第777回 UEFAカップ1回戦(1) ワールドカップ開催中の国内で勝てないフランス勢

■5チームが本戦に出場するフランス勢

 前回はチャンピオンズリーグに出場したリヨンとマルセイユのグループリーグにおける前半戦の戦いを紹介したが、今回と次回はもう1つの欧州カップであるUEFAカップのフランス勢のラグビーのワールドカップ期間中の戦いぶりを紹介しよう。
 今季のUEFAカップはフランスからレンヌ(リーグ4位)、ソショー(フランスカップ勝者)、ボルドー(リーグカップ勝者)が昨季終了時点で出場権を確保している。それに加えて本連載第754回で取り上げたとおり、チャンピオンズリーグの予備戦で敗れたトゥールーズ(リーグ3位)とUEFAカップの予備戦で勝利したランス(リーグ5位)がUEFAカップの本戦に出場することになった。そしてボルドー、トゥールーズ、ランスではラグビーのワールドカップが開催されている。
 本戦はまずホームアンドアウエー形式の1回戦から始まり、勝ったチームが5チームずつ8グループに分かれたグループリーグに進出する。この1回戦は第1戦が9月19日あるいは20日、第2戦が10月4日に行われ、まさにラグビーのワールドカップ期間中に行われた。

■先制を許し、引き分けに終わったランス

 フランス勢5チームの先陣を切ったのがインタートトカップ、そしてUEFAカップの予備戦を勝ち抜いて出場したランスである。ジャン・ピエール・パパン監督の手腕に注目が集まり、9月19日の18時にランスのフェリックス・ボラール競技場には2万5000人の観衆が集まった。相手はデンマークのFCコペンハーゲン、ここまで勝ち抜いてきたランスとは異なりチャンピオンズリーグの予備戦からの参戦であり、予備戦2回戦は勝ち抜いたものの、3回戦でポルトガルのベンフィカに敗れてUEFAカップに転戦してきた。ランスは開始早々の5分に失点を喫してしまう。そしてようやく71分にアルーナのゴールで追いついたものの、勝ち越すにはいたらず、ホームでの第1戦を1-1で引き分けてしまう。

■アウエーで勝利したボルドーとレンヌ

 翌日には4試合がほぼ30分おきに立て続けにキックオフされた。最初にキックオフの笛が鳴り響いたのはフィンランドのタンペレで18時から行われたタンペレ・ユナイテッド-ボルドー戦である。ボルドーは国内リーグ、国内のリーグカップ戦と日程が重なり、4試合連続のアウエーでの試合となる「死のロード」となった。この試合は劇的な展開になった。まずタンペレ・ユナイテッドが開始早々に先制、ボルドーは後半開始直後の48分にフェルナンド・カベナギの同点ゴールで追いつく。しかし、69分に勝ち越しを許し、時計の針は動いていく。他のフランス勢も次々と欧州各地で試合が始まっていく中で、ロスタイムは3分と表示される。そして92分、ジョアン・ミクーが同点ゴール、アウエーの試合であることを勘案すれば、これでも十分であったが、さらにその1分後、カベナギが勝ち越しゴールを決める。若くしてアルゼンチンリーグの得点王に輝きながら、スパルターク・モスクワへ移籍以降は不振が続き、今年初めにボルドーに移籍したカベナギがかつての輝きを取り戻せば、ボルドーの未来は変わるであろう。
 そしてこの日ボルドー以外と同様にアウエーで戦ったのがレンヌである。19時30分にブルガリアのロコモティフ・ソフィアとソフィアで対戦する。グラウンド状態の悪い中、相手のロコモティフ・ソフィアは守備的な試合運びになる。前半の終盤の39分、ジェローム・ルロワが先制ゴールを上げる。ロコモティフ・ソフィアも後半に入り51分に同点に追いつくが、レンヌは75分にブルーノ・シェイルーが勝ち越し点、試合終了間際の90分にはルロワが追加点を上げて3-1とアウエーで2点差勝利をあげたのである。

■不振のソショーは敗戦、空席が目立ったトゥールーズはスコアレスドロー

 一方、フランス国内での試合は前夜のランス同様、期待はずれに終わった。国内リーグでは19位と低迷し、2部降格の危機に瀕しているソショーは18時30分にホームで戦ったが、辛い試合となった。ギリシャのパニオニオス・アテネをホームに迎えるが、いいところなく、前後半1点ずつ失い、0-2と敗れてしまう。
 そして21年ぶりに欧州カップ出場となったトゥールーズは、ブルガリアのCSKAソフィアをラグビーの都に迎える。ラグビーのワールドカップでは3万5000人の超満員の観衆で埋め尽くされたが、この日はその半分以下の1万4000人の観衆しか集まらなかった。ワールドカップ中のホームゲーム開催が裏目に出た。そして試合はスコアレスドローに終わってしまった。
 結局フランス勢の第1戦はアウエーでは2勝、ホームでは2分1敗となり、10月4日の第2戦を迎えることになったのである。(続く)

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