第776回 グループリーグの前半戦を終えたチャンピオンズリーグ

■昨季から通算し、4試合連続無得点、6試合連続未勝利のリヨン

 9月初旬から10月中旬までフランスはラグビーのワールドカップ一色に染まった。ワールドカップの期間中のサッカーの国際試合は代表は開幕前後に2試合、そして閉幕間際に2試合、合計4試合の欧州選手権予選を戦っている。そしてクラブチームはチャンピオンズリーグのグループリーグの第1節と第2節、UEFAカップの1回戦が行われた。ワールドカップ終了後初めての国際試合がチャンピオンズリーグのグループリーグ第3節、そしてUEFAカップのグループリーグ第1節である。
 チャンピオンズリーグにはフランスからリヨンとマルセイユが出場したが、このワールドカップ期間中の成績は明暗が分かれた。まずリヨンは本連載の第764回で紹介したとおり、第1節でバルセロナ(スペイン)にアウエーとはいえ0-3で大敗するスタートとなった。さらに、第2節は10月2日にホームにグラスゴー・レンジャーズ(スコットランド)を迎えた。リヨンは国内リーグでは調子を上げていることから勝利も期待されたが、元気なく前半に1点を奪われ、後半に入っても立て続けに失点を喫し、第1節と同スコアの0-3で連敗する。リヨンはシュツットガルト(ドイツ)と並んで連敗となり、得失点差-6で最下位に沈んだのである。また、昨季から通算すると4試合連続無得点、6試合連続勝ち星なしという不名誉な記録が続いている。

■リバプールのアンフィールドでフランス勢として初勝利のマルセイユ

 一方、もう1つのフランス勢であるマルセイユは対照的な成績を残した。マルセイユの所属するグループAはリバプール(イングランド)、ポルト(ポルトガル)、ベシクタシュ(トルコ)というメンバーがそろっている。マルセイユの初戦は9月18日のホームでのベシクタシュ戦である。4年ぶりのチャンピオンズリーグ出場となるマルセイユであるが、リーグ戦では振るわず、ベシクタシュ戦を迎える段階で15位と言う状況であった。しかし、このベシクタシュ戦をマルセイユは2-0と勝利し、好スタートを切ったのである。
 そして10月3日にはアウエーでリバプールと対戦する。マルセイユはリーグ戦の不振の責任を取ってベシクタシュ戦とリバプール戦の間に監督がアルベール・エモン監督からエリック・ジェレに交代している。新体制もマルセイユがこの欧州を代表する強豪とのアウエーゲームで勝利すると期待するファンは少なかったが、前半から試合を支配し、両チーム無得点ながら勝利の気配を感じさせる。そして78分にはマテュー・バルブエナがついに均衡を破り得点をあげる。試合はこのままタイムアップ、マルセイユは1-0で勝利し、リバプールの本拠地アンフィールドで行われたチャンピオンズリーグの試合で初めて勝利を上げたフランスのチームとなったのである。そしてマルセイユは連勝し、勝ち点6で首位、リーグ戦で首位を走るリヨンとは対照的な成績で中盤を迎えたのである。

■ようやく得点と勝ち星をあげたリヨン

 リヨンの第3節はシュツットガルトとのアウエーの試合であり10月23日に行われた。二強二弱という構造になったグループEの中でこの試合で負けると二強との距離は遠くなる。フランスとドイツの昨季のリーグ覇者同士の対戦となった。アウエーのリヨンは前半は積極的には攻撃を仕掛けず、鋭いカウンターに活路を求め、好機をつかみながらも、無得点で終わる。しかし、56分にファビオ・ドスサントスがCKから得たチャンスを得点に結びつけ、先制点、リヨンは今年のチャンピオンズリーグ3試合目にして初得点をあげたのである。さらに79分にはカリム・ベンゼマが追加点、リヨンは2-0で勝利し、チャンピオンズリーグでは昨年11月1日のディナモ・キエフ(ウクライナ)戦以来の勝利となった。リヨンはこの日引き分けた二強のバルセロナ、グラスゴー・レンジャーズと勝ち点4差に迫ったのである。

■ポルトと引き分けるが、首位キープのマルセイユ

 そして連勝スタートのマルセイユの第3節はホームでのポルト戦である。前回マルセイユがチャンピオンズリーグに出場した際もポルトとグループリーグで対戦している。このときはホーム、アウエーともマルセイユは破れてしまい、グループリーグで敗退しているが、今回もその苦手意識が払拭されなかったのであろうか、69分にマルセイユは先制しながら、79分にPKを与え、追いつかれてドローとなっている。しかしながらマルセイユは勝ち点7で首位をキープしているのである。(この項、終わり)

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