第1195回 フランス勢4チームが決勝トーナメントに進出 (5) 強豪ぞろいのグループを勝ち抜いたパリサンジェルマン

■4チーム中3チームが欧州カップ優勝経験のあるグループJ

 前回は最終節での直接対決に勝利してヨーロッパリーグの決勝トーナメントに進出したリールを紹介したが、今回はヨーロッパリーグを戦っているもう1つのフランス勢であるパリサンジェルマンを紹介しよう。
 パリサンジェルマンは本連載の第1159回で紹介した通り、グループJに入り、第1節はスペインのセビリアに対しアウエーで1-0と勝利している。パリサンジェルマンの所属するグループJは豪華である。まず、パリサンジェルマン自身は1996年にカップウィナーズカップで優勝している。セビリアは2006年、2007年とUEFAカップを連覇しており、ドイツのボルシア・ドルトムントは1997年にチャンピオンズリーグを制覇し、古くは1966年にUEFAカップで優勝している。ウクライナのカルパティ・リビウこそ、これまでに欧州でのタイトルがないが、4チーム中3チームが欧州三大カップの優勝経験があるという「死のグループ」である。

■格下のカルパティ・リビウにホームで完勝

 パリサンジェルマンの第2節はホームでのカルパティ・リビウ戦である。カルパティ・リビウは昨季のウクライナリーグで5位になり、予備戦を経て、プレーオフではUEFAカップで優勝経験のあるトルコのガラタサライに競り勝っての本大会出場である。しかし、これまでに欧州カップの出場経験はカップウィナーズカップ1回、UEFAカップ1回で、これが3度目の欧州カップ出場という実績の少ないチームは第1戦もホームでボルシア・ドルトムントに敗れている。パリサンジェルマンは4分にDFのクリストフ・ジャレが先制点、26分にはネネが追加点をあげ、試合を早々に決める。2-0というスコアで勝利したパリサンジェルマンは唯一の連勝チームとなる。

■ボルシア・ドルトムントとは2試合ともドロー

 そして第3節は10月21日、アウエーのボルシア・ドルトムント戦である。前節でセビリアに敗れているボルシア・ドルトムントは是非とも勝ちたいホームの試合であり、後半の50分に先制する。しかし、パリサンジェルマンは試合終盤の87分にDFのクレマン・シャントムが同点ゴールをあげて、引き分けに持ち込み、首位をキープした。
 続く第4節はパルク・デ・プランスでの試合となる。このホームゲームで勝利すれば早々と決勝トーナメント進出を決めることができるパリサンジェルマンであるが、ブンデスリーガで首位に立つボルシア・ドルトムントは多くのサポーターをパリに引き連れ、手ごわい相手となった。パリサンジェルマンが攻勢に出るも得点を決めることができない。逆に後半に入るとパリサンジェルマンの運動量が落ちたところを日本代表の香川真司などが強烈にゴールを狙う。結局、この1戦はスコアレスドローとなり、カルパティ・リビウに手堅く勝利したセビリアが、パリサンジェルマンに代わってグループの首位に立ったのである。

■パルク・デ・プランスでの直接対決、セビリアに勝利

 12月2日の第5節はそのセビリアをパリに迎えての首位決戦となった。この段階で勝ち点はセビリアが9、パリサンジェルマンが8、ボルシア・ドルトムントが5である。パリでの戦いで勝利したチームは決勝トーナメント進出、そして引き分けの場合でもボルシア・ドルトムントの試合の結果いかんで決勝トーナメントのチケットが舞い込む。しかしボルシア・ドルトムントが対戦するカルパティ・リビウはここまで4連敗、勝利以外に決勝トーナメントの可能性は少ないであろう。
 1万8000人のファンが見守る試合で勝利への執念に勝ったのは赤いユニフォームのパリサンジェルマンであった。17分にマチュー・ボドメールが先制点、19分にギヨーム・オラオが追加点をあげる。しかし、セビリアは32分、36分とフレデリック・カヌーテが連続ゴールで追いつく。しかし、前半ロスタイムにネネが勝ち越し点をあげ、後半も始まったばかりの47分にオラオが追加点で2点差とする。パリサンジェルマンは4-2とホームで快勝、2年ぶりの決勝トーナメント進出を決めたのである。(この項、終わり)

 読者の皆様、本年もご愛読ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

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