第927回 UEFAカップ、決勝トーナメントへの道(2) 因縁の相手を倒したナンシー

■2年前の対戦で、暴動が起きたナンシー-フェイエノールト戦

 前回の本連載では26年ぶりの欧州カップ出場となったサンテエチエンヌがグループリーグで連勝スタートをして、ほぼ決勝トーナメント進出を手中にしたことを紹介した。
 サンテエチエンヌ同様、好スタートを切ったのがナンシーである。ナンシーはこれまでのカップウィナーズカップとUEFAカップに1回ずつ出場したことがあり、30年前のカップウィナーズカップではベスト8決定戦、2年前のUEFAカップではベスト16決定戦に進出している。ナンシーの初戦の相手はオランダのフェイエノールト、これまでにUEFAカップで2回チャンピオンとなっている強豪チームである。しかしながら、昨季リーグ4位のナンシーはリーグ戦では16位と低迷している。そして一方のフェイエノールトもリーグ戦で15位と歴史的な苦戦を強いられており、リーグ戦で低迷するチーム同士の戦いとなった。
 実はこの両チームは2年前もUEFAカップのグループリーグで対戦しており、第777回の本連載で紹介している。この時はナンシーでの試合で、ナンシーが3-0と完勝したが、フェイエノールトのファンが暴動を起こすという不祥事が起こり、フェイエノールトは欧州カップ戦から締め出され、2年ぶりの復帰となった。

■ナンシー、2年前と同じスコアで勝利

 その因縁の対戦となったナンシー-フェイエノールト戦は10月23日に再びナンシーのマルセル・ピコ競技場で開催された。前半こそ両チーム無得点であったが、後半に入りナンシーはゴールを量産する。47分にモンセル・ゼルカが先制点、54分にはジュリアン・フェレが追加点を上げる。そして85分にはヘルダーが3点目を上げて、ナンシーは3-0と勝利する。奇しくもこれは2006年に対戦したときと同じスコアになり、ナンシーは貴重な勝ち点3を上げたのである。

■ナンシー、アウエーのレフ・ポズナン戦も追いつき、2位をキープ

 勝ち点3のナンシーは首位で第2節を迎える。第2節は11月6日、ポーランドのポズナンでレフ・ポズナンとの対戦である。レフ・ポズナンは、1990-91のチャンピオンズカップでは2回戦のマルセイユと対戦し、ホームではマルセイユを3-2と下している。決勝戦でPK戦の末敗れて準優勝となったマルセイユを90分間で倒した唯一のチームがレフ・ポズナンである。
 第1節に試合がなかったレフ・ポズナンはこれがグループリーグの初戦となる。レフ・ポズナンは5分に先制するが、ナンシーも10分にフランシス・マロンガが同点に追いつく。しかしレフ・ポズナンは22分に勝ち越し点を奪い、ナンシーをリードする。ナンシーは低地で敗色濃厚であったが、81分にゼルカが値千金の同点ゴールを決めて2-2のドローに持ち込んだ。第2節を終えた段階で、連勝したCSKAモスクワ(ロシア)に次いでナンシーは2位をキープしたのである。

■初戦でシャルケ04に敗れ、出遅れたパリサンジェルマン

 サンテエチエンヌ、ナンシーが好調なスタートであったのに対し、苦戦したのがパリサンジェルマンである。第1節はシャルケ04(ドイツ)とアウエーで対戦する。パリサンジェルマンもシャルケ04も国内リーグでは上位をキープしている。シャルケ04は欧州カップでフランスのチームとの対戦はこれまでに1回、それが2年前のUEFAカップの1回戦のナンシーとの対戦である。この時はアウエーで0-1と惜敗したナンシーが第2戦で3-1と勝利し、ナンシーが勝ち抜いている。そのナンシーも出場している今回のUEFAカップで、シャルケ04はフランス勢のパリサンジェルマン相手に執念を燃やした。シャルケ04は13分にオウンゴールで幸運な先制点を奪う。39分に追加点を上げたシャルケ04は後半に入っても69分に得点を上げて3-0と安全圏に入る。対するパリサンジェルマンは、終了直前のロスタイムの92分にクレマン・シャントムが一矢を報い、1点返すが、時すでに遅し、1-3と初戦を落としてしまったのである。
 パリサンジェルマンは第2節は試合がなく、勝ち点を積み上げることができないまま、最下位で第3節を迎える。サンテエチエンヌが首位、ナンシーが2位で第3節を迎える中で、フランス勢の中で唯一大きく出遅れたのである。(続く)

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