第1221回 過密スケジュール、リールは1回戦敗退、パリサンジェルマンは2回戦に進出

■リーグ戦上位5チーム中4チームが欧州カップ決勝トーナメントへ

 同じ欧州カップでも決勝トーナメント出場チームの数に差があるため、ヨーロッパリーグとチャンピオンズカップでは決勝トーナメントの序盤の日程が少々異なる。フランス勢のチャンピオンズリーグの1回戦の第1戦が行われた直後にヨーロッパリーグは第2戦が行われ2回戦に進出する16チームが決定する。
 本連載の第1218回で紹介した通り、パリサンジェルマンはベラルーシのBATEボリソフとマイナス14度という厳寒の中で追いつき、第1219回ではリールがオランダのPSVアイントホーヘンに追いつかれ、いずれも2-2というスコアで引き分け、第2戦を迎える。
 この段階でフランスリーグは第24節まで消化、20チームすべてが24試合を終えた時点で首位リール(勝ち点45)、2位レンヌ(43)、3位マルセイユ(42)、4位リヨン(41、得失点差+14)、5位パリサンジェルマン(41、+13)となり、6位のモンペリエは勝ち点37であり、5位と6位の勝ち点差は4開いている。また、得失点差が二けたというのもこの5チームだけである。折り返し段階では上位7チームの首位争いだったが、5チームに絞られたようである。そして、欧州カップを戦っている4チームはすべてこの上位5チームに入っており、国内で好調なチームの欧州での争いは選手起用など監督の手腕が問われる。

■過密な日程のリールとパリサンジェルマン

 欧州で戦っている4チームのうち、フランスカップの準々決勝に残っているのがリールとパリサンジェルマン、リーグカップの決勝に残っているのがマルセイユである。リーグカップは準決勝が1月、決勝が4月であるが、フランスカップは準々決勝が3月1日に予定されており、リールとパリサンジェルマンは2月17日と24日にヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦、3月2日にフランスカップの準々決勝、3月10日と17日にヨーロッパリーグ決勝トーナメント2回戦と、5週連続で週末のリーグ戦に加えて平日に国内外のカップ戦を戦うことになる。カップ戦の場合は、延長戦やPK戦にもつれ込むこともあり、通常の90分で終わるリーグ戦よりも精神的、肉体的な負担が大きく、さらに遠方への国外遠征もある。

■控え選手中心のリール、ベテランの退場で崩れる

 したがって、どこかの試合でメンバーを落として戦わなくてはならない。リールのPSVアイントホーヘン戦がまさにそうであった。リールは直前のリーグ戦でモンペリエに敗れていることもあり、若手中心のメンバーで臨む。先制点は22分にベテランのピエール・アラン・フロー、かつてはフランス代表であったが、今季はリーグ戦では出番が少なくなった。しかし、55分に追いつかれる。62分にフロー、そして63分に主将で同じくフランス代表経験のあるリオ・マブーバが続けて退場となると若いチームは崩壊する。67分に逆転され、74分に3点目を奪われ、リールは1回戦で敗退したのである。

■パリサンジェルマン、余裕のスコアレスドロー

 一方のパリサンジェルマンは、直前と直後のリーグ戦の相手が下位を低迷するランスとニース、そしてこの第2戦が地元ということもあり風邪で欠場のママドゥ・サコ以外はほぼベストメンバーであった。ミンスクでの試合の終了1分前のペギー・リュインデュラの同点ゴールで1-1以下の引き分けでもよくなったパリサンジェルマンは、得点こそ奪うことができなかったが、安定した内容の試合運びを1万7000人の地元の観衆の前で見せる。試合開始早々、第1戦で先制点をあげたトルコ代表のメフルト・エルディンがこの日も先制点かというヘディングシュートを見せる。これでパリサンジェルマンは自信を持って試合をコントロールし、0-0のスコアレスドローに持ち込む。
 この結果、パリサンジェルマンは5週連続で週末と平日に試合を行うというタフな日程になったが、1回戦を突破し2回戦にコマを進めることになったのである。(この項、終わり)

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