第991回 ヨーロッパリーグ開幕、リール、予備戦の初戦を勝ち抜く

■シーズン開幕前にフランス勢が出場するヨーロッパリーグ

 これまでの連載ではチャンピオンズトロフィー、ピースカップ、エミレーツカップとシーズン開幕前に行われる試合について紹介してきた。チャンピオンズトロフィーだけが正式なタイトルマッチであるが、国内のチーム同士の戦いである。国外の相手とのタイトルをかけて争う戦いとなるとチャンピオンズリーグ、ヨーロッパカップという欧州カップ戦だけである。今年からヨーロッパリーグが始まることに伴い、インタートトがなくなり、フランス勢がシーズン前に戦う欧州カップはヨーロッパリーグの予備戦だけになってしまった。

■本戦の前にある予備戦、プレーオフ

 ヨーロッパリーグの予備戦は3回戦まであり、3回戦に勝利したチームはプレーオフを経て本大会出場となる。予備戦の1回戦は7月2日から始まっている。1回戦には46チームが参加、そしてその勝ち抜いた23チームに57チームを加えた80チームで2回戦が行われ、第1戦は7月16日、第2戦は7月23日に行われている。しかしフランスなどの有力リーグのチームは3回戦から登場することになり、第1戦は7月30日、第2戦は8月6日に行われ、2回戦を勝ち抜いた40チームに有力リーグからの参加チーム30チームが参戦し行われる。この3回戦の勝者35チームに加え、チャンピオンズリーグの予備戦3回戦で敗れた15チーム、プレーオフから参戦する26チームが加わり、76チームで本大会出場の38の座をかけて争うことになる。

■リールが対戦するセルビアのセボイノ

 フランスからは、予備戦3回戦には昨シーズンリーグ5位のリールが出場する。それ以外にリーグ4位のトゥールーズとフランスカップ優勝のギャンガンがプレーオフから出場する。
 リールの相手はセルビアのセボイノである。セルビアカップはパルチザン・ベオグラードが優勝している。しかし、パルチザン・ベオグラードはリーグ戦も優勝しているため、5月22日の決勝で0-3と敗れたカップ戦準優勝チームのセボイノがヨーロッパカップに出場することになったのである。セボイノは2部リーグのチームであり、リールの方が実力は上であろう。そしてフランスとセルビアはバカンス明けの9月9日にワールドカップ予選で対戦する。クラブレベルの試合とはいえ、リールはここでセルビアのチームをたたいておきたいところである。
 しかし、シーズン開幕前に公式戦を戦うこと、そしてそれがアウエーゲームであるということは難しいことである。リールも他のチームよりも早くチーム状態を仕上げようと準備に余念がなかったが、シーズン最初の試合である。相手のセボイノは予備戦2回戦でリトアニアのカウナスと対戦し、アウエーゴール2倍ルールで勝利するという厳しい条件の試合を経験したばかりである。リールにとっては2年半前にチャンピオンズリーグの準々決勝ベスト8決定戦でマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に敗れて以来2年半ぶりの国際試合となる。
 さらに、パリサンジェルマンから移籍してきたGKのミカエル・ランドローは、負傷して出場できないため、セボイノとの連戦では第2GKのルドビック・ビュッテルがゴールを守ることになる。

■アウエー、ホームの試合とも2-0でリールが連勝

 セボイノはベオグラードから約200キロ離れているが、このリールとの試合はベオグラードのパルチザン競技場で行われた。3万人収容のこのスタジアムに集まった観衆は1500人、本拠地から離れたことが逆に観客動員には裏目となったようである。予想通り、リールの立ち上がりの状態は決してよくはなかった。しかし、地力の差は明白であり、次第にリールは試合をコントロールするようになった。34分にCFのビッテクが先制点、39分には18歳のエデン・ハザールが追加点をあげて試合を決める。セルビアの2部リーグのチーム相手にリールは敵地で順当勝ちしたのである。
 そしてリールは第2戦は余裕を持って戦う。先発11人のうち8人を入れ替える。そして試合は終盤まで両チーム無得点が続いたが、72分にヨアン・カバイエ、そして85分にトゥーリオ・デ・メロが立て続けにゴールを決める。結局1週間前の第1戦と同じスコアで連勝し、プレーオフへコマを進めたのである。(この項、終わり)

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