第2986回 決勝トーナメントで苦戦するフランス勢(5) マルセイユは8強入り、レンヌは敗退

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■今季から新設された第3の大会「ヨーロッパカンファレンスリーグ」

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグについて紹介してきたが、今回は新しいタイトルであるヨーロッパカンファレンスリーグについて紹介しよう。UEFAは欧州のトップのクラブが高い頂点を争うチャンピオンズリーグとすそ野を広げて様々な国のクラブが参加するヨーロッパリーグを開催してきた。ところが、ヨーロッパリーグはすそ野を広げようとすると日程が過密になる。そこで第3の大会としてヨーロッパカンファレンスリーグを発足させ、「より多くのクラブ、より多くの試合、より多くの協会」を実現することになった。
 このヨーロッパカンファレンスリーグから参戦するのは中堅規模以下のリーグのチームが中心となる。リーグランキングが上位の国からは1チームしか出場しない。フランスからは本来はリーグ5位のチームが出場することになっていたが、パリサンジェルマンがフランスカップで優勝したため、昨季リーグ6位のレンヌが出場した。しかし、本連載第2985回で紹介した通り、上位の大会のグループリーグの3位チームが転戦してくる。この中には有力国のリーグのチームも入ってくる。ヨーロッパリーグのグループリーグから転戦したのがフランス勢であればマルセイユである。

■上位大会からの転戦組が負け越したベスト16決定戦

 決勝トーナメントのベスト16決定戦は上位大会のヨーロッパリーグのグループリーグ2位チームと下位大会のヨーロッパカンファレンスリーグのグループリーグ3位チームの間で争われるが、ヨーロッパカンファレンスリーグのチームが5勝3敗と勝ち越した。マルセイユはPSVアイントフォーヘン(オランダ)、レスター・シティ(イングランド)とともに勝ち上がったが、フェネルバフチェ(トルコ)、セルチック・グラスゴー(スコットランド)などが敗れている。
 このようにしてフランス勢ではベスト8決定戦にレンヌとマルセイユが残ったが、レンヌはレスター・シティ、マルセイユはバーゼル(スイス)と対戦することとなった。いずれもUEFAランキングではフランス勢が下位となる厳しい組み合わせとなった。

■ホーム、アウエーともバーゼルに勝利したマルセイユ

 マルセイユは3月10日の第1戦をホームで迎えた。マルセイユは立ち上がりから積極的に攻め、9分にはジェンギス・ウンデルのシュートがポストをたたく。16分にはペナルティエリアに入ったマテオ・ゲンドウジが倒され、PKを得る。このPKをアルカディウシュ・ミリクが決めて先制する。その後もマルセイユは攻め続け、後半に入って68分にはミリクが追加点を決める。第2戦を優位に進めたいマルセイユであったが、誤算が2つあった。まず43分にディミトリ・パイエが警告を受けて第2戦は出場停止となったこと。そして78分にバーゼルに1点を返されたことである。
 第2戦は3月17日にバーゼルで行われた。前半は均衡した内容であり、0-0で折り返した。しかし、この試合最初のゴールはバーゼル、62分にヘディングシュートが決まる。これでタイスコアとなった。しかし、マルセイユは74分にウンデルがボレーで得点を決め、さらにアディショナルタイムにはバランタン・ロンギが勝ち越し点、マルセイユが8強入りしたのである。

■レスター・シティに1点及ばなかったレンヌ

 一方、ここまで順調に勝ち進んできたレンヌはレスター・シティが壁となった。アウエーの第1戦、序盤にレンヌは攻めあがったが、30分にレスター・シティはマーク・アルブライトンがボレーシュートで先制する。アウエーの1点差負けならば希望の持てるレンヌであったが後半のアディショナルタイム、93分にレスター・シティはケレチ・イヘアナチョが追加点を入れ、レンヌは2点のビハインドでホームに戻ることになった。
 第2戦でレンヌは目論見どおり早い時間帯に先制点を奪う。8分にバンジャマン・ブリジョが無人のゴールに流し込む。一方的にボールを支配したレンヌであるが、追加点が遠い。後半の51分にはウェスレイ・フォファナのゴールでレスター・シティが追いつく。2点が必要なレンヌであったが、76分のフラビアン・テのゴールだけであった。2-1とホームの試合で勝利したレンヌであったが、通算スコアで及ばず敗退する。
 フランス勢でベスト8入りしたのはリヨンとマルセイユだけであった。(この項、終わり)

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