第1224回 ベンフィカ相手に2回のアウエーゲームを戦うパリサンジェルマン

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリでもアウエーゲームとなるベンフィカ戦

 ヨーロッパリーグは1回戦と2回戦の組み合わせがあらかじめ決まっている。1回戦を突破したパリサンジェルマンのファンにとって2回戦の相手はベンフィカ(ポルトガル)とシュツットガルト(ドイツ)の勝者である。
 もう1つの1回戦はベンフィカがシュツットガルトに対して、第1戦は2-1、 第2戦は2-0と連勝し、2回戦に進出、パリサンジェルマンと対戦することになった。1回戦の第2戦でBATEビルソフ(ベラルーシ)と引き分け、2回戦進出を決めた直後のアントワン・コンボアレ監督は、「アウエーゲーム2試合を戦うことになる」とコメントした。本連載でもしばしば紹介しているが、パリおよびその近郊は多くのポルトガル人が住み、リスボンに次いで世界で2番目に多くのポルトガル人の居住する都市はパリである。
 パリサンジェルマンとベンフィカの試合は第1戦がベンフィカのホームで3月10日に行われるが、フランス国内でこの試合を中継するテレビ局はフランス語放送だけではなくポルトガル語でも放映することを決定した。

■国内タイトルを優先させ、主力4人を遠征から外す

 パリサンジェルマンにとってこのベンフィカ戦の敵はパリに住むポルトガル人の存在だけではない、第1221回で紹介したとおり、パリサンジェルマンは国内のフランスカップも勝ち残っており、5週連続で週末だけではなく週の半ばにも試合を行うことになり、この過密日程も考慮して18人のベンチ入りメンバーを選出しなければならない。欧州域内であるが、遠征にはそれなりの疲労もあることから遠征参加メンバーはベンチ入りメンバーに限定しプレーヤー18人プラススタッフという陣容のフライトとなる。
 コンボアレ監督はチームとしてのプライオリティは国内のタイトル(リーグ戦並びにフランスカップ)であるとし、クロード・マケレレ、ルドビック・ジュリー、ギヨーム・オラオ、クリストフ・ジャレの4人をリスボン遠征のメンバーから外すと試合の3日前に発表した。

■4年前もUEFAカップで対戦した両チーム

 両チームは本連載第693回と第694回で紹介したとおり、2006-07シーズンのUEFAカップの2回戦でも対戦している。この時はパリでの第1戦でパリサンジェルマンが2-1で勝利したが、リスボンでの第2戦で1-3と敗れ、軍配はベンフィカに上がっている。今回はその時とは逆の試合順であるが、パリサンジェルマンにとってはホームの第2戦もアウエーゲームになってしまうことから、リスボンでの第1戦も引き分け以上の成績で乗りきりたいところである。
 4年前と違うのは当時のパリサンジェルマンにはポルトガル人のパウレタが主将を務め、ベンフィカにフランス人選手はいなかった。ところが今回はパリサンジェルマンにはポルトガル人選手はいないが、ベンフィカにはリオネル・キャロルという19歳のフランス人がいる。

■押し気味の試合で先制も実らず逆転負けを喫する

 赤一色に染まったルス競技場でキックオフされた試合、パリサンジェルマンはパリでのアウエーゲームを想定して、リスボンでのアウエーゲームも積極的に攻める。試合開始直後からパリサンジェルマンが攻勢に出る。14分には4年前の対戦時も出場しているペギー・リュインデュラがシナリオ通りの先制点を奪う。なおもパリサンジェルマンはボールを支配し、攻めに出るが、前半終了を目の前に控えた42分、ベンフィカの右サイドDF、ウルグアイ代表のマキシ・ペレイラが同点ゴールを決める。ペレイラは昨年のヨーロッパリーグのマルセイユ戦でも2得点をあげており、フランス勢には相性がいいようである。
 後半も中盤になるとベンフィカは勝ち越し点を奪おうと選手を交代させる。終始劣勢であったベンフィカであるがこの選手交代が功を奏した。81分にパブロ・アイマールからのパスを途中出場のフランコ・ハラが決勝点を決める。
 先制しながらも逆転されたパリサンジェルマン、地元でのアウエーゲームは1週間後の17日に行われるのである。(この項、終わり)

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