第1192回 フランス勢4チームが決勝トーナメントに進出 (2) 2連敗の後、4連勝したマルセイユ

■国内リーグの序盤で苦戦したリヨンとマルセイユ

 前回の本連載では最終節を待たずして決勝トーナメント進出を決めたリヨンを紹介した。リヨンは昨季のチャンピオンズリーグで準決勝に進出し、それ以前にはフランスリーグ7連覇を飾っており、決勝トーナメント進出は当然と思われる読者の方も少なくないであろうが、今季の国内リーグでは大苦戦、初勝利は第3節、9月下旬には降格圏内の18位まで順位を落とし、チャンピオンズリーグのグループリーグを3連勝で折り返した段階の国内順位は14位、一ケタ順位に上昇したのは11月の半ばのことであった。
 今回紹介するマルセイユも国内リーグは連敗スタートで序盤戦は苦戦した。マルセイユの場合、リヨンと異なりチャンピオンズリーグでも連敗スタートであった。そしてマルセイユはチャンピオンズリーグの第3節と第4節でジリナ(スロバキア)に連勝し、望みをつないだことは本連載の第1174回で紹介した通りである。マルセイユはこのチャンピオンズリーグでの連勝が国内リーグの勢いにつながり、順位を上昇させる。

■第5節はスパルターク・モスクワと直接対決

 マルセイユはジリナとのアウエーの戦いで7-0という歴史的勝利をあげた直後の国内リーグで宿敵パリサンジェルマンに1-2と敗れたものの、その後は勝ち星を重ね、11月23日に行われた第5節でスパルターク・モスクワ(ロシア)とアウエーで対戦する。第5節を迎える段階でのグループFの順位を紹介するとチェルシー(イングランド)が4連勝で首位、マルセイユとスパルターク・モスクワが2勝2敗で並び、ジリナは4連敗と元気がない。マルセイユとスパルターク・モスクワは2位争いの直接対決となり、ホームのスパルターク・モスクワが勝てば決勝トーナメント進出を決めることになる。
 一方、マルセイユは9月15日にホームゲームを0-1と落としており、2点差以上得点をあげて勝利すれば直接対決の成績で上回ることになり、決勝トーナメント進出を勝ち取ることになる。

■1999年のUEFAカップ決勝が行われたモスクワオリンピックのメイン会場

 このスパルターク・モスクワ戦の行われるルジニキ競技場は1980年に開催されたモスクワオリンピックのメイン会場である。日本初の民放によるオリンピックの独占中継ということでエンターテインメントを前面に出した中継が行われ、日本のスポーツファンの皆様にとっては印象深いオリンピックであったであろう。しかし、マルセイユにとっては悪夢のスタジアムである。1999年5月12日に行われたUEFAカップの決勝でイタリアのパルマ相手に手も足も出ず、0-3と完敗している。

■スパルターク・モスクワに完勝、最終節はチェルシーも撃破

 しかし、晩秋になり勢いの出てきたマルセイユは、その暗い思い出も、モスクワの寒いアウエーゲームを苦としなかった。開始早々にマチュー・バルブエナが惜しいシュートを放つ。そして先制点は18分にバルブエナがあげた。アルゼンチン代表のガブリエル・ハインツのクロスを小柄なフランス代表が寒空のモスクワのゴールに突き刺す。ホームのスパルターク・モスクワは序盤は動きが悪く、次第に調子を出したが、マルセイユの選手の動きはそれを上回るものであった。
 後半に入った54分、ロイック・レミの放ったシュートは両サイドのポストに当たった末にゴールインし、これで2点目をあげたマルセイユは大きくチャンスを引き寄せた。焦るスパルターク・モスクワは64分に退場者を出してしまう。数的に劣るホームチームに勝ち目はなかった。マルセイユはなおも攻撃の手を休めず、68分にブランドンが3点目をあげて3-0と勝利する。マルセイユは2連敗の後、3連勝し、決勝トーナメントに駒を進めたのである。
 そして同日に行われたチェルシーはジリナ相手に勝利し、1位を確定し、最終節を待たずしてグループFは全順位が確定した。 最終節は消化試合となったが、チェルシーをベロドロームに迎えたマルセイユは81分のブランドンの一撃で1-0と勝利、チェルシーの連勝にストップをかけ、4連勝でグループリーグを終え、欧州の頂点を狙うことになったのである。(続く)

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