第2383回 UEFAネーションズカップが新設(3) 負傷のスティーブ・マンダンダ以外は優勝メンバーを選出

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ優勝メンバーをそのまま選出

 ワールドカップ優勝後初めてのフランス代表の試合は新設されたUEFAネーションズリーグとなる。9月6日にミュンヘンでドイツ戦、9日にスタッド・ド・フランスでオランダ戦といきなり強豪相手の凱旋試合となる。
 フランスサッカー史上でも稀有な強豪相手の連戦に向けたメンバーをディディエ・デシャン監督は発表した。デシャン監督はワールドカップで優勝したメンバーをそのまま起用することを明言していたが、8月30日に発表されたリストは負傷で出場できないスティーブ・マンダンダを外しただけで、それ以外は同じ23人を選出した。
 改めてメンバーを紹介するとGKはウーゴ・ロリス、ブノワ・コスティル、アルフォンス・アレオラ、DFはルカ・エルナンデス、プレスネル・キンペンベ、バンジャマン・マンディ、バンジャマン・パバール、アディル・ラミ、ジブリル・シディベ、サミュエル・ウムティティ、ラファエル・バラン、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、スティーブン・エンゾンジ、ポール・ポグバ、コランタン・トリッソ、FWはアントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルー、フローリアン・トーバン、キリアン・ムバッペ、ウスマン・ダンベレ、トマ・ルマール、ナビル・フェキルとなる。

■20年前は新メンバー2人を含む数人を入れ替え

 振り返ってみれば20年前にワールドカップで優勝した際は7月12日に優勝を決め、8月19日にオーストリアとの親善試合(ウィーン)、9月5日に欧州選手権予選が開幕し、アイスランドとレイキャビクで対戦している。この時はエメ・ジャッケ監督が優勝を花道に勇退し、ロジェ・ルメール監督が就任している。ルメール監督はジャッケ体制ではコーチを務めており、内部昇格という形であったが、8月のオーストリア戦にはトニー・バレルとフレデリック・デウという2人の新人を起用している。また、ワールドカップ優勝に貢献した選手の中ではローラン・ブラン、マルセル・デサイー、ファビアン・バルテス、クリストフ・デュガリー、エマニュエル・プチ、パトリック・ビエイラが負傷や所属クラブとの兼ね合いなどの理由でメンバーから外れている。

■開幕戦に先発しなかったマルセイユの優勝メンバー

 優勝チームのメンバーを触らないという点はセオリーであるが、20年前はそれでも数人のメンバーの入れ替えがあったが、今回はわずか1人だけという点である。その1人がマンダンダである。マンダンダの所属するマルセイユは今季のフランスリーグの開幕戦でトゥールーズと対戦したことは本連載第2374回で紹介したとおりである。マルセイユに所属するワールドカップ優勝メンバーはマンダンダ、ラミ、トーバンの3人であるが、3人は試合前のセレモニーでワールドカップを披露したが、試合に出場したのは終盤にトーバンが交代出場しただけで、マンダンダとラミはベンチ入りしなかった。それでもマルセイユはトゥールーズに4-0と勝利し、サッカーの都のプライドを見せたのである。

■第2節のニーム戦でマンダンダが全治3か月の肉離れで離脱

 その1週間後、8月10日に第2節を迎え、ニームに移動して戦う。この第2節ではフランス代表のマンダンダ、ラミ、トーバンの3人に加え、日本代表の酒井宏樹も先発する。ファンにとっては真の開幕戦となるはずであったが、マルセイユにとっては悪夢であった。66分にマンダンダが肉離れで退場し、1-3で敗れてしまう。ニームには1978年4月以来の黒星となる。マンダンダの肉離れは全治3か月以上という重傷であり、今回のUEFAネーションズリーグのメンバーから外れた。
 そしてもう1人、注目の選手がいる。それが同じマルセイユのラミである。ラミは本大会ではほとんど出場せず、優勝が決まった直後にインタビューで代表からの引退を示唆した。しかしデシャン監督は必要な選手ということでメンバーに招集したのである。(続く)

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