第930回 UEFAカップ、決勝トーナメントへの道(5) 最終戦に大勝したパリサンジェルマン

■首位でグループリーグを勝ち抜いたサンテエチエンヌ

 いよいよ12月17日と18日にUEFAカップの最終節が行われた。フランス勢3チームはいずれもこの最終節に登場する。本連載で紹介したとおり、サンテエチエンヌはすでに決勝トーナメント進出を確定、ナンシーは決勝トーナメントを前に足踏み状態が続き、パリサンジェルマンは再開に低迷したまま最終戦を迎えることになった。
 グループG首位のサンテエチエンヌ(勝ち点7)は2位がバレンシア(スペイン、勝ち点5)とのサンテエチエンヌでの直接対決である。サンテエチエンヌはリーグ戦では17位と低迷しながら、直前のリーグ戦ではトゥールーズに完勝、ただし松井大輔が負傷し、バレンシア戦のメンバーから外れた。
 この試合はボール支配率こそバレンシアが勝ったが、試合の主導権を握ったのはサンテエチエンヌであった。29分にイランが先制点、33分にはバレンシアのモリエンテスに同点ゴールを許すが、前半終了間際の44分にイランが勝ち越し点を上げる。後半に入って71分に追いつかれるが、サンテエチエンヌはドローで切り抜けて、首位として決勝トーナメントに進出したのである。

■最終戦に敗れて姿を消したナンシー

 一方、グループ2位のナンシーは勝ち点4で並び、この試合が欧州カップ通算100試合目となるデポルティーボ・ラ・コローニャ(スペイン)とのアウエーゲームである。この試合で引き分け以上であればナンシーは決勝トーナメント進出、そして負けた場合でもレフ・ポズナン(ポーランド)がフェイエノールト(オランダ)とのアウエーゲームで引き分け以下ならば、チケットを手にすることができる。
 ラ・コローニャとロッテルダムで同時に試合はキックオフされた。まず先にスコアが動いたのがライン川河口の港町であった。ここまで3連敗と元気のないフェイエノールトに対し、レフ・ポズナンが前半中盤にリードを奪う。この得点により、勝たなくてはならないデポルティーボ・ラ・コローニャは攻勢を強めたが、ナンシーはよく守り前半を終える。後半もナンシーは守りきるかと思えたが、71分に痛恨の失点を喫する。頼みのフェイエノールトもゴールを奪えず、0-1と敗れてしまう。ナンシーは0-1で敗れ、4位に沈み、欧州の夢は途絶えたのである。

■最下位ながら望みはあるパリサンジェルマン

 フランス勢で明暗が分かれた翌日に登場したのがパリサンジェルマンである。グループAでは勝ち点2で最下位、しかしながら、チャンスがないわけではない。パリサンジェルマンはトウェンテ(オランダ)に勝利し、同勝ち点で4位のラシン・サンタンドール(スペイン)がマンチェスター・シティ(イングランド)に引き分け以下ならばグループリーグ突破となる。そしてラシン・サンタンドールが勝利した場合でも、両チームの得失点差の差は1であり、パリサンジェルマンの最終戦での得失点差が、ラシン・サンタンドールのそれを上回れば、チケットが届く。

■ゴールラッシュで逆転で決勝トーナメントに進出

 逆転を期す下位2チームは同時にホームでキックオフとなり、激しいゴールラッシュとなった。まず、パリサンジェルマンのペギー・リュインデュラが8分に先制点をあげて、勝利のシナリオが始まる。しかし、ラシン・サンタンドールも18分に先制し、パリのシナリオは早くも崩れる。すかさず、パリサンジェルマンも23分にステファン・セセニョンが勝ち越し点をあげ、再びリードする。ところが30分にラシン・サンタンドールが2点目を上げて、一歩前に出てからパリサンジェルマンにとって苦しい時間帯が続いた。
 55分にはラシン・サンタンドールが3点目を上げ、パリサンジェルマンには残り35分で2点が必要となった。84分にマテジャ・ケズマンが3点目を上げたが、これでは足りない。そして86分、リュインデュラがゴールを上げてリードが4点差となり、決勝トーナメントに向けて終了間際に前進した。トウェンテとの試合に大勝し、ラシン・サンタンドールとのレースに勝ったパリサンジェルマンは、3位に滑り込み、決勝トーナメント進出を決めたのである。(この項、終わり)

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