第2996回 リヨン、ウェストハムに準々決勝で敗れる(1) ロンドンの古豪ウェストハム

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■リヨンの準々決勝の相手はウェストハム

 フランス勢はチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグという装いを新たにした欧州三大カップに出場した6チームすべてが決勝トーナメントに進出するという華々しい成果を残して2022年を迎えた。ところが、決勝トーナメントに入ってから次々と敗退し、結局準々決勝に進出したのはヨーロッパリーグのリヨンとヨーロッパカンファレンスリーグのマルセイユだけであった。
 ビッグクラブ同士が争い、欧州中、世界中のファンが注目するチャンピオンズリーグの陰に隠れる形でヨーロッパリーグとヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝が4月7日と14日に行われた。ヨーロッパリーグを戦うリヨンの相手はイングランドのウェストハムである。

■初めて欧州カップのグループリーグを戦うウェストハム

 ウェストハムはロンドンの古豪であり、造船会社のチームを期限とすることからハマーズ、アイアンズという愛称で親しまれている。ロンドンの他のクラブが、豊富な資金力をベースに欧州のトップレベルの力を有しているのに対し、ロンドンの下町に根差したクラブを応援するファンは国外でも少なくない。これまでにFAカップでは3回優勝したことがあり、最初に優勝した翌季に出場したカップウィナーズカップでは優勝している。欧州カップ初出場となった1964-65これまでにリーグ優勝はなく、最高の成績はリーグでの最高の成績は3位(1985-86シーズン)、チャンピオンズリーグに出場したことはない。昨季はリーグ6位となり、6季ぶりにヨーロッパリーグに出場、グループリーグから参戦することになった。6年前は予備戦から参戦したが、プレーオフで敗退しており、グループリーグに進むことができなかった。欧州カップでグループリーグが導入されたのは1990年代からであり、100年以上の歴史を誇るウェストハムは初めて欧州カップのグループリーグを戦うこととなった。

■グループリーグは前半戦3戦全勝、首位通過を果たす

 グループリーグの組み合わせ抽選の段階では第3シードとなった。これまでの欧州での実績の乏しさが示す通りのポジションとなり、初戦ではアウエーで第1シードのディナモ・ザグレブ(クロアチア)と対戦するという厳しい状況にあったが、この試合を2-0と勝利し、一気に突っ走った。第2戦はオーストリアのラピッド・ウィーンにホームで2-0と勝利、第3戦はベルギーのヘンクをホームで3-0と前半戦を3戦全勝、無失点で折り返した。
 後半戦もヘンクにアウエーで2-2の引き分け、ラピッド・ウィーンに2-0と勝利して首位突破を確定した。最終戦こそホームでディナモ・ザグレブに勝利を譲ったが、古豪の初めての欧州カップのグループリーグはファンを歓喜させたのである。
 東ロンドンのアップトン・パークを100年以上本拠地としてきたが、2012年のロンドンオリンピックとパラリンピックのメイン競技場として使用されたロンドンスタジアムを2016年から使用している。グループリーグでもホームの3試合はいずれも5万人前後の観客を集め、ハマーズの快進撃を支えた。

■22季ぶりにフランス勢と対戦

 ウェストハムはこれまでに欧州カップではフランス勢とは1回(2試合)しか対戦したことがない。それが1999年のインタートトである。インタートトは当時のUEFAカップの予備戦に相当する大会である。インタートトは夏に行われ、勝ち抜いたチームが秋からのUEFAカップに出場できた。前年のプレミアリーグで5位に入り、インタートトに出場したウェストハムは1回戦、2回戦と勝ち抜き、これで勝てばUEFAカップという3回戦に進出した。3回戦の相手はメッスであった。メッスは前年のリーグ戦10位であったが、インタートト出場権を得て、勝ち上がり、UEFAカップまであと一歩となった。ウェストハムはアップトンでの第1戦を0-1と落としたが、メッスでの第2戦で3-1と勝利し、UEFAカップに初出場したのである。それ以来22季ぶり、本戦では初めてのフランス勢との対戦となったのである。(続く)

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