第1087回 リヨンとボルドー、準々決勝で対戦(1) チャンピオンズリーグで初めてのフランス勢対決

■史上2度目のフランス勢2チームが8強入り

 本連載第1082回では3月17日にボルドーがオリンピアコス(ギリシャ)を下し、第1戦に続いて連勝してチャンピオンズリーグの準々決勝に進出したことを紹介した。
 チャンピオンズリーグの準々決勝にはフランス勢からボルドーとリヨンが進出した。今年の8強の顔ぶれはアーセナル、マンチェスター・ユナイテッド(以上イングランド)、バルセロナ(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、CSKAモスクワ(ロシア)、インター・ミラノ(イタリア)である。半数にあたる4チーム(アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン)は2年連続の準々決勝進出である。このように上位チームの固定化は近年の傾向であるが、リーグ別の分布には変化があった。5年連続で決勝に進出しているイングランドから2チーム勝ち残っているが、それ以外はスペイン、ドイツ、ロシア、イタリアから1チームずつとなっている。昨年はイングランドから4チーム、スペインから2チーム、ドイツとポルトガルから1チームであり、リーグ別ではバランスの取れた8強となった。
 フランスからチャンピオンズリーグの準々決勝に2チームが進出したのは2003-04シーズンのリヨンとモナコ以来、史上2度目のことである。このとき、モナコは決勝まで進出したが、ドイツのゲルゼンキルヘンでの決勝でポルト(ポルトガル)に敗れている。

■準々決勝でリヨンとボルドーが対戦

 さて、準々決勝の組み合わせ抽選会が3月19日に行われた。両チームのファンは実力で一歩抜け出ているバルセロナやインテル・ミラノとの対戦を回避するように祈り、その願いは通じた。しかし思いもかけぬ抽選結果となった。それは準々決勝でリヨンとボルドーのフランス勢同士が対戦することになってしまったのである。

■チャンピオンズリーグで同一リーグ勢の対戦は過去19回

 現行のチャンピオンズリーグの大会規定では、同一リーグのチームの対戦は準々決勝以降に起こる可能性がある。今日のチャンピオンズリーグは上記のとおり、上位進出チームが固定化し、有力リーグに所属するビッグクラブ同士の対戦が終盤は多くなり、その結果として同一リーグ勢同士の対戦が準々決勝以降でしばしば見られる。
 例えば、昨季は4強のうち3チームをイングランド勢が占めていた。準々決勝以降においてイングランド勢同士の対戦は準々決勝のリバプール-チェルシー戦、準決勝のマンチェスター・ユナイテッド-アーセナル戦の2カードがあった。さらに一昨年も8強のうちの半数をイングランド勢が占めたが、準々決勝ではリバプール-アーセナル戦、準決勝ではリバプール-チェルシー戦、決勝ではマンチェスター・ユナイテッド-チェルシー戦とそれぞれの段階で1試合ずつイングランド勢同士の対戦が起こったのである。
 歴史を紐解けば、チャンピオンズリーグの準々決勝以降に同一リーグのチームが対戦したのはイングランド勢6回、スペイン勢4回、イタリア勢3回、ドイツ勢2回とこれまでに19回ある。チャンピオンズリーグでフランス勢同士が戦うと言うのは史上初めてのことであり、ようやくその20回目にフランス勢が仲間入りし、欧州の五大リーグの末席としての地位を守ったのである。

■これまでにUEFAカップでは2回あったフランス勢対決

 チャンピオンズリーグでは初めてのフランス勢対決となったが、それ以外の欧州カップではフランス勢同士の対決がなかったわけではない。ヨーロッパリーグの前身のUEFAカップの1998-99シーズンの3回戦(ベスト8決定戦相当)でモナコとマルセイユが対戦したのが最初のことである。第1戦は2-2の引き分けであり、第2戦を1-0と勝利したマルセイユがベスト8に進出する。マルセイユは決勝まで進み、パルマ(イタリア)に敗れる。
 そして2回目は2004-05シーズンのベスト8決定戦ではリールとオセールが対戦し、アウエーの第1戦で勝利したオセールが8強入りしている。また正式には欧州カップではないが、1997年のインタートトではUEFAカップ出場をかけてリヨンとモンペリエが対戦し、リヨンが連勝してUEFAカップ出場を果たしているのである。(続く)

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