコット・パーカーは最終ラインの直前まで後退し、6人が守備ラインに吸収されたような形となり、フランスに押し込まれる。
 しかし、先制点はイングランド、30分に右サイドからジェラードがFK、これをゴール前に上がっていたマンチェスター・シティのストッパーのジョレオン・レスコットがアルー・ディアラに競り勝ってヘディングでゴールネットを揺らした。
 劣勢だったイングランドの先制点にどよめく観衆、ヘディングの競り合いに負けたアルー・ディアラは名誉回復とばかりにその直後の35分に立て続けにイングランドのゴールを襲うが得点ならず、しかしフランスの意地を感じさせるプレーであった。

■サミール・ナスリの強烈な同点ゴール

 そして同点ゴールは39分に生まれる。フランスは左サイドから攻め上がる。リベリーからのパスを受けたナスリがペナルティエリアの境からほぼ20メートルの鮮烈なシュート、ナスリとマンチェスター・シティでのチームメートであるジョー・ハートのセービングも届かず、フランスは同点に追いつく。
 ここからフランスは攻勢を強め、イングランドは両サイドのMFのオクスレイド・チェンバレンとミルナーもほぼ最終ラインの前まで後退し、イングランドの白い壁は8人になる。
 フランスは好調な攻撃陣が波状攻撃を仕掛けるが、イングランドの守備陣を崩すことはできず、19本のシュートを放ちながら、1点どまり。逆にイングランドはわずか3本のシュートであったが1得点をあげ、神は女王を救った。得点はいずれもプレミアリーグを制したマンチェスター・シティの選手によるものであった。復権を目指す両チームの戦いは1-1のドローとなったのである。(この項、終わり)

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