第1191回 フランス勢4チームが決勝トーナメントに進出 (1) 2位通過にとどまったリヨン

■決勝トーナメント進出まであと一歩のリヨン

 年の瀬も押し迫り、日本のサッカーファンの皆様の関心は天皇杯一色となっているであろう。欧州では各国リーグが折り返し点を迎えるが、欧州カップもグループリーグから決勝トーナメントへと移り変わる時期である。年末の欧州のサッカーシーンはフィナーレを迎える天皇杯ほどの盛り上がりはないが、それでも寒空の中、多くのファンがスタンドを埋め尽くす。本連載では欧州カップの決勝トーナメントを目指すフランス勢を紹介したい。
 フランス勢の中で最も順調な戦いを続けたのがリヨンである。本連載第1172回と1173回で紹介した通り、グループBのリヨンは前半戦を3連勝し、後半戦最初のアウエーのベンフィカ(ポルトガル)戦で3-4と競り負け、決勝トーナメント出場を決めることはできなかったが、あと一歩である。第4節が終了した段階でグループBの順位を確認すると、首位はリヨンで3勝1敗(勝ち点9)、続いてシャルケ04(ドイツ)で2勝1分1敗(勝ち点7)、3位はベンフィカで2勝2敗(勝ち点6)、そして最下位はハポエル・テルアビブ(イスラエル)で1分3敗(勝ち点1)である。
 2位のシャルケと3位のベンフィカは最終節で直接対決するため、リヨンはあと勝ち点1を確保すれば、9季連続の決勝トーナメント進出が決まる。そのリヨンの第5節は2位のシャルケ04とのアウエーでの試合である。熱狂的なファンを抱えるシャルケ04は地元でリヨンに勝利すれば首位に躍り出ることができる。

■アウエーでシャルケ04に完敗したリヨン

 リヨンは主将のクリスが試合の前週に負傷し、欠場し、ジェレミー・トゥーラランが主将を務める。試合は開始から地元シャルケのペースとなる。前半は一方的なシャルケ04のゲームとなった。先制点を奪ったのはシャルケ04であった。スペイン代表の顔であったラウルが大活躍し、ゲームをコントロールする。そして13分にペルー代表のジェファーソン・ファルファンがゴールネットを揺らすとゲルゼンキルヘンのアレーナ・アウフシャルケの観客は熱狂する。20分にはオランダ代表のクラース・ヤン・フンテラールが追加点をあげる。
 2点のリードを奪われたリヨンは後半に入るとボールを支配するようになるが、得点のチャンスはなく、さらにシャルケ04のGKマヌエル・ノイアーの好守にはばまれる。さらにリヨンにはショッキングなアクシデントが起こる。試合を組み立てるヨアン・グルクフが負傷のため60分に負傷のためピッチを去る。ミラレム・ピヤニッチを投入するが、事態を打開するに至らない。結局試合終了前にフンテラールがダメ押しの得点を奪い、リヨンは0-3というスコアで連敗したのである。

■ハポエル・テルアビブの歴史的勝利でリヨンも決勝トーナメント進出

 意気消沈するはずのリヨン、最終戦のベンフィカ戦に向けて兜の尾を締めるシャルケ04であるが、テルアビブで行われたハポエル・テルアビブとベンフィカの試合は予想通りベンフィカが一方的に攻め続けるが、ゴールの女神に見放され、無得点。一方のハポエル・テルアビブは数少ないチャンスを得点に結び付け、3-0というスコアで勝利し、チャンピオンズリーグでクラブ史上初勝利をあげる。この結果、リヨンとシャルケ04の決勝トーナメント進出が決まったのである。

■ハポエル・テルアビブと最終戦で引き分け、2位にとどまる

 そして最終節でリヨンはハポエル・テルアビブとホームで対戦する。リヨンが勝利し、もう1つの試合でベンフィカがシャルケ04相手に勝利すればリヨンの首位通過となる。しかし、前節の初勝利で3位以内も見えてきたハポエル・テルアビブは手ごわい相手となった。62分にリヨンはリサンドロのゴールで先制するが、ハポエル・テルアビブは1分後に同点に追いつき、69分には逆転し、ヨーロッパリーグ行きのチケットを手にしかかる。しかしリヨンは試合終了間際にアレクサンドル・ラカゼットが同点ゴールをあげて引き分けに持ち込む。そしてベンフィカに勝利したシャルケ04が首位通過、リヨンは2位にとどまったのである。(続く)

このページのTOPへ