第1942回 ようこそフランスへ(2) 第1シードで予選落ちしたオランダとギリシャ

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■予選出場53チーム中23チームが本大会に出場

 2014年9月に始まった来年の欧州選手権予選には53の国と地域が参加した。開催国のフランスは本戦出場権があり、予選には参加しなかったがグループIのチームとホームアンドアウエー形式で親善試合を重ねてきたことは本連載で紹介した通りである。
 今回は23チームが予選を突破することができる。数字の上では過去にはない「広き門」となった。本連載第1746回で今回の予選の組み合わせについて紹介したが、参加53チームが9つのグループに分かれ、各グループの首位と2位は本大会に出場できる。グループで3位になった9チームは最下位チーム以外との対戦成績で最も良かった1チームは本大会に出場、それ以外の8チームはホームアンドアウエー方式でプレーオフを戦い、4チームが本大会に出場することができる。

■第1シードから第6シードまでシード分け

 また、出場する53チームは6つのシードに分けられている。このシード順位は2010年ワールドカップの本予選、2012年欧州選手権の本予選、2014年ワールドカップの予選の成績を加重してクラス分けされたものである。第1シードにはスペイン、ドイツ、オランダ、イタリア、イングランド、ポルトガル、ギリシャ、ロシア、ボスニア・ヘルツェゴビナの9か国が入った。
 この中で第1シードらしくグループ首位として本大会出場を決めたのはスペイン、ドイツ、イタリア、イングランド、ポルトガルの5か国だけであった。グループEのイングランドに関しては本連載第1938回で紹介した通り、10戦全勝で予選を通過している。ドイツはグループDで7勝1分2敗の勝ち点22、2位ポーランドは6勝3分1敗の勝ち点21と迫られたが、辛くも世界チャンピオンの体面を保った。

■予選で最下位に終わったギリシャ

 一方、第1シードらしからぬ結果となったチームもあった。第1シードとしての期待を裏切ったのがグループFのギリシャであろう。2014年のワールドカップではグループリーグで優勝候補の日本と引き分け、決勝トーナメントに進出したことは記憶に新しい。2010年のワールドカップから連続して本大会に出場してきたが、今回は経済危機の影響があったのであろうか、第1戦で第3シードのルーマニアをホームに迎えたが、PKで失った1点が重くのしかかり、0-1で落としてしまう。予選最終戦のホームでのハンガリー戦でようやく初勝利をあげるが、1勝3分6敗という成績で最下位に終わってしまった。
 また、グループBの第1シードのボスニア・ヘルツェゴビナも苦戦した。2014年のワールドカップで初めて国際大会の本大会に出場し、グループリーグで敗退したものの、ファンの期待の高まる中で欧州選手権を迎えた。初戦はホームでキプロスに敗れ、続く10月の連戦ではウェールズとベルギーに引き分け、そして11月にはイスラエルにアウエーで敗れ、2014年は未勝利のまま終わってしまった。ようやく2015年3月のアンドラ戦で初勝利、最後の3試合で3連勝し、イスラエルをかわして3位に入り、プレーオフに望みをつないだ。

■ワールドカップ準優勝から予選落ちとなったオランダ

 そして、最大の驚きはグループAのオランダである。ワールドカップで準優勝したオランダは初戦は第2シードのチェコとアウエーで対戦、1-2と黒星でスタートする。第2戦はカザフスタンに勝利したものの、第3戦ではアイスランドに敗れ、調子の波に乗ることのないまま予選を終えてしまい、4勝1分5敗という成績で、チェコ、アイスランド、トルコに次いで4位になってしまい、本大会出場を逃してしまった。オランダはカザフスタン、ラトビアという下位チームには勝利したが、上位のチェコ、アイスランド、トルコ相手にはホームでトルコに引き分けただけで1分5敗、これでは予選敗退もやむなしであろう。オランダがワールドカップ、欧州選手権の本大会に出場しないのは2002年以来のこととなる。このように第1シードのチームが複数敗退する波乱の予選となったのである。(続く)

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