第145回 UEFAカップも惨敗(1) インタートトカップからの出場ならず

■UEFAカップへの3つの道

 第140回から第144回までの連載で欧州チャンピオンズリーグの1次リーグに出場したフランス勢(リヨン、ランス、オセール)の戦いを紹介したが、いずれもグループで3位にとどまり、UEFAカップ3回戦に回ることになった。不本意な結果ではあるが、11月26日と12月12日に行われたUEFAカップ3回戦で勝ち抜き、年が明けても欧州の舞台で活躍する姿を見てみたいものである。
 さて、現在は欧州カップのシステムが複雑化し、かつて各国リーグの優勝チーム以外の上位チームに与えられていたUEFAカップ出場への道は多様化しており、3つの道がある。
 第一の道として、前年のシーズンが終了した段階で出場権が与えられるパターンである。これは各国のリーグ戦において欧州チャンピオンズリーグ出場チームに次ぐ上位の成績を収めたチーム、各国のカップ戦、リーグカップ戦の勝者となったチームなどが当てはまる。そして第二の道として各国のリーグ戦でUEFAカップ出場チームに次ぐ成績を残したチームが出場するインタートトカップで勝ち抜くパターンである。そして第三の道として欧州チャンピオンズリーグの予備戦や一次リーグで敗退したチームがUEFAカップに回ってくるパターンである。

■欧州三大カップから欧州三段階カップへ

 この3パターンの構造を見てみると、階級社会である欧州におけるそれぞれのカップ戦の序列がわかる。例えば、インタートトカップについては日本の稲本潤一が所属しているフラムが出場したことから日本ではチャンピオンズリーグと並ぶタイトルであると報じられていたようである。しかし、あくまでもインタートトカップはUEFAカップの予選である。そしてチャンピオンズリーグとUEFAカップの位置付けに着目すると、チャンピオンズリーグの序盤で好成績を残せなかったチームの受け皿としてUEFAカップが準備されていることを考えるならば、チャンピオンズリーグ、UEFAカップ、インタートトカップと言う明白な序列が理解できる。かつては欧州三大カップは存在したが、現在は欧州の三段階のカップが存在すると言えよう。

■フランスから3チームがインタートトカップに挑戦

 さて、フランスについては第三の道である欧州チャンピオンズリーグからのリタイア組については前回までに紹介したとおりであるが、第一、第二の道を経由したチームはどうなっているのであろうか。
 まず、第一の道については、フランスからは昨シーズン終了時に、3チームにUEFAカップ出場権が与えられる。この3つのチケットはリーグ4位のパリサンジェルマン、フランスカップ優勝のロリアン、リーグカップ優勝のボルドーに割り当てられた。これらのチームの戦いについては次回以降で紹介したい。
 第二のインタートトカップからの予選勝ちあがりについては、フランスからリーグ5位のリール、7位のトロワ、8位のソショーの3チームが真夏の戦いに挑戦した。(リーグ6位のボルドーはリーグカップ優勝のためUEFAカップに出場)インタートトカップは韓国と日本でワールドカップが開催されていた6月22日に開幕しており、ホームアンドアウエーのノックアウト方式で5回戦まで勝ち抜いた3チームにUEFAカップの出場権が与えられる。1回戦から出場するのはUEFAランキングが下位のリーグ、すなわち従来の欧州カップで好成績を残していないリーグの代表であり、フランス勢は2回戦からトロワとソショーが出場し、フランス勢の中で最上位のリールは3回戦から出場することになる。

■リールは決勝(5回戦)、トロワとソショーは準決勝(4回戦)で敗退

 7月6日と14日に行われた2回戦でトロワは北アイルランドのコールレインと対戦、ソショーはリトアニアのジャリギリス・ビリニュスと対戦した。コールレインはウィスキーの産地として有名であるが、すでに醸造所は20年程前に閉鎖されている。そのコールレインに乗り込んだトロワは2-1と先勝し、1週間後のホームでの戦いも2-1と連勝し、3回戦進出を決めている。ソショーはホームでスタートし、7500人近くの観衆を集めたことから地元からも期待されている。2-0と先勝し、第2戦でも2-1と連勝して3回戦に進出した。
 3回戦ではリールも加わった。リールはルーマニアのグロリア・ビストリタにアウエーで2-0、ホームで1-0と連勝し、第一関門を突破。トロワはオランダのNACブレーダとアウエーで1-1、ホームで0-0と2引き分けとなったが、アウエーゴール2倍ルールで軍配が上がる。ソショーはチェコの1FCシノット相手にアウエーで3-0と先勝し、ホームの第2戦はスコアレスドローとなり、3チーム揃って4回戦に進出する。
 準決勝に当たる4回戦では、リールはイングランドのアストン・ビラを下すが、ソショーはジャン・ティガナが率い、稲本潤一を中心とするイングランドのフラムに連敗する。また、トロワもスペインのビジャレアルに敗れ、決勝に相当する5回戦に進出したのはリールだけとなった。5回戦ではそのリールもドイツのシュツットガルトに1勝1敗となりながら、得失点差で敗れ、インタートトカップからのUEFAカップ出場はならなかったのである。(続く)

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