第1156回 2010-11欧州カップ開幕(3) オセール、8年ぶりのチャンピオンズリーグ出場

■欧州カップの常連だったオセール

 過去2回の本連載ではヨーロッパリーグの本戦出場をかけたモンペリエ、リール、パリサンジェルマンの予備戦ならびにプレーオフの模様を紹介したが、今回はチャンピオンズリーグの本戦出場に向けたオセールの戦いを紹介しよう。
 1980年代初めに名将ギ・ルーに率いられて1部に昇格し、オセールは常に上位を争っていた。昇格初年度と2年目こそリーグ順位は2ケタであったが、1982-83シーズンから1997-98シーズンまで16シーズン連続で1ケタ順位という安定した成績を誇っている。リーグ優勝はフランスカップとの二冠を達成した1995-96シーズンだけであったが、リーグ上位チームが出場するUEFAカップの常連であった。1984-85シーズンに初めての欧州カップ挑戦となるUEFAカップに出場してから2006-07までの23シーズンのうち、欧州カップ出場を逃したのは7シーズンだけ(そのうち2シーズンはインタートトには出場)という欧州カップの常連なのである。

■UEFAカップ出場14回を誇るオセール

 この16回の欧州カップ出場のうち、14回はUEFAカップに出場している。1980年代から1990年代初めまではリーグ優勝チームだけにチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの出場権がなかったため、イタリア、スペイン、ドイツ、イングランドの強豪チームが複数出場し、チャンピオンズリーグよりも獲得が困難なタイトルと言われていた。その欧州の強豪に臆することなくオセールは準決勝進出1回、準々決勝進出3回と好成績を残している。
 ところが、チャンピオンズリーグの出場はリーグ優勝した翌季の1996-97シーズンとリーグ3位として出場した2002-03シーズンの2回だけである。1996-97シーズンは初出場ながら準々決勝進出と健闘したが、2002-03シーズンはグループリーグで3位に終わり、UEFAカップに転戦している。
 そして欧州カップの常連のオセールも2006-07シーズンを最後に欧州カップ出場から遠ざかっており、3季連続して欧州カップの出場権を逃したのは1部昇格直後を除くと初めてのことである。

■シーズン序盤から精彩を欠くオセール、アウエーの第1戦を落とす

 そのオセールは昨季はリーグ3位に入り、チャンピオンズリーグのプレーオフへの出場権を獲得した。プレーオフの相手はロシアのゼニト・サンクトペテルブルクである。2年前のUEFAカップを制し、一躍欧州のスターダムに躍り出たチームは昨季の国内リーグは3位だった。同じリーグ3位同士のオセールは8月17日にアウエーで対戦する。リーグ戦が開幕して2試合との引き分けという調子の出ないオセールは、この試合でも精彩を欠く。主将のブノワペドレッティをはじめとする中盤の選手は健闘するが、攻撃陣は好機を次々と逃してしまい、無得点に終わる。開始早々に奪われた失点を取り返すことができなかったオセールはアウエーの第1戦を0-1と落としてしまう。

■ホームの第2戦は快勝、今季公式戦初勝利

 第2戦は8月25日にオセールのホーム、アベ・デシャン競技場で行われる。オセールはサンクトペテルブルクでの試合の直後のリーグ戦でもバランシエンヌ相手のホームで引き分け、中堅以下のチーム相手に3試合連続引き分けという成績にファンは不満である。そのファンの不満を払しょくするためには、今季公式戦初勝利を2点以上で飾り、チャンピオンズリーグの本戦出場を決めることが何よりの特効薬である。
 ファンの期待にオセールのイレブンは応えた。9分にペドレッティからのCKを右サイドDFのセドリック・アングバールがヘディングで合わせ、ゼニト・サンクトペテルブルクは全く動くことができずに、ゴールネットが揺れる。このヘディングシュートでタイスコアとなり、オセールにとって欲しいのは2点目である。
 その2点目は後半の序盤に生まれた。2006年のワールドカップ西ドイツ大会ではポーランド代表として活躍し、昨季チームの得点王でありながら、今季はリーグ戦でも無得点と不振だったイエネウシュ・イエレンがついにゴールをあげる。53分のイエレンの得点によってこれでオセールがリードする。焦燥感の現れたゼニト・サンクトペテルブルクは65分、80分に退場者を出してしまい、9人ではさすがにサッカーにならず、オセールが2試合合計スコア2-1と勝利し、8年ぶりのチャンピオンズリーグ出場を決めたのである。(続く)

このページのTOPへ