第778回 UEFAカップ1回戦(2) トゥールーズ、レンヌ、ボルドーがグループリーグに進出

■6分間のロスタイムで追いついたトゥールーズ

 フランスから5チームが本戦に出場したUEFAカップ1回戦、9月中旬の第1戦は国内で2分1敗、国外で2勝という意外な結果になった。そして第2戦は10月4日に行われた。ワールドカップのカレンダーではちょうどグループリーグが終了し、決勝トーナメントを目前に控えた時期と重なる。
 最初に1回戦を突破したのは第1戦スコアレスドローのトゥールーズであった。CSKAソフィアとのアウエーゲームで勝利あるいは得点をあげてのドローが勝ち抜きの条件である。会場の軍隊競技場では2週間前にレンヌがロコモティフ・ソフィアを下している。CSKAソフィア本来の本拠地と言うことでこの日は2週間前の10倍の1万8000人の観衆が集まり、試合も熱いものになった。前半は両チーム無得点、後半に入り、CSKAソフィアがPKで先制点、これでリードを奪う。逆にトゥールーズは同点に追いつけばアウエーゴール2倍ルールでグループリーグへのチケットをつかむことができる。何とか守りたいCSKAソフィアと追いつきたいトゥールーズの試合はエキサイトし、前半はイエローカード1枚だったが、後半はイエローカード9枚、レッドカード1枚と荒れた試合になる。この中にはリードを守りたいCSKAソフィアの遅延行為に対する警告が2回あった。84分にはその警告が2回目となったCSKAソフィアの選手が退場、残り時間を1人少ない人数で守らなくてはならなくなったソフィアには無情のロスタイム6分の表示、ロスタイムに入ってもCSKAソフィアの選手は遅延行為を繰り返す。そして96分、トゥールーズのキックアンドラッシュ戦法がついに結実する。長身FWのアンドレ・ピエール・ギニャックがヘッドで押し込んでトゥールーズが追いつき、劇的なドラマを演じたのである。

■延長で決勝点を奪われたランス、無念の勝利となったソショー

 延長戦までもつれ込んだのがコペンハーゲンでのFCコペンハーゲン-ランス戦であった。ホームで1-1のドローのランスは序盤の13分に国際試合男のエリック・カリエールが先制点をあげる。ランスはCSKAソフィアと同じ立場になるが、時間稼ぎをすることなく、ゲームを進める。ところが、75分にランスは追いつかれてしまい、全くのタイスコアとなる。90分を過ぎても両チームのスコアは動かず、延長戦となる。延長に入って間もない94分、FCコペンハーゲンの選手が後方からのファウル、主審はレッドカードを掲げ、ランスは数的優位に立つ。しかしながら、延長後半の111分にランスのDFが自陣ペナルティエリア内で痛恨のファウル、このPKを決められてしまい、ついにリードを許した。その後の同点のチャンスをランスは活かすことができず、雨のコペンハーゲンで散ったのである。
 もう1つフランス勢でアウエーで戦ったのが2点を追うソショーである。パニオニオス・アテネとの対戦で、53分にラッキーなオウンゴールで先制点を入れる。残り時間でもう1点奪えばタイスコアとなる。その後もソショーは攻め続けるが、2点目のゴールは遠く、アウエーで1-0と勝利しながら、通算成績で欧州の舞台から去ることになった。

■アウエー第1戦の貯金で勝ち抜いたレンヌ、ボルドー

 一方、この日国内で戦った2チームはアウエーでの第1戦の貯金がものをいった形になった。アウエーの第1戦を3-1と2点差で勝利しているレンヌはホームにロコモティフ・ソフィアを迎える。2日後にパリサンジェルマンとの試合が控えているレンヌはメンバーを落としてこの1戦に臨む。24分にシルバン・マルボーのゴールで先制、これで楽勝かと思われたが、37分、40分と連続して得点を許し、あと1点許せば振り出しに戻るという展開になり、レンヌは主力選手を後半からつぎ込む。結局スコアは1-2のままで、レンヌが逃げ切った。
 そして第1戦で3-2とロスタイムの逆転劇を演じたボルドーはタンペレ・ユナイテッド(フィンランド)を迎え、試合を支配する。50分にマルーアン・シャマキのゴールで先制するが、51分に追いつかれてしまう。タンペレ・ユナイテッドに残り時間で2点をあげる力はなく、ボルドーはドローに持ち込み逃げ切った。

■ラグビーのワールドカップ開催がマイナスの影響を与えたホームゲーム

 この結果、フランス勢ではトゥールーズ、レンヌ、ボルドーの3チームがグループリーグに進出したが、ラグビーのワールドカップ期間中にフランス国内で行われた試合は3分2敗と勝ち星なし(国外は3勝2分)、チャンピオンズリーグとあわせても1勝3分3敗(国外は3勝2分2敗)となり、ワールドカップ開催が欧州のクラブの欧州カップ戦にマイナスの影響を与えたようである。(この項、終わり)

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