第140回 欧州チャンピオンズリーグ、フランス勢全滅(1) オセール、ハイベリーでの勝利も実らず

■予備戦3回戦から参戦したリーグ3位のオセール

 12月3日に横浜でインターコンチネンタルカップが行われ、日本では欧州チャンピオンズリーグの動向に関心が高まっていることであろう。また、来年こそフランスのチームの来日を楽しみにしているファンの方も少なくないであろう。しかし、来年もその夢は実現しない。フランス勢は1次リーグで姿を消してしまった。
 フランスから今季チャンピオンズリーグへの出場枠は3チーム。昨年リーグ1位のリヨン、2位のランス、3位のオセールが出場した。リヨンとランスについては本選の1次リーグから参戦するが、リーグ3位のオセールは予備戦から出場、8月に行われた予備戦の3回戦から出場した。

■ジブリル・シセ、久しぶりのフル出場で決勝点

 前年にリーグ3位で予備戦3回戦に出場したリールがイタリアのパルマを破っているが、今年のオセールの相手はポルトガルのボアビスタである。初戦は8月13日にポルトで行われた。終盤まで無得点が続いたが、70分にこの試合唯一の得点をあげたのはワールドカップ直前にフランス代表入りしたジブリル・シセであった。シセはリーグ戦を5月4日に終え、フランス代表の試合に専念した。5月18日のベルギー戦で代表デビューし、京城入りした直後の韓国戦、ワールドカップでもセネガル戦、ウルグアイ戦、デンマーク戦と5試合連続して出場する。しかしその5試合の出場全てが途中交代出場、しかも多くはリードをされている状態で相手が守りに入っていることが多く、得点をあげることができなかった。そのシセが久しぶりに先発メンバーとして出場したのがこのボアビスタ戦であり、久しぶりのフル出場と得点を記録し、勝利の喜びを味わったのである。アウエーでの先勝は大きい。2週間後のアベ・デシャン競技場には1万8000人の観衆がつめかける。引き分けでもよいオセールは狙いどおりスコアレスドロー、チャンピオンズリーグ本選出場を決めたのである。

■強豪ぞろいのグループに組み込まれたフランス勢

 チャンピオンズリーグ1次リーグは32チームが4チームずつ8つのグループに分かれてホームアンドアウエー方式の形式で行われ、各グループの上位2チームが2次リーグ進出、3位チームはUEFAカップに回る。強豪国の上位チームもこの1次リーグから参戦する。フランス勢の入ったグループについて紹介すると、グループAにはオセール、アーセナル、ボルシア・ドルトムント、PSVアイントフォーフェン、グループDにはリヨン、インテルミラノ、ローゼンボリ、アヤックス、グループGにはランス、ACミラン、バイエルン・ミュンヘン、デポルティーボ・ラコローニャという欧州の列強がひしめいている。

■フース・ヒディングの魂に屈し、1次リーグ敗退決定

 1次リーグ前にはいずれも2位以内は厳しく、可能性があるとすればグループDのリヨンくらいではないか、という悲観的な予想がフランスのファンの一致した見方であった。この3グループの中でオセールの所属するグループAについてはアーセナルのロベール・ピレスの復活について取り上げた本連載第122回で第4節まで取り上げている。オセールは最初の3試合は1分2敗。予想通りの展開になったかと思われたが、2回目の対戦となる初戦の第4節でそれまで3連勝と破竹の勢いのアーセナルと対戦する。ピレスの7月ぶりの復帰と言うこともあり、ロンドンでの試合とは言ってもフランスでも関心を集めた。結果は第122回の連載で紹介した通り、オセールが2-1で初勝利を最大の強敵相手に敵地であげる。第4節終了時でグループAは首位アーセナル(勝ち点9)、2位ボルシア・ドルトムント(勝ち点7)、3位オセール(勝ち点3)、4位PSVアイントフォーフェン(勝ち点2)となったのである。
 第5節は上位2チーム、下位2チームが直接対決する。オセールにとっては勝たなくては上位2チームに入ることはできない。相手のPSVアイントフォーフェンの監督は韓国で英雄となったフース・ヒディングだが、それまで2分2敗と勝ちがない。ヒディングが韓国各地で見せたミラクルも母国に戻ってきて封印されたままである。ところが、この試合、ホームでの最終戦となるPSVアイントフォーフェンに赤い魂が乗り移った。その攻撃に耐え切れず、試合全体の3分の1にもならない25分と28分にオセールの守備の要であるフィリップ・メクセスが2回の警告を受けて退場する。そして34分に先制点を奪われる。後半開始早々にも追加点を奪われ、51分にはオリビエ・カポが退場処分。2人少ないオセールに2週間前のハイベリーでの奇跡の再来を期待しようもない。64分には3点目を奪われ、結局0-3で敗れ、最下位に沈む。そしてこの敗戦は、同日にボルシア・ドルトムントに敗れ2位に落ちたアーセナルとの勝ち点差が6であり、チャンピオンズリーグの2次リーグ進出の道が閉ざされたことを意味しているのである。(続く)

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