第948回 チャンピオンズリーグ、フランス勢の低迷(3) 3年連続でベスト16どまりのリヨン

■絶好調ながらASローマに敗れた2006-07シーズン

 リヨンは、リーグチャンピオンとしてチャンピオンズリーグに2回目の出場となる2003-04シーズンから4回目の出場となる2005-06シーズンまで3年連続してベスト8入りしたことを前回の本連載で紹介した。
 国内では無敵の強さを誇るリヨンにとって欧州でベスト8と言うのは決して満足できる成績ではない。国内での強さが目立つほど、リヨンのファンのみならずフランスのサッカーファンはリヨンのチャンピオンズリーグでの優勝を切望すると言うのは自然の流れであろう。
 リーグ戦を25勝9分4敗で勝ち点84と独走優勝した2005-06シーズンの翌年は期待が高まった。2006-07シーズンのグループリーグではその強さを欧州中に示した。初戦でレアル・マドリッド(スペイン)を下し、その後、第2節でステアウア・ブカレスト(ルーマニア)、第3節でディナモ・キエフ(ウクライナ)にアウエーで連勝、第4節でもディナモ・キエフに勝利して4連勝する。最後の2試合は引き分けたが、4勝2分で堂々の首位突破となったのである。国内リーグ戦でも快進撃を続け、年明けから始まる決勝トーナメントでもその活躍が期待された。しかし、決勝トーナメント1回戦でASローマ(イタリア)と対戦、アウエーの第1戦はスコアレスドローに持ち込んだがリヨンでの第2戦は0-2と敗れてしまい、まさかの決勝トーナメント1回戦敗退となる。

■2007-08シーズンは優勝したマンチェスター・ユナイテッドに惜敗

 その翌年の2007-08シーズンは前年と全く異なる展開となったが、結果は同じだった。グループリーグではバルセロナ(スペイン)、グラスゴー・レンジャース(スコットランド)と対戦し、連続して完封負け、第3戦でシュツットガルト(ドイツ)に勝利するが、最下位で折り返す。最終戦のグラスゴー・レンジャースと直接対決を制し、グループ2位で決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメント1回戦の相手はマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、リヨンでの第1戦はカリム・ベンゼマのゴールによるリードを守りきれず、87分に同点ゴールを許し、1-1のドローに終わる。第2戦、オールドトラフォードでの試合は41分に奪われたリードに追いつくことができず、0-1で落とし、リヨンは前年に引き続き決勝トーナメント1回戦で姿を消す。マンチェスター・ユナイテッドはその後、優勝することになるが、フランス王者の1回戦負けはフランスのファンにとっては受け入れがたい事実であろう。

■バルセロナで記録的な大敗をし、3年連続の屈辱

 そして今年は本連載で紹介したばかりであり、グループリーグ最終戦でバイエルン・ミュンヘンに敗れて2位となり、決勝トーナメント1回戦ではバルセロナと対戦する。リヨンでの第1戦は1-1のドロー、バルセロナでの第2戦に望みを託したが、ノウカンプでは2-5と大敗を喫し、これで3年連続の決勝トーナメント1回戦敗退になったのである。この結果は欧州のベスト16どまりを意味するが、これで満足なファンはリヨンにはもちろん、ライバル関係にあるパリやマルセイユにもいないであろう。

■リヨン以外のチームも早期敗退

 期待に応えられなかったのはリーグ連覇中のリヨンだけではない。2006-07シーズンには前年度リーグ2位のボルドーと3位のリールが出場し、リールはグループリーグをACミランに次ぐ2位で突破したが、決勝トーナメント1回戦でマンチェスター・ユナイテッドに2連敗している。またボルドーはグループリーグ3位でチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出はならず、UEFAカップに転戦している。
 続く2007-08シーズン、つまり昨季は、リヨン以外は前年度リーグ2位のマルセイユと3位のトゥールーズが出場した。3位のトゥールーズは予備戦から参戦したが、リバプール(イングランド)に連敗し、本戦に進むことができなかった。またマルセイユはグループリーグで3位にとどまっている。
 リヨンは過去3年間チャンピオンズリーグではベスト16にとどまっているが、それでもフランス勢としては最高の成績である。振り返ってみれば2004-05シーズンから今季までリヨンは5年連続でフランス勢で最高の成績をキープしているが、その内訳はベスト8が2回、ベスト16が3回と言う具合で近年のフランス勢のチャンピオンズリーグについては目を覆いたくなるものがある。(続く)

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