第2851回 最終戦はポルトガルとドロー(3) スター競演、フランス、ドイツ、ポルトガルが決勝トーナメントへ

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■前回大会決勝がグループリーグで再現

 今大会のグループリーグでは観客数の上限が最も大きいハンガリーのブダペスト、プスカシュ・アレーナ、欧州王者と世界王者の対戦となるフランス-ポルトガル戦には地元ハンガリーの出場した試合とほぼ変わらない5万4000人の観客が集まった。ドイツのミュンヘンで戦うハンガリーも、この試合の結果によっては決勝トーナメント進出の可能性があるが、やはり前回決勝の再現は注目の一番である。前回大会の決勝がグループリーグで再現するのは過去に1回だけ、西ドイツの1988年大会で優勝したオランダが、スウェーデンでの1992年大会のグループリーグでCISとなったソ連と対戦している。この時代は本大会に8チームしか出場できず、今回の24チームの3分の1に過ぎなかったが、エーテボリでの試合はスコアレスドローとなっている。

■ポルトガルのエース、クリスティアーノ・ロナウドがPKで先制点

 試合はフランスのカリム・ベンゼマのキックオフで始まった。立ち上がりから、ジュール・クンデ、コランタン・トリッソという初先発の選手がボールに絡み、積極的なところを見せる。
 この試合で最初に枠内にシュートを放ったのはポルトガルのエース、クリスティアーノ・ロナウドであった。6分にヘディングでゴールを狙うが、これはフランスのGKのウーゴ・ロリスが難なくさばいた。ボール支配率は互角ながら、フランスはポルトガル陣内で試合を進める。一方のポルトガルは右サイドのベルナウド・シウバ、ジョアン・モウチーニョが試合を組み立て、クリスティアーノ・ロナウドにラストパスを配給しようとする。  27分にポルトガルは好位置でFKのチャンスを得る。ジョアン・モウチーニョの蹴ったボールはゴール前にあがる。この時、ロリスがパンチングでクリアしようとしたが、この手がダニーロに当たってしまう。主審はポルトガルにPKを与え、ロリスにイエローカードを提示した。このPKを決めたのはクリスティアーノ・ロナウド、これで3試合連続の得点となる。またクリスティアーノ・ロナウドはフランスとの対戦では7試合目にして初得点を決めた。

■カリム・ベンゼマ、5年7か月ぶりの代表戦でのゴール

 このままポルトガルがリードしたまま前半を終えるかと思われたアディショナルタイム、キリアン・ムバッペがネルソン・セメドに倒される。VARの結果、今度はフランスにペナルティが与えられる。ペナルティスポットに立つのはベンゼマである。これまではアントワン・グリエズマンがPKのキッカーを務めることが多かったが、戻ってきたエースがチームにとって初めてのPKを任される。ベンゼマはPKを決め、フランス代表としてて5年7か月ぶりの得点をあげた。

■両チームのエースともに2得点し、ドローに終わる

 チームに復帰して以来、なかなか得点をあげることのできなかったベンゼマであるが、この1点でようやく歯車が回るようになった。後半開始早々にはベンゼマはポルトガルの守備陣の裏に走り込み、ポール・ポグバのパスを受けて逆転ゴールを決めた。これであわてたのがポルトガルである。この時点でミュンヘンの試合はハンガリーが1-0でリードしている。このままフランスとハンガリーが勝利すると、ポルトガルはドイツと勝ち点3で並ぶが、直接対決でドイツが勝利しているため、最下位、すなわちグループリーグ敗退となってしまう。
 焦りの感じられるポルトガルを救ったのはエースのクリスティアーノ・ロナウドであった。58分にクリスティアーノ・ロナウドはゴール前にクロスをあげる。このボールがクンデの腕に接触してしまう。この試合3つ目のPKとなり、クリスティアーノ・ロナウドが決めてポルトガルが追いつく。クリスティアーノ・ロナウドは代表での109得点となり、イランのアリ・ダエイと並ぶ世界記録となる。
 一方、気になるミュンヘンの試合であるが、こちらも点の取り合いとなり、66分にドイツが追いつくと、68分にハンガリーが再びリードする。このままでいくとドイツは最下位になるところであったが、84分に追いつく。
 結局、フランスとポルトガルは両国の誇るスターの活躍で2-2のドロー、ドイツ-ハンガリーも同じスコアで引き分け、首位フランス、2位ドイツ、3位ポルトガルまでが決勝トーナメントに進出したのである。(この項、終わり)

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