第533回 UEFAカップ、ベスト8への道(2) バーゼルを倒し、救ったストラスブールが再戦

■UEFAカップで好調なストラスブール

 UEFAカップ2回戦の第1戦は3月9日に行われたが、3チーム登場したフランス勢の中で唯一アウエーで試合を行ったのがストラスブールである。リールとは対照的にストラスブールはリーグの順位は下から3番目の18位、2部降格の危機に瀕しているが、UEFAカップでは絶好調である。本連載でも紹介してきたが、1回戦でオーストリアのグラッツアーに連勝、グループリーグではスイスのバーゼル、ノルウェーのトロムセに連勝、第3節でイタリアのASローマと引き分けて早々にグループリーグ突破を決めている。グループリーグ最終戦もユーゴスラビアのレッドスター・ベオグラードと引き分けて首位で決勝トーナメント進出を果たした。決勝トーナメント1回戦ではブルガリアのリテックスにアウエーで先勝、ホームで引き分け、これまで5勝3分と言う成績である。そのストラスブールは準々決勝進出をかけて2回戦ではバーゼルと対戦するが、これは10月20日に行われたグループリーグの初戦の再戦となる。

■元欧州王者レッドスター・ベオグラードにリードを許す

 ストラスブールはこれまで無敗と記したが、危ない試合がなかったわけではない。それはグループリーグ最終戦のレッドスター・ベオグラード戦である。ストラスブールは第3節ですでに決勝トーナメント進出を確定させ、余裕の最終戦を地元で迎える。最終戦を迎える段階で首位ストラスブール(勝ち点7、得失点差+4)、2位バーゼル(6、0)3位ASローマ(4、-1)、4位レッドスター・ベオグラード(3、-1)、5位に試合のないトロムセ(3、-1)となっており、2位から4位までの決勝トーナメント進出の希望が残っていた。
 レッドスター・ベオグラードは敵地で勝利すれば、ローマ-バーゼル戦の結果によっては決勝トーナメント進出となる。欧州チャンピオンズカップ時代にマルセイユを決勝で破り欧州チャンピオンとなったことのあるレッドスター・ベオグラードは終盤まで理想的な展開となった。ストラスブールに2-0とリードし、ASローマがバーゼルをリードする。このままで行けばレッドスター・ベオグラードは勝ち点でバーゼルと並び、得失点差でバーゼルを交わし3位に滑り込んで決勝トーナメントに進出することができる。

■バーゼルを救ったケビン・ガメリオの2ゴール

 ところがストラスブールも地元での国際試合で負けるわけには行かない。後半の79分にケビン・ガメリオが1点返し、試合はロスタイムに入る。そしてロスタイムの94分にガメリオが再びゴールを決め、リーグ戦の不振で不満のたまったファンを歓喜させた。
 この同点劇を喜んだのはストラスブールのファンだけではない。このガメリオの同点ゴールはストラスブールの首位を確定させただけではなく、レッドスター・ベオグラードの勝ち点2を奪った。レッドスター・ベオグラードの最終成績は勝ち点4、得失点差-1となる。もう一方の試合ではASローマがバーゼルに3-1と勝ち、勝ち点7で2位となる。敗れたバーゼルは勝ち点6、得失点差-2となり、もしもレッドスター・ベオグラードがストラスブールに勝っていればバーゼルと勝ち点で並び、得失点差で下回るバーゼルは4位となりグループリーグで敗退してしまうところであった。このバーゼルを救ったのがガメリオの同点ゴールであり、同点に追いつかれたレッドスター・ベオグラードをかわしてバーゼルが3位となったのである。バーゼルのファンはワールドカップの予選と本大会で代表チームが同じグループになり、10月20日のホームでの対戦で敗れていることを忘れて、ストラスブールに感謝したのである。

■第1戦は恩を忘れたバーゼルがストラスブールに雪辱

 このような縁のあるストラスブールとバーゼルは奇しくも決勝トーナメント2回戦で戦うことになった。舞台は10月20日と同じバーゼルのサン・ジャック・パルクである。国内リーグでは2002年12月以来この競技場では無敗と言うバーゼルであり、ストラスブール戦の敗戦は相当の屈辱だったのであろう。恩を忘れ、復讐に燃えるバーゼルは前半の8分にマティアス・デルガドがFKを直接決めて先制、終了間際の89分にも追加点を上げて2-0と言うスコアでストラスブールに雪辱したのである。(続く)

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