第2015回 欧州選手権に挑む23人、メンバー決定(1) 5月12日に23人のメンバーを発表

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■有力国の中では早目にメンバーを発表したフランス

 6月10日に開幕する欧州選手権、ディディエ・デシャン監督は23人のメンバーを5月12日に発表した。最終的なメンバーリストの決定は5月末日であり、5月31日にメンバーを発表するイタリア、ウェールズ、ルーマニアのような国もあるが、フランスは自国を含む主要国のリーグが終了する直前のタイミングでメンバーを発表している。フランスと同日にメンバーを発表したのが現在欧州勢の中ではランキングが最上位のベルギー、その他の有力国については16日にイングランドが発表、ドイツ、スペイン、ポルトガルは17日に発表する。

■カリム・ベンゼマを欧州選手権メンバーから外すことを4月に決定

 本連載ではメンバー決定前最後の代表の試合として3月末に行われたオランダ、ロシアとの連戦の模様を紹介したが、それ以後の大きな動きとしては4月中旬にカリム・ベンゼマを代表からはずすことをフランス協会が発表した。ベンゼマは代表チームでの同僚のマチュー・バルブエナを恐喝した疑いで、昨年秋から代表チームからはずされてきたが、このタイミングで改めて欧州選手権のメンバーから外すことを決定した。所属チームのスペインのレアル・マドリッドでは活躍しており、代表チームではなかなか成果を残すことができなかったベンゼマも一昨年あたりからはゴールを量産し、ベンゼマ待望論もなかったわけではないが、起こした事件の社会的な意義、さらに被害者であるバルブエナも精神的ショックから立ち直ることができない。サッカー界だけではなくマニュエル・バルス首相もベンゼマを代表入りさせないことをコメントしており、協会側の対応が注目されていたが、世論を受けた形の決定となった。

■控えのサイドバックに入ったルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレ

 そして各国リーグが終盤戦を迎えるころになるとファンも誰を23人に選ぶべきか議論が沸き起こる。もっともほとんどのメンバーは決まっており、ベンゼマを外すことも決定しており、議論の余地は少なかった。
 GKは3人、指定席とも言える第1GKのウーゴ・ロリス、第2GKのスティーブ・マンダンダ、注目となったのは第3GKであるが3月の連戦に続いてブノワ・コスティルが選ばれ、若手のアルフォンス・アレオラはバックアップメンバーに回った。
 DFはラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、ジェレミー・マチュー、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、ルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレ、エリアキム・マンガラというメンバーになった。レギュラー陣は右からサーニャ・バラン、コシエルニー、エブラであるが、注目はサイドの控え選手である。右サイドの控えはマチュー・ドビュッシーが務めてきたが、負傷のため3月の連戦は欠場、代役をジャレに譲った。結局ドビュッシーは間に合わず、ジャレが選出された。そして左サイドの控えはディーニュとレイバン・クルザワが争っていたが、3月の連戦に続き、ディーニュがメンバーに入った。
 またレアル・マドリッドに所属するバランが中心となるストッパーは、そのコンビとしてアーセナルのコシエルニー、リバプールのママドゥ・サコーというプレミアリーグ勢、スペインリーグのバルセロナに所属し、左サイドも対応可能なマチューが務めてきたが、マンチェスター・シティのマンガラがサコーに代わって入った。マンガラの代表入りは昨年10月以来であり、昨年11月、今年3月という2回のブランクを乗り越えて代表に復帰した。

■3月に代表デビューしたエンゴロ・カンテもメンバー入り

 MFはポール・ポグバ、ムーサ・シソッコ、エンゴロ・カンテ、ヨアン・カバイエ、ラッサナ・ディアラ、ブレーズ・マツイディの6人となった。3月の連戦の際に代表にデビューし、ロシア戦で初ゴールをあげ、所属チームのレスターのプレミアリーグ優勝に貢献したカンテが欧州選手権でもその実力を見せるチャンスを与えられたのである。(続く)

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