第2585回 欧州選手権予選突破(4) 16チームが4つの椅子を争うプレーオフ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップと欧州選手権あわせて本大会初出場となるフィンランド

 前回までの本連載ではフランスが来年の欧州選手権の予選をグループHの首位で突破したことを紹介した。10グループに分かれた予選の上位2チームの顔ぶれは以下のとおりである。グループAはイングランドとチェコ、グループBはウクライナとポルトガル、グループCはドイツとオランダ、グループDはスイスとデンマーク、グループEはクロアチアとウェールズ、グループFはスペインとスウェーデン、グループGはポーランドとオーストリア、グループHはフランスとトルコ、グループIはベルギーとロシア、グループJはイタリアとフィンランドである。この中で初出場となる国はただ一つ、フィンランドである。フィンランドはワールドカップ、欧州選手権を合わせて本大会初出場となる。

■シード分けが順当に機能

 55チームが出場して行われたこの予選グループ、第1シードから第6シードまで振り分けられたが、上位10チームの第1シードのチームはすべて本選出場し、さらに10チーム中8チームは首位突破であった。第2シード10チームの中でグループ2位に入ることができなかったのはアイスランド(グループH)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(グループJ)の2チームだけである。第3シード以下から本大会出場となったトルコ(グループH)とフィンランド(グループJ)はいずれも第3シードである。上位シードがほとんど予選突破し、第4シード以下から予選突破したチームはなく、シード分けがこれまで順当に機能した予選も珍しいであろう。

■UEFAネーションズリーグの成績で振り分けられるプレーオフ出場権

 さて、来年の欧州選手権は12の国と地域での分散開催となり、本大会出場国が24に増える。これまでの予選で各グループの2位までに入った20チームに加え、プレーオフで4チームが最後のチケットを獲得する。プレーオフには16チームが出場するが、この選出方法はこれまでの欧州選手権やワールドカップ予選のプレーオフとは大きく異なっている。予選の成績ではなく、この予選の前に行われたUEFAネーションズリーグの成績によって決定されるのである。
 昨年行われたUEFAネーションズリーグは上位からリーグAからリーグDまでの4つのレベルに分けられ、さらに各リーグは3つのグループに分けられていた。各グループで1位になったチーム、すなわち各リーグで上位4位に入ったチームは、今回の予選で本大会出場に至らなかった場合はプレーオフ出場権がある。この条件を満たすのはリーグBで1位になったボスニア・ヘルツェゴビナ、リーグCの1位のスコットランド、2位のノルウェー、3位のセルビア、そしてリーグDの1位のジョージア、2位の北マケドニア、3位のコソボ、4位のベラルーシとなる。各リーグでこの条件にあてはまるチームが4にあてはまらない場合はチーム数が4になるまで出場権を与える。例えば実力上位のリーグAの場合、ほとんどのチームが予選突破しており、予選突破できなかった最下位である12位のアイスランドにプレーオフ出場権が与えられる。同様にリーグBは9位のスロバキア、11位のアイルランド、12位の北アイルランド、リーグCは5位のブルガリアがプレーオフ出場となる。そして残るプレーオフのチケットは3つ、これらは残りのチームの中で上位となるリーグCで6位のイスラエル、7位のハンガリー、8位のルーマニアとなる。

■本大会出場を獲得できなかったUEFAネーションズリーグの上位チームがプレーオフへ

 結局プレーオフ出場権が与えられるのはリーグA、リーグBの24チーム、リーグCの上位8チーム、リーグDの上位4チームの合計36チームのうち予選を通過できなかった16チームとなる。
 この条件を満たさず、欧州選手権に出場する可能性がなくなった主なチームはリーグCで9位のギリシャ、同10位のアルバニアであろう。アルバニアに関してはグループリーグを他のグループより1チーム少ない3チームで戦い、シード上位のスコットランド、イスラエルと対戦し、もし格下のチームも加わっていたならば状況が変わっていた可能性もあるのである。(続く)

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