第2740回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(17) 親子で代表入りなるか、マーカス・テュラム

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■11月14日にポルトガルとリスボンで直接対決

 前回の本連載では10月14日にフランスがアウエーのザグレブでクロアチアに2-1と勝利したことを紹介した。同日にポルトガルはリスボンのアルバラーデ競技場でスウェーデンを3-0と下している。
 この結果、第4節を終えた時点でのリーグAのグループ3の順位は勝ち点10でフランスとポルトガルが並び、クロアチアが勝ち点3、スウェーデンが勝ち点0となった。優勝争いはフランスとポルトガルに絞られた。第5節ではリスボンのルッス競技場でポルトガルとフランスが対戦する。この試合で勝利したチームは勝ち点3を獲得するが、最終節で勝ち点で追いつかれて並んだ場合は、直接対決の成績となる。スタッド・ド・フランスでは引き分けているため、このリスボンで勝利したチームが首位確定となる。引き分けの場合のみ、最終節に首位の座争いは持ち込まれる。

■ポルトガル戦の前に行われるフィンランドとの親善試合

 11月の国際試合はUEFAネーションズリーグの第5節が14日、最終節が17日である。最終節ではフランスはホームでスウェーデン、ポルトガルはクロアチアとアウエーのスプリトで対戦する。
 また、10月同様にUEFAネーションズリーグの連戦の前に親善試合が予定され、フランスは11日にフィンランドとスタッド・ド・フランスで対戦する。フィンランドとはもともとは今年の3月下旬にウクライナ戦とともに親善試合が予定されていた。ウクライナ戦は本連載でも紹介した通り、10月のUEFAネーションズリーグの2試合に先立って行われており、フィンランドに対しても同様の扱いとなったようであり、9月に試合の実施が決定した。

■11月の3連戦に代表入りの期待がかかるマーカス・テュラム

 フランスは11月14日のポルトガル戦をターゲットとしてその前後のフィンランド戦、スウェーデン戦と合わせた3試合に向けたメンバーを11月5日に発表した。タイトルのかかった試合以外にも親善試合が組まれており、10月の3連戦も9月に代表に初招集されたメンバーが出場機会を得ており、11月の3連戦も来年以降を見据えたフレッシュなメンバーが抜擢されるのではないかとファンは期待した。
 その最右翼がFWのマーカス・テュラムである。現在はドイツのボルシア・メンヒェングラートバッハに所属しているが、2018-19シーズンまではギャンガンに所属していた。シーズン最終戦での自らのPK失敗により、所属クラブが2部に降格したこともあり、ドイツへの移籍となった。名字を見てわかる通り、父親はかつてのフランス代表、142試合出場という歴代最多出場記録を持つリリアン・テュラムである。父のリリアン・テュラムはDFであったこともあり、代表では2ゴールにとどまっているが、この2得点は1998年ワールドカップ準決勝のクロアチア戦であげたものであり、自らのミスで先制点されてからの2ゴールは今でもファンの語り草である。

■親子で代表入りした選手たち

 親子でフランス代表に選ばれたのは1960年代に活躍したジャン・ジョルカエフと1990年代から2000年代にかけて栄冠を獲得したユーリ・ジョルカエフが有名である。それ以外にも1934年のイタリアワールドカップに出場したロジェ・リオと1978年のアルゼンチンワールドカップに出場したパトリス・リオ、親子ともボルドーに所属していたルネ・ガリスとジャン・ガリスがあげられる。さらに1984年のロサンジェルスオリンピックで優勝し、その後代表でも活躍したディディエ・セナックの父親は1960年代初めに代表でプレーしたギ・セナックである。またルネ・プラメルダンとピエール・プラメルダンの親子はそれぞれ1試合ずつ代表戦に出場している。
 現在のサッカー界で最も一般の人になじみがあるのはヤニック・ストピラであろう。1980年代のフランス代表のFWとして活躍し、現在は解説者として露出が多い。このヤニック・ストピラの父のジュリアン・ストピラは1960年に1試合代表戦に出場している。
 これまでの親子の代表というと子の方が多くの代表歴を誇っているが、もしマーカス・テュラムが選出されたならば、逆のパターンとなり、偉大なる父と同じ道を歩むか注目を集めたのである。(続く)

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