第2732回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(9) ワールドカップ決勝と同じスコアでクロアチアを下す

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■スウェーデン戦と大幅にメンバーを入れ替えたフランス

 前回の本連載では第1戦のポルトガル戦で大敗を喫し、巻き返しを図るクロアチアが第2戦では大幅にメンバーを入れ替えてきたことを紹介したが、スウェーデンに辛勝したフランスもキリアン・ムバッペが新型コロナウイスルの陽性反応が出たことも含め、低調だった攻撃陣に刺激を加えたいところである。
 クロアチア戦のフランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは3バックを継続、右からダヨ・ウパメカノ、中央にクレマン・ラングレ、右にルカ・エルナンデス、MFは5人のうち4人が横一線に並び、右からムーサ・シッソコ、エンゴロ・カンテ、スティーブン・エンゾンジ、フェルラン・マンディ、高い位置のトップ下にはアントワン・グリエズマンが入る。そして2トップは右にウィッサム・ベン・イェデル、左にアントニー・マルシャルという陣容であり、こちらも6人が入れ替わった。
 2年前のワールドカップ決勝の再戦となったが、モスクワの試合に出場していたのは両チーム5人ずつであり、フランスではロリス、エルナンデス、カンテ、エンゾンジ、グリエズマンが相当する。クロアチアはデヤン・ロブレン、マルセロ・ブロゾビッチ、イバン・ペリシッチ、アンテ・レビッチ、アンドレイ・クラマリッチが該当する。

■突然のシュートで先制点を許したフランス

 無人のスタッド・ド・フランスでキックオフされた試合は意外な展開となる。先制点は16分にクロアチアのCKから記録される。フランスのクリアボールが中途半端だったところをクロアチアのストッパーのロブレンがボールを確保し、そのままエルナンデスをかわしてシュート、突然のシュートにロリスは反応が遅れ、先制点を献上する。
 クロアチアが試合を支配し、フランスはスウェーデン戦同様に攻めきれない。しかし、43分にフランスはゴール前で組織的なプレーをし、最後はマルシャルがグリエズマンにパスし、スウェーデン戦でPKを失敗したグリエズマンは今度は無人のゴールに左足で確実にシュートする。グリエズマンはこれで代表通算31ゴールとなり、ジネディーヌ・ジダンと並んだ。

■史上最年少で試合に出場したエドゥアルド・カマビンガ

 そして前半のアディショナルタイムには幸運な勝ち越し点が生まれる。ベン・イェデルがマルシャルにクロスを送ったが、これをクロアチアのGKがミスしてしまい、オウンゴール、フランスが2-1とリードしてハーフタイムを迎える。振り返ってみればこれは2年前のモスクワでの対戦と似た展開である。
 ワールドカップ決勝では、後半に入ってフランスが3点目を入れて突き放したが、この試合は違った。55分にクロアチアが同点ゴールを決める。ディディエ・デシャン監督はこの後、初めての選手交代を行った。カンテとベン・イェデルを下げて、エドゥアルド・カマビンガとオリビエ・ジルーを投入した。カマビンガは17歳と9か月であり、戦後のフランス代表史上最年少での試合出場となった。これまでは1955年にマリアン・ウィスニュースキの記録した18歳と2か月を破る素晴らしい記録となった。ちなみにムバッペは18歳と3か月の時のルクセンブルク戦でブルーのユニフォームを着用し、史上3番目に若くして代表にデビューしている。

■終盤に2点を奪って勝利したフランス

 このカマビンガのデビューに触発されたのか、スウェーデン戦で代表デビューしたばかりのウパメカノが65分にはグリエズマンの放ったCKをヘディングシュートし、勝ち越しゴールとなる。さらに77分にはクロアチアの選手がペナルティエリア内でハンド、フランスはPKを獲得する。これまでであれば、グリエズマンが蹴るところであるが、ここはギルーに任せる。このPKをジルーが決め、ジルーも代表通算40ゴールとなる。これを上回るのはティエリー・アンリの51点とミッシェル・プラティニの41点だけである。
 フランスは終始クロアチアに試合を支配される展開であったが、終わってみれば4-2と2年前の決勝と同じスコアで、勝利したのである。(続く)

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