第961回 フランス勢の望み、UEFAカップ(4) 厳しい結果になった準々決勝第1戦

■唯一のリーグチャンピオン、シャフタル・ドネツク

 フランス勢はUEFAカップ準々決勝でいずれもウクライナのチームと対戦することになったが、いずれも強敵である。まずマルセイユと対戦するシャフタル・ドネツクは昨年のウクライナリーグのチャンピオンチームである。準々決勝に進出しているチームで昨季のリーグチャンピオンはこのシャフタル・ドネツクだけである。予備戦の3回戦から参戦、グループリーグではバルセロナ(スペイン)、スポルティング・リスボン(ポルトガル)に次いで3位となり、UEFAカップに転戦してきた。

■旧ソ連時代以来の名門、ディナモ・キエフ

 そして昨季のウクライナリーグで2位だったのが、パリサンジェルマンが対戦するディナモ・キエフである。昨季はシャフタル・ドネツクの後塵を拝したが、旧ソ連時代から旧ソ連を代表するチームである。ディナモ・キエフはウクライナプレミアリーグでは9連覇を含む12回の優勝を誇り、シャフタル・ドネツクの優勝4回を大きく上回る。今季は首位を走り、2位のシャフタル・ドネツクに勝ち点で12の差をつけている。
 これまでにオレグ・ブロヒン(1975年)、イゴーリ・ベラノフ(1986年)という2人のバロンドール受賞者(欧州最優秀選手)を輩出している。さらに2004年に受賞したアンドリー・シェフチェンコも当時の所属はACミラン(イタリア)であったが、ウクライナ人であり、1999年まではディナモ・キエフに所属していた。

■マルセイユ、アウエーの第1戦を0―2と落とす

 マルセイユとシャフタル・ドネツクは欧州カップで初対決となるが、両クラブの接点となるのが、ブラジル人のブランドンである。ブランドンは今年の1月にシャフタル・ドネツクからマルセイユに移籍してきた。ブランドンは2002年にシャフタル・ドネツクに加入したが、シャフタル・ドネツク4回の優勝のうち3回に貢献してきた。攻撃陣を強化し、リヨンから覇権を奪いたいマルセイユがシーズン途中に優勝請負人として獲得したのである。UEFAカップには出場ができないが、リーグ戦でも早速その力を発揮しており、もしもマルセイユがリーグ優勝を果たせばブランドン効果であり、獲得したマルセイユ首脳陣の眼力は正しかったことになる。しかし、移籍時に両チームがUEFAカップで対戦するとは考えもしなかったであろう。
 さて、その注目のブラジル人が不在の中で、第1戦はシャフタル・ドネツクの本拠地オリンピスキー競技場で始まった。リーグ戦で3連勝中と好調であり、首位リヨンをピタリとマークするマルセイユであるが、なかなかゴールを奪うことができない。なぜならばシャフタル・ドネツクがホームチームらしからぬ守備的な布陣でこの試合に臨んだからである。そのシャフタル・ドネツクの戦術は見事に成功する。前半の一番苦しい時間帯である39分に先制点、そして後半に入って64分に追加点をあげる。シャフタル・ドネツクはホームの第1戦を2-0と勝利して、第2戦に挑むことになったのである。

■ウクライナ勢と相性のいいパリサンジェルマンもつまずく

 一方のパリサンジェルマンとディナモ・キエフは15年前にチャンピオンズリーグのグループリーグで対戦している。1993‐94シーズンのフランスリーグのチャンピオンとなったパリサンジェルマンはアウエーで2-1、ホームで1-0と連勝している。また、パリサンジェルマンはこれ以外にもウクライナ勢と対戦したことがあり、ウクライナのクラブとの通算成績は4戦4勝と相性はいい。
 欧州での素晴らしい戦績を誇るディナモ・キエフもフランス勢、パリサンジェルマンは苦手のようである。その過去の戦績を象徴するように、パリサンジェルマンの本拠地パルク・デ・プランスでの試合はホームチームがゲームを支配した。しかしながら、リーグ戦過去3試合で1勝2敗、順位も2位から5位に落ちたパリサンジェルマンは優位に試合を進めながらもゴールを決めることができない。結局第1戦はスコアレスドローに終わってしまった。
 フランス勢にとっては4月9日の第1戦は厳しい結果になってしまったのである。(続く)

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