第931回 欧州カップ、決勝トーナメント1回戦組み合わせ

■グループ2位にとどまったリヨン

 前回までの本連載ではUEFAカップのグループリーグの模様を紹介した。チャンピオンズリーグの終盤のグループリーグについては第913回から第918回で紹介している通りである。この結果、フランス勢はチャンピオンズリーグにはリヨン、UEFAカップにはグループリーグを勝ち抜いたサンテエチエンヌとパリサンジェルマン、チャンピオンズリーグのグループリーグで3位になったマルセイユとボルドーと言う合計5チームが年を越して欧州の頂点を目指すことになったのである。
 リヨンのグループリーグ最終戦を取り上げた第918回の連載で、グループリーグを首位で通過することのアドバンテージを紹介したが、リヨンは最終戦で敗れてしまい、2位にとどまった。その結果、決勝トーナメント1回戦では首位チームと対戦することになり、しかも第2戦をアウエーで戦うことになった。首位チームはマンチェスター・ユナイテッド、リバプール(以上イングランド)、ユベントス、ASローマ(以上イタリア)、バルセロナ(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、ポルト(ポルトガル)、パナシナイコス(ギリシャ)と言う顔ぶれであるが、この中でもっとも避けたい相手がバルセロナであろう。

■最強軍団バルセロナと対戦

 しかしながら、12月19日に開催された組み合わせ抽選会でリヨンは不運なくじを引き、バルセロナと対戦することになってしまったのである。バルセロナはティエリー・アンリやリオネル・メッシをはじめとする豪華なメンバーをそろえ、磐石の態勢である。また過去のリヨンとの対戦成績であるが、チャンピオンズリーグのグループリーグで2回対戦している。最初の対戦は2001年の秋のことであり、この時はホーム、アウエーともバルセロナが勝利している。また、2007年の秋にも対戦しているが、この時はバルセロナではバルセロナの勝利であったが、ジェルラン競技場では、リヨンが決勝トーナメントに望みをつなぐ引き分けに持ち込んでいる。結局、リヨンはこれまで4戦して1分3敗という成績に終わっているのである。

■UEFAカップにおけるグループリーグの順位と決勝トーナメントの関係

 チャンピオンズリーグ同様、UEFAカップのグループリーグでもよりよい順位で通過することが、その後の展開を楽にする。前回の本連載の冒頭で、UEFAカップのグループGの最終戦ですでに決勝トーナメント進出を決めていた首位サンテエチエンヌ(勝ち点7)と2位バレンシア(スペイン、勝ち点5)が直接対決したことを紹介したが、この試合には大きな意味があった。UEFAカップのグループリーグの成績によって決勝トーナメントの組み合わせが決まるのである。グループリーグ首位のチームはグループリーグ3位のチームと対戦となるが、グループリーグで2位になるとチャンピオンズリーグのグループリーグ3位のチームと対戦しなくてはならない。したがって、2位バレンシアと直接対決で引き分け以上ならば首位通過、負ければ2位となるサンテエチエンヌは目論見どおりの引き分けで首位をキープしたのである。

■対戦相手に恵まれたUEFAカップのフランス勢

 UEFAカップに出場するフランス勢4チームであるが、サンテエチエンヌは首位通過、パリサンジェルマンは3位通過、ボルドーとマルセイユはチャンピオンズリーグからの転戦となる。
 結果的には、ボルドーやマルセイユが対戦することになるグループ2位通過のチームに強豪がそろった。ACミラン(イタリア)、アヤックス・アムステルダム(オランダ)、バレンシア、デポルティーボ・ラ・コローニャ(以上スペイン)、ガラタサライ(トルコ)、シュツットガルト(ドイツ)、トウェンテ(オランダ)、トットナム・ホットスパーズ(イングランド)という面々である。ファンならば是非ともここでマルセイユとACミランの対戦を見てみたいであろう。しかしながらマルセイユはトウェンテ、ボルドーはガラタサライと比較的恵まれた相手との対戦となった。
 また、首位チームと3位チームの対戦であるが、同一国同士の対戦は規定により回避され、サンテエチエンヌはオリンピアコス(ギリシャ)、パリサンジェルマンはボルフスブルク(ドイツ)との対戦となる。
 バルセロナと対戦するリヨンにとってはUEFAカップに出場するフランス勢のドローがうらやましいことであろう。(この項、終わり)

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