第2414回 オランダとの天王山(1) 復帰したアントニー・マルシャル、メディカルチェック後に離脱

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■大逆転を狙うオランダと直接対決

 11月は代表チームにとっては年内最後の試合の機会となる。フランスは11月16日にUEFAネーションズリーグでアウエーのオランダ戦、20日にはホームで親善試合のウルグアイ戦を行う。この2試合に向けて23人の選手が11月8日に発表された。UEFAネーションズリーグはタイトルマッチであり、フランスは首位に立っているとはいえ、勝ち点4差で追う2位のオランダは2試合を残しており、フランスとの直接対決、最終戦はすでに脱落したドイツとの戦いとなっている。フランスとしてはアウエーのオランダ戦で引き分け以上の成績の成績が欲しいところであり、ディディエ・デシャン監督もテストを兼ねたメンバー選出が難しいところである。

■ディディエ・デシャン監督の選出した23人

 さて、その23人のメンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、アルフォンス・アレオラ、DFはプレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、バンジャマン・マンディ、バンジャマン・パバール、アディル・ラミ、ママドゥ・サコ、ジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、スティーブン・エンゾンジ、ポール・ポグバ、タンギ・ヌドンベレ、FWはアントワン・グリエズマン、フローリアン・トーバン、キリアン・ムバッペ、ウスマン・ダンベレ、ナビル・フェキル、オリビエ・ジルー、アントニー・マルシャルである。10月の連戦で代表初招集となり、デビューを果たし、所属チームのリヨンでも活躍しているヌドンベレだけがワールドカップ後のメンバーであり、それ以外は19人がワールドカップ出場、3人がワールドカップの予備メンバーである。

■32歳のアディル・ラミが復帰

 10月の連戦時にメンバーに入っていなかった選手が3人、ラミ、マンディ、マルシャルである。ラミに関してはワールドカップ優勝直後に代表からの引退を示唆し、10月の連戦ではメンバーから外れていたが、復帰する。23人の中では控えGKのマンダンダの33歳に次いでジルーと並ぶ32歳である。30歳以上の選手は以上の3人と主将のロリスとマツイディ(ともに31歳)をあわせた5人である。メンバーを選出したディディエ・デシャン監督は20年前の1998年のワールドカップの優勝メンバーであるが、その直後はメンバーを入れ替え、一時的にフランス代表は低迷期に陥った。結局は立て直して2000年の欧州選手権でも優勝するのであるが、デシャン監督自身は自らの経験に照らし合わせて優勝直後のチーム編成を考えているのであろう。

■今年3月以来の代表復帰となるアントニー・マルシャル

 ワールドカップ時は予備メンバーだった選手は、ディーニュ、サコ、マルシャルであるが、ディーニュとサコは10月の連戦で復帰し、マルシャルはワールドカップ後初の代表入りとなる。マルシャルが代表で最後に試合に出場したのは今年3月のロシアとの親善試合である。2015年の秋に19歳で代表入りし、2016年には欧州選手権のメンバーとなり、決勝のポルトガル戦にも出場している。代表入りした2015年の夏にモナコからイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに移籍している。しかし、欧州選手権が終わったころから所属チームでも精彩を欠き、代表チームのユニフォームを着ることも少なくなった。  デシャン監督のマルシャルに対する評価は、素晴らしい潜在能力を有しているものの、それがコンスタントにプレーに表れていない、マルシャルの性格によるものであろうということでメンタル面に注文を付けている。これは所属チームのマンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督も同じであり、ベントスタートが多くなっている。
 しかし、今季はマンチェスター・ユナイテッドでは好調であり、そのマルシャルにチャンスを与えようというデシャン監督という取り計らいであった。ところが、合宿初日の12日にマルシャルはクレールフォンテーヌに現れたが、メディカルチェックを受けた結果、チームメイトのポグバとともに、代表チームを離脱してしまったのである。(続く)

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