第632回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(2) 2位で折り返した連続出場のリール

■今季はランスでホームゲームを行うリール

 3連勝しかも無失点で前半戦を折り返したリヨンを前回の本連載では紹介したが、残るフランス勢であるリールとボルドーのその後はどうだったのであろうか。
 まず、第1節でベルギーのアンデルレヒトとアウエーで引き分けたグループHのリールは、第2節でイタリアのACミランと対戦する。ACミランについてはここで改めて紹介するまでもないであろう。これまでに数々の栄光を獲得し、フランス勢とも死闘を繰り広げてきた。今季はリール同様に予備戦3回戦からの参戦となったが、第1節でもギリシャのAEKアテネを3-0と下しており、リールにとってはかなり手ごわい相手である。
 リールは昨季に続き、チャンピオンズリーグへの出場は3回目であるが、本拠地のグリモンプレ・ジョリス競技場が改修中であり、リール・メトロポール競技場をリーグ戦で暫定的に使用中であるが、収容人員が1万8000人とUEFAの規定に達していないため、他の競技場でホームゲームを行わなくてはならない。最も近い競技場として収容人員が4万2000人のランスのフェリックス・ボラール競技場があるが、昨年はランスがUEFAカップに出場していたため、その次に近い競技場であるスタッド・ド・フランスでホームゲームを行った。スタッド・ド・フランスで開催した昨季のチャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)戦ではサッカーの試合としてフランスのクラブチームが出場した試合として最多観客動員となる66,470人と言う記録を打ち立てている。しかし、本連載の読者の皆様ならよくお分かりのとおり、この数字は第630回の本連載で紹介したラグビーのスタッド・フランセ-ビアリッツ戦の79,619人という数字には遠く及ばない。さらに昨年はスタッド・ド・フランスでの主催試合で3万5000人しか動員できない試合もあった。そのため、収容人員は少なくともファンの足の便のいいランスのフェリックス・ボラール競技場を規定どおりに使用することになった。
 なお、リールは2年連続して本拠地以外でのホームゲームの開催となったが、肝心の本拠地のグリモンプレ・ジョリス競技場の改修工事は環境問題により、工事がストップしたままである。

■ランスで敗戦経験のあるACミラン、リーグ戦で大敗したリール

 さて、リールはACミランとの初対決となるが、実はACミランはこのフェリックス・ボラール競技場では2002-03シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグでランスと対戦している。本連載第141回で紹介したとおり、ここまで4連勝のACミランは先制をするがランスが逆転負けを喫したという苦い思い出がある。
 一方のリールはACミラン戦の直前には国内リーグで首位リヨンと対戦し、1-4と大敗している。

■守備陣が成長し、ACミランとスコアレスドロー

 守備に不安の残るリールであったが、ほぼ満員の観衆の前で、若いチーム成長を見せる。ACミランは圧倒的にボールを支配し、波状攻撃を加えるが、リールは安定した守備でことごとく得点チャンスをつぶしていく。結局、0-0というスコアレスドローでグループリーグ最大の難敵とのホームゲームを乗り切り、勝ち点1を上積みしたのである。

■AEKアテネ戦で今季初勝利、単独2位で折り返し

 そして第3節は10月17日、この試合もホームゲームとなる。迎え撃つはAEKアテネである。第1節でACミランに敗れたAEKアテネは第2節ではアンデルレヒトと引き分けている。つまりグループHは第2節までの4試合のうち3試合が引き分けという混戦模様となっており、リールにとってここで勝てば首位に立つ可能性もある。リールは序盤から積極的に攻めるが得点にはいたらず、前半を終える。後半に入って64分、マチュー・ロバイユがリールから遠征してきた大勢のファンを歓喜させる先制点を決める。ところが、AEKアテネも、すかさず68分に同点に追いつく。このままドローかと思われた82分、途中出場のダニエル・ギガックスが勝ち越し点、そしてロスタイムにもジャン・マクンが得点をあげ、初勝利をあげた。
 グループHは折り返し点を迎える段階で第1シードのACミランが1位、第2シードのリールが2位、第4シードのアンデルレヒトが3位、第3シードのAEKアテネが4位となったのである。(続く)

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